第27話 お昼までメインキッチン、それからサブ
とりあえず、スダラ芋を蒸かし、マヨネーズをホイップする。
おお、小兄ちゃんの泡立て器使いやすいな。
柄の部分が針金を巻いてある感じでバネの力でホイップが楽だ。
針金も細かくて良く泡立つな。
野菜を飾り切りして、お皿に盛り付ける。
ちょっと野菜は多めにね。
昨日の量で完食してくれたのだから、もう少し多めでも良さそうなのだ。
「今日もお花畑みたいになってて綺麗ね、リュージさん」
「目に楽しいのも料理のうちだからね」
「んじゃ、持って行くわ」
配膳メイドさんが、野菜皿を二つ持っていった。
もうスダラマッシュの皿というよりも、スダラマッシュサラダの皿という感じになったな。
アスパラガス、白のアスパラガスが欲しいのだけど、ここらへんの地方では作っているのかな。
なにしろ、うちの村では、小麦とライ麦とすだら芋以外生えてないからなあ。
よその村では、ちょっと違うかもな。
香辛料に使うハーブ類の生産量とかも把握しておきたい所だ。
バジルとか結構使うしね。
メインキッチンの魔導冷蔵庫には、結構ハーブ類もあるんだが、近郊で作ってるかどうかは解らないなあ。
「そいじゃ、サブキッチンを手伝ってきます」
「ちっ、お前なんかはサブキッチンの下働きが妥当なんだ」
「昼飯は?」
「向こうで喰わせてもらえますので、ロッカさん」
「そうかそうか、良い奴らだからな、あの二人は」
ロッカさんも、ファビアさんとミレーネさんが気に入ってるのか、奇遇だな、俺もだ。
サブキッチンに行くと、どたばたと今日のスタッフの昼食を作っていた。
「おお、リュージ良く来た、マヨネーズ作ってくれー」
「みんな欲しがりやがってよう、ズッキーニ不足だよ」
「気に入って貰って嬉しいですよ」
下働きの子供たちと、マヨネーズをホイップする。
「なんだよ、良いなその泡立て器」
「うちの兄が作ってくれましたよ」
「使いやすそうだなあ、注文すると幾ら?」
「今度聞いてみますよ」
「ゴメスの親父のより繊細でよさそうだ」
小兄ちゃんの泡立て器は人気だな。
何よりだ。
マヨネーズを飽きるほどひねった所で昼食の波は終わった。
「おー、リュージ、飯まだだろ、くえー」
「ありがとうございます」
「ちえ、サブキッチン専属になれよう、リュージ、みんな女子でモテモテだぞ」
「あはは、お気持ちだけ」
「真面目か、真面目君か、リュージ」
「顔はチャラいのになあ」
「ほっといてください」
今日はどでかいベーコンを焼いた物と目玉焼き、黒パン、卵スープ、スダラマッシュだった。
美味い美味い、というかご馳走だよなあ。
領館のキッチンに働きに来て良かった。
「卵の白身があまんだよー」
「捨てるのはもったいねえけど、なんかメニューねえかリュージ」
「メレンゲにでもしましょう」
「おお、どうすんの?」
卵の白身が余ったら、メレンゲが鉄板だよね。
作り方は簡単、白身を泡立てて、甘味を足して焼くだけだ。
蜂蜜が使いたいところだけど高いから、麦芽糖であっさりさせよう。
「おーおー、こっちも泡立てか」
「麦芽糖か、蜂蜜じゃだめなのかい」
「高いでしょ、蜂蜜」
「なあに、お嬢様のお茶に出すって言えば問題ねえよ。まあ麦芽糖で作って良さそうなら蜂蜜バージョンを作るか」
マヨネーズで余った卵の白身をわっせわっせと泡立てて麦芽糖を混ぜて、オーブンで焼いた。
ホクホクカリカリのメレンゲが出来た。
「あ、うめえっ」
「白身余り問題が解決だな」
「リュージは野菜だけじゃなくて、菓子も行けるのか、いいなあ」
なにしろマヨネーズのせいで大量に白身が出るので丁度良いな。
下働きの子供も大喜びだ。
「メイドどもに喰わせよう、あいつら甘い物に飢えてるからな」
「きしし、実は騎士も甘いもん好きだからな、横流ししようぜい」
「んだな」
キッチンメイドの二人が悪巧みをするなか、俺はお茶とメレンゲを食べて満足していた。
やっぱ、食材が多い領館は良いよなあ。
三時になったので、メインキッチンに戻り、晩餐の準備を手伝った。
スダラサラダの皿を二つ作る。
お昼とは野菜の種類を変えて飽きないようにする。
ズッキーニが少なくなっているのもあるけどね。
人参をボイルして麦芽糖で甘みを付けた物を付けた。
赤い人参は彩りが良いんだよね。
配膳メイドさんがスダラサラダのお皿を持って行った。
今日の晩餐のメインは牛の分厚いステーキだな。
「リュージ、お嬢様が甘い人参が美味しかったって」
「そうですか、また付けますね」
「お嬢様も、御領主さまも、ご機嫌が良くって嬉しいわ」
「なにかの役に立っているなら何よりです」
さて、今日の仕事も終了だ。
控え室でコック着をボフダナさんに渡した。
「なんか、今日、ヤバイらしい、今日はダーナムに送ってもらいな」
「ヤバイですか、金は持って無いんですが」
「ゴロツキには関係無いしね、ちょっと血を見るかもだけど、我慢しなさいよ」
「は、はい」
騎士さんが戦うのか。
なんだか、怖いなあ。
五対一だけど、ダーナムさんは大丈夫か?
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