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shaining operation  作者: 二階堂翡翠
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悪夢の前の静けさ

「ちっ、またあの夢か…」


目覚ましをセットしたわけでもなく、不愉快な目覚めとともに体は嫌でも覚醒していく。皮肉にも陽射しは体に突き刺さる


「うーん、とりあえず学校に行く準備とかしないとな」



俺は朝起きて寝癖でボサボサになった髪の毛を気にしながらベットから降りた。寝起きということもあってまだ目が冴えないが流石に家の中、どこに何があるのかを把握していることもあって転んだり躓くことはまずない。重い足取りで洗面所に向かい日課である洗顔、歯磨き、食事を済まして学校に行く支度をする。…とはいえ学生の朝食だ、トーストに牛乳で十分だ。ましては寮を借りて一人暮らし真っ最中の俺に朝の貴重な時間を割く余裕はない、それに朝からシリアスや洋和食を食べるほど優雅なひと時というわけでもない。もっと言ってしまえば金銭的な都合が大きい。

現に言うと毎日財布と睨めっこ硬直状態との戦いの最中贅沢をする余裕は無かった。

「はぁ、自炊の練習でもするか」

そう溜息をつきながらコンビニ弁当オンリーのレシートを見て項垂れれていた。

暫くして時計を見ると時刻はすでに7:30分を上回っていた。

「げっ!もうこんな時間か。やばっ、急がないと」

足早に家を出ていつもの通学路を全力で走る。ただし五分だけ

ゲームや漫画の世界ではおなじみの可愛いくて面倒見の良い幼馴染みが迎えに来る……みたいなことは現実には無くて実際は通学路で会うのはせいぜい悪友の御門琢磨くらいだ


「おはよう!竜也。朝から炭酸の抜けたコーラみたいな顔してんなー。分かりやすくいえば塩漬けしたキャベツみたい顔してる」


余計なお世話だ、それと意味が解らん


「お前は朝からお気楽だな。それとその例えは分からん」


「バカだなぁ、お前でも分かりやすく言ってみれば覇気がないってことだよ。お前のことだから妹さんのことを思い出していたんだろ?」


「お前はエスパーか!。脳内のプライバシー犯してんじゃねーよバーカ!」


やたらと琢磨は感がいい。以前もクラスメイトの恋愛相談も引き受けていたくらいに。琢磨に教わった通りのアプローチをしたらカップル成立!なんてこともしばしあった。後で琢磨に聞いたところ「お互いが好いているなら失敗しないだろ、それと俺には相手の思念っていうか深層心理がわかるんだよ、何故か」と答えていたがあながち嘘じゃないだろう。それに運動神経もよく背も高い、言ってしまえば二枚目という表現も出来る。それだけあって女子からの人気は上々であり俺とは天と地の差というのが現実だ

「そんなカリカリするなって、お前は揚げたてのフライドポテトか?。っとまぁ冗談だ。お前にとっても触れられたくない事だってのは解る」

「そんなんじゃねえよ、ただあの日から丁度三年経ったんんだなぁ。って考えたらさ、今何してるんだろうなって気になっただけだ」


――そう、妹と別れてからもう三年になる。あの日の意味は今でも解らないが。渡されたお守りは今でも持っている。

誓いの御守り、絆の御守り。いつか妹と俺を引き寄せてくれる、そんな気がして。

「なあなあ、竜也、お前は香澄ちゃんに会いたいのか?」

実の妹に会いたくない兄なんかいるわけもない。

愚問だと思いながらも俺は思った通りに回答することにした。

「当たり前だ、唯一無二の俺の妹だぞ。三年ぶりに会って可愛くなった妹と感動の再開をしたいっていうのは兄として当然だろ」

俺が答えると‘可愛い’という言葉をどう解釈したのか琢磨は怪しげににやにやしながら質問してきた。

「最近の女の子は発育が良いからな。ところで竜也、香澄ちゃんがナイスバディーになってい彼氏とかいたらどうする?」

「絶望しかないな、それと許さない。 許せない 許されない。許さないの三段活用だ! 。そもそものお話でまずは兄に一言いってから俺が相手の品定めをして変な奴なら拒否するし好い奴であっても拒否するけどな!」

即答だ。言い切った感と満足感で自然と顔が決まった。50年前に流行ったドヤ顔というやつだ。


「・・・一瞬非核宣言かなにかと錯覚しちまったぜ。そしてそのジャイアニズム。妹思いの兄も度が過ぎればシスコンになることが解ったよ」

少し呆気にとられながらの若干引きつつあった琢磨のツッコミは空しく快晴の空に消えていった。

琢磨のことはお構いなしに妹トークを自分で繰り広げながら、もしかすると自分はシスコンなのかもしれないという疑念が浮かんでいくのを実感したのだった。

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