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【連載版】本格異世界グルメ ~チートを断って異世界転生してみたら本格中世の村で俺のグルメ無双がヤバイ~  作者: 川獺右端


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第49話 ダンスダンスダンス

 昼過ぎに領館が用意した料理も酒も菓子も、まるっと無くなった。

 領館スタッフの仕事も一段落な感じだ。

 三郷六村の貧農民さんたちが大酒を飲み、お腹いっぱいになって、お庭でごろごろ倒れておる。

 とりあえず、連中は滅茶苦茶飲んだので夕方まで酔いをさまして帰る感じだな。

 子供達にも、お菓子が好評だった。

 お菓子マイスターであるピカリ大明神の言うところでは、卵白の軽い舌触りがとても巧みで、メレンゲもラングドシャも例年に無く美味しい、だそうである。


 お客が引けて、一息付いたので、取り置いてもらっていたワインを飲んで、乾き物のつまみなどを食べながら遅い昼食である。


「領祭はスタッフで来ると楽しいね、去年までは農民に紛れてただ酒だったからなあ」


 ヘレンが笑いながらそう言った。


「夜は街で打ちあげだから、あんま飲むなよう」

「ああ、そうか、またドミニクさんの店かい」

「おおよ、ドミニクはあそこで潰れているが、まあ、夜にはシャンとするだろうよ」


 マスターが潰れているのかよ。

 あ、本当だ、あの髭面はマスターだな。


 スダラマッシュ蒸し豚サラダはもう売り切れたが、他に作られたお酒のつまみ系のお料理をつまむ。

 肉とか肉とか干し肉とかだな。

 美味しいけど、しょっぱいね。

 時間を掛けて作って置いておくからどうしても塩がキツくなるようだ。


 楽隊がブンチャカブンチャカと群舞の音楽の前奏を鳴らした。

 よし、俺も踊ろう。

 誘われるように中央広場に人が集まり、手を繋いで大きな輪を二つ作った。

 俺も、ヘレンも、ファビアさんも、ミレーネさんも輪に入る。

 手を繋ぎあい、音楽に乗せて輪を大きくしたり小さくしたりで踊る。

 手を叩いて外側の輪と内側の輪を交換して、お隣さんとずれて踊る。

 最初は不良メイドさんに挟まれていたけど、輪を変えてチェンジすると、隣がヘレンに、その隣がアマンダさんになって踊る踊る。

 お嬢様も参加していて、ニコニコしながら踊っていた。

 彼女の手が取れるかな、と思ったらボフダナさんの隣で終わってしまった。

 残念。


 でも、ダンスは良いな、楽しい。

 こうやっていつまでもいつまでも楽しく暮らしていきたいな。


 ダンスが終わり、拍手が湧いて、領祭は終わった。

 後はみんな満足して帰るだけだな。



 うちの家族は帰ったのだが、ピカリが食い過ぎで倒れ、ヘレンの馬で送って行ってくれと言われたので、ブースの奥で転がしておいた。


「ニョーン」


 肩にネコチャンさんを乗せたフードの怪しい女性がこちらに歩いて来た。


「あ、いらっしゃい、来てくれたんですね」

「はい、きてしまいましたよう」


 フードの奥は懐かしくも美しい女神さまであった。

 やっぱり俺はこの人が好きだな。

 人じゃないけど。


 俺は隠して置いた折り詰めを出して、テーブルに二つ置いた。

 ネコチャンさんの折り詰めは紐を解いて開く。

 彼はぴょーんとブースを飛び越して転がってるピカリの上に乗った。

 


「ニョーン」


 お前がリュージの妹か、兄弟の妹なら俺の妹もどうぜんだ、と言ったような気がしたら、倒れて苦しんでいるピカリの頬を舐めた。


「はっ、お腹がいっぱい過ぎが治った! 奇跡だ、うわ、真っ白なネコチャン!!」

「ニョーン」

「え、兄ちゃんと兄弟分なの、そうなんだ、え、料理を一緒に食べようって、いいよういいよう」

「ピカリ、それはお供え物みたいな……」

「ニョーン」


 良いんだよ、リュージと言われたような気がするので、それ以上は言えなかった。

 女神さまはそれをニコニコしながら見ていた。


 ファビアさんとミレーネさんが下を向いたまま、すすすと良さげなワインボトルを持って来て、女神さまのテーブルにグラスと共に置き、静かに注いで、そのまま黙って去っていった。


「ありがとう、ファビア、ミレーネ、貴方たちに良い伴侶が見つかるようにしますよ」

「「ほんとっすか!!」」


 大喜びで不良メイドたちは去って行った。

 ああ、古ワインじゃなくて、今年の良いワインだな。

 奉納に来てくれたんだなあ。

 良い所あるよね。


「それでは頂きますね」

「はい、お召し上がりください」


 ネコチャンさんは先にピカリと一緒にパクパクと食べていた。


「ニョーン」

「え、ケルシャ漬けが美味しいって? ネコチャンさんは渋いなあ」


 ヘレンも優しい目でネコチャンさんとピカリを見ていた。


「ああ、美味しいですね。天界でネコチャンが『リュージの料理美味そうだよ美味そうだよ』ってうるさくてですね」

「お口にあえば幸いでございますよ」

「マヨネーズも日本と遜色が無い味ですし、スダラマッシュやケルシャ漬けは日本で似た料理はありますが、リュージさんの独創が際立っていますね、素晴らしい仕事ですよ」

「あ、ありがとうございます」


 うわあ、女神さまに褒められたぞ。

 本当に女神さまには感謝してもしきれないなあ。


「女神さまには、とても良い場所に俺を転生させて頂いて、感謝にたえないのですよ。家族も領館の人も、とくに素晴らしい人を選んで配置してくださったんですよね」


 女神さまはニコっと笑って、ワインをくいっと飲んだ。


「いえ、全然」


 は?


「私の世界は本格ファンタジーなので、戦争になりそうなとても危険な地域に生まれ落として、リュージさんが死んだ後に『やっぱりチートは要りますよね、次は持って行きなさいね』と言うつもりでしたの」


 は? 何言ってんだ、この女神。

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