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閑話2
今日は母の日ですね。
それにちなんだ(かなり短い)話を割り込み投稿します。
希は、近所の花屋に来ていた。
赤いカーネーションが1年で最も売れるこの日、人通り花屋の中を見て回ったあと、店員に声をかけた。
「すいません、この花、5本ください。」
希が指した花は、白いカーネーションだった。
「あれ?赤いカーネーションなら向こうに沢山ありますが?」
「白でいいです。」
――――――
希は、これまた近所の寺の、墓場に来た。
[守屋家之墓]
そう墓石に彫ってある墓に、持ってきた白いカーネーションを供える。
「…いつも、ありがとう。」
コンクリートの地面に1滴、塩水が落ちた。
水のシミはどんどん大きくなっていく。
希は踵を返し、歩き去った。