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【連載版】本格異世界グルメ ~チートを断って異世界転生してみたら本格中世の村で俺のグルメ無双がヤバイ~  作者: 川獺右端


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第48話 領祭が始まる

 キッチンスタッフだけではなく、領館全体のスタッフの総力を使って領祭の準備が終わった。

 ハウスメイドは舘の内外をピカピカに掃除して、庭を清めてお料理のブースを作り、テーブルや椅子を用意する。

 騎士達は会場の警備だな。

 魔法使いの人が来ていて、空にファイヤーボールを打ち上げてドドンドドンと大きな音を立てて、領祭の開催を知らせる。

 前世の運動会の前の花火だなあ。

 こっちだと魔法でやるんだ。


 楽隊も出ていて、陽気な音楽をブンチャカブンチャカ鳴らしている。

 午前に一回、午後に二回、広場で舞踏曲を鳴らしてみんなで群舞する。

 結構楽しいイベントで、俺も意中の女の子と手を合法的に繋げるので好きだったな。

 今日はスタッフでの参加だから、閉場前の群舞に参加できるか出来ないか、ぐらいか。


 配膳メイドさんがお料理を皿に盛り付けてお客さんにくばるのだが、人出が足りないのでヘトヘトのキッチンスタッフも手伝う。


 門が開いて三郷六村から食い詰めた農民達がどどっと入って来て、酒と料理とお菓子を奪い合う。


「ちゃんと十分な数はあるから、取りあう必要は無いぞ、喧嘩をした奴らは領祭から追放で、村に返すぞ!!」


 ダーナムさんが怒鳴ると一瞬農民どもは大人しくなり、そしてちょっとしたら元の木阿弥である。


「ケルシャ漬けがもう無いぜ、リュージ持って来てくれ」

「解った、二樽でいいか?」

「ああ、二樽で良いだろう」

「私も手伝うよ」


 ヘレンが声を掛けてきた。


「助かるよ」

「私はリュージの護衛だからさ」


 ヘレンははにかんで笑った。

 彼女は領祭という事で、綺麗な配膳メイド服をボフダナさんに貰い、パリッと着こなしている。

 頭の髪飾り(プリム)が可愛いな。


 倉庫に行き、二人で二つ、ケルシャ漬けの壺を持ってお料理配布ブースに戻った。


「ごくろうごくろう」

「三時ぐらいまで食べ物は持ちそうだね」

「貧農民を舐めちゃいけねえ、というか、今回のスダラマッシュプレート、美味しすぎるから昼過ぎに無くなりそうだぜ」

「げ、まじかあ」


 あのお方とネコチャンさんの分を取り置いておかないとな。


「誰かに取り置いてくれっていわれたのか?」

「女か、女だな、リュージめっ」

「いえ、その世話になった人と神獣さんに食べさせたいなって……」


 黙ってファビアさんとミレーナさんがお土産用の経木の箱を二つ出して来た。


「これに入れてロッカーに隠しとけ」

「そこらへんに置くと喰われるからな」

「ありがとう、助かるよ」

「ネコチャンさん、来るの、リュージ」

「うん、来るって言ってた気がする」

「あと一人は誰だ、女か、女だな、リュージ」

「あ、いや、ネコチャンさんの飼い主の人……」

「「「……」」」


 不良娘三人組は厭な感じに黙った。


「べ、べらぼうめーっ!! お前、それを神父の前で言うなよ、絶対言うなよ」

「あ、ああ」

「マジに来るの? 女神さま……」

「ばっきゃろー、名前を出すなヘレン、祟られるぞっ!」

「い、いや優しい人だから、大丈夫だろう」

「リュージはもの凄い料理の才能だと思ったら、そういう『愛し子』だったのかあ」

「すげえすげえ、結婚してくれ」

「愛し子って何?」

「あれだ、王都にいる『勇者』とか『聖女』とかそんなの、お前はいわば『飯聖』の卵なんだろうぜ」

「ひいーえー、リュージが大物になる未来が見えるな、結婚しろ、こら」

「ああ、いや、そんなそんな」


 不良さんはどこの世界でも結構オカルト好きでいけないよな。

 うん。


 うちの家族が全員でやってきた。

 ニコニコしながら、俺のよそったスダラマッシュサラダ蒸し豚の皿を受け取っている。


「いひひ、おかわりは自由かい、兄ちゃん」

「好き放題おかわりしろ」

「いやったあああ」


 この駄目妹は去年、お料理をおかわりしすぎでお腹を壊し、一週間寝込むという無残な記録を打ち立てたのだ。

 今年は自重しろよ。


「お、リュージの妹か、ちょっと似てんなっ」

「あ、似てる似てるというか、家族みんな似てるな、あはは」

「みんな良い人だよ、リュージの家族さん」

「にゃろー、ヘレン、貴様は後方正妻面かっ!」

「家族にも紹介されたってかっ!」

「いや、ヘレンは護衛だからさ、いつも送り迎えしてくれてるし」


 家族は料理を貰い、お菓子を貰い、ワインを貰って領館の庭で食べ始めた。


 ああ、なんだか領祭にいる家族をスタッフ側から見るのはなんか不思議な感じで面白いな。


 ピカリが料理の皿をガガガと食べて、走っておかわりの列に並んだ。

 ゆっくり食いなさいよ。


「兄ちゃん、豚肉、豚肉を厚く切ってくれいっ」

「お前よ、ゆっくり食べなさいよ」

「久々のご馳走で待ってられねえ、マッシュスダラ、小洒落た野菜、ゆで豚、ケルシャ漬け、そしてマヨネーズ! こんな完璧な布陣を取られたら、私の食べる速度は止まらないね」

「はいはい」


 俺は豚肉を厚めに切って料理の皿に盛り付けた。

 ピカリはまた、ピューッと走って帰って行った。


 不良三人娘がニヨニヨしながらこっちを見ていた。


「な、なんだよ」

「リュージがフリッツさまに勝てた訳が解るよ」

「お前、家族愛してんな、そんな奴に、誰も愛して無くて、なんでも人のせいにする奴は勝つことできねえよなあ」

「家庭を持ったら子供に優しくしてくれそう」

「ぎゃー、てめえヘレンっ!」

「くそう、私と結婚だ、リュージ!」


 あはは、この三人は大げさで敵わないなあ。

 でも良い人たちだけどね。

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