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【連載版】本格異世界グルメ ~チートを断って異世界転生してみたら本格中世の村で俺のグルメ無双がヤバイ~  作者: 川獺右端


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第42話 ボナンザ一家襲撃

 急に馬車が停車して、俺はつんのめった。

 何だ?

 外が騒がしい。


「いけません、襲撃です」


 家令さんが外を覗いてそう言った。

 え、マジ?

 恐る恐る外を覗くと、馬に乗ったごろつきたちが護衛騎士と戦っていた。

 うわ、マジかよ!

 お嬢様の顔色も悪い。


 家令さんがいつも持っている杖を握って引き抜くと白刃の刀身が見えた。

 仕込み杖のようだ。


「私が時間を稼ぎます、リュージくん、お嬢様を連れて逃げてください」

「え、でもっ!」

「駄目よっ!」


 家令さんはお嬢様の目をまっすぐと見据えた。


「お嬢様が生き残る事、それこそが子爵家の勝利なのです、奴らに捕まれば敗北となります」

「死なないでください」

「はい、まかせておいてください、お嬢様の花嫁姿を見るまで死ぬことはできません」

「セバスチャン……」


 我々は馬車を下りた。

 道にゴロツキの死体が沢山転がっていて、そして動かなくなった騎士もいた。

 アマンダさんはまだ戦っていたが肩で息をしていた。


「さあ、逃げなさい、リュージさん、お嬢様を頼みます」

「はいっ!」


 俺は涙を流しているお嬢様の手を握って領館への道を走り始めた。

 後ろではキンキンと剣戟の音が鳴り響いている。


 くそう、この道は領館からどれくらい離れているんだ。

 どこかに街か村は無いのか。

 街道の先を見ても、道と森しか見えない。


 後ろからダカダカダカと馬の走る音が聞こえてきた。

 ああ、回り込まれる。


「おお、リュージじゃあ無いかあ、あはは、シャーロットと一緒だとはなあ、都合が良いぜ」

「「フリッツ!!」」


 フリッツは馬から飛び降り、腰から剣を抜き構えた。

 俺は、お嬢様を後ろにおいて、腰から練習用の短剣を抜いて構えた。

 ブルブルと剣先が震える。


「お前のせいで俺の完璧な計画が台無しだ、万死に値する、死ねっ!!」


 フリッツが長剣を振り上げた。

 駄目だ、殺されるっ!!


「やめろ」


 後ろから来たフードの女が低い声でそう言った。


「いやだがヘレン、こいつは」

「やめろ、シャーロットお嬢さんよりも、リュージの方が価値があるとボスは言ってたぞ。やめろ」

「き、きいいいいいっ!」


 奇声を上げてフリッツは俺に剣を振り下ろした。


 ガキン、と、フードの女が俺を抱きすくめるような形で剣を振り上げ、フリッツの剣を巻き落とした。


「殺すぞ、今のお前の価値はシャーロットお嬢さん以下だって、どうして理解しない」

「だがようだがよう!!」


 フードの女はふわりと体重を感じさせない歩法でフリッツに近寄り、殴りとばした。


「うるせえ、黙れ」


 俺は後ろを見た。

 騎士達がみな地に伏している。

 あの赤髪は、アマンダさん……。

 家令さんも倒れ、血が流れていた。


 ガラガラと古ぼけた馬車が寄ってきた。


「乗れ、リュージ、ボスがあんたに話があるってよ。大人しくついてくるなら、お嬢様の安全は保証するぜ」

「わ、わかった……」

「リュージさん……」


 俺とお嬢様は馬車に乗り込んだ。

 フリッツはもの凄い目で俺達を睨んでいた。


 俺達を乗せた馬車はゴトゴトと走った。

 向かいにはヘレンと名乗る怪しい女が座っている。


「ボスというのはボナンザさんか?」

「ああ、デューク・ボナンザ、ちょっとした変わり者だ」

「私たちに何をさせたいのですか?」

「あたしらはフリッツを使ってな、あわよくば子爵家を乗っ取ろうとしてたんだけどな、なんか上手くいかねえってんで、その原因を探ったら、料理人でよ、んでボスがスダラマッシュ、マヨネーズ、ケルシャ漬けを食べて、いたくリュージの料理を気に入ってしまってなあ、なんかビジネスをしたいらしいぜ」

「ビジネス?」

「フリッツとか、出来そこないの貴族の庶子を使っての乗っ取りなんざ、わりとありがちな話でよ、どこでも出来る事だ、だが、リュージの料理は違う、これは天才の仕事だ、いっちょ噛みして天下を取るぜ、だそうだ」

「ば、馬鹿馬鹿しい」

「そんな事はありませんわ、リュージさんのお料理は特別です、天下を取れますわっ」

「お嬢さんは判ってんなあ」


 なんて事だ。

 そんな下らない理由で家令さんやアマンダさんが傷ついたというのか。

 どうか死んでいないでくれ。

 どうかどうか……。


 馬車は森の中にある怪しげな舘に入った。


「ボナンザ一家の隠れ家にようこそ、リュージさん、お嬢さん」

「俺が目的なら、お嬢様は帰してあげてくれ」

「ああ、まあ、それでも良いんだが、ボスはリュージくんの協力を引き出すのに使うと思うな、お嬢さんは」


 くそう!

 俺はどうなっても良いからお嬢様だけは無事に返さなければ。

 せっかくの良縁を掴んだんだから。

 なんとかしなくては。

 俺がなんとかしなくては。


 ヘレンが扉を開けて俺達を誘った。


「んじゃ、ボスがお待ちだ、こっちだ」


 俺達は舘に入り込んだ。



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