#3-18.御用検めだ!
【まじらぼ 前回までは】
ゾンビMZ1号が導いた先は、最先端の葬儀屋を謳うウエスト葬儀屋。そこにはクルミの木があった──
1
「御用ってなんでぇ?」
「お前さんひとりかい?」
屈強な男たちがペイジの前に立ちはだかる。
どいつもゴツい体格で、ランニングシャツと作業ズボンという格好だ。その何人かには見覚えがあった。
ガラン運輸の作業員。身代金受け渡しの4番倉庫にいた作業員たちだ。
「嬢ちゃん、ホントに護民兵かい?」
「ンだとぉ? このベストとガードロッドが見えねぇのかっ!」
ペイジがこん棒を一振りした。
すると、まっすぐだった棒がトンファーみたいな形に変形した。
──ガードロッド。
黒ベストと並ぶ護民兵の装備である魔法の警棒だ。
その変形をオレははじめて見た。
「四の五の抜かしていると、ぶっ飛ばすぞ!」
ペイジが怒鳴る。屈強な男たちを前にしてもまるで恐れてない。
「お、やんのか?」
男たちが身構える。
「危ないわねぇ」
クロエさんがつぶやいて指を小さく振った。
すると、ゾンビMZ1号が、男たちに向かって歩き出した。
「なんだてめぇは?」
ガラン運輸の作業員の一人がすごむ。
人相とガラの悪いマッチョににらまれる…一般人ならビビるだろうけどゾンビには通用しない。
MZ1号は、ペイジの横を抜け、建物へと向かう。
「待てコラ!」
作業員が止めようとしたが止められない。ゾンビの筋力はウマやクマに匹敵するからだ。
二人がかり、三人がかりで止めようとしてもMZ1号は止まらない。押し合っている弾みに、被っていたフードが外れた。
「こいつゾンビだ!」
屈強な男たちも、ゾンビはこわいらしい。
半分腐りかけの顔があらわになった途端、腰砕けになってしまう。
「その調子!」
印を結びながらクロエさんが楽しそうに叫ぶ。
クロエさんに操られたMZ1号はウエスト葬儀社の工房、その入り口の前にまで進むと、ドアを開けた。その直後──
まばゆい光が炸裂した。
「なっ!?」
クロエさんが驚きの声を上げる。
MZ1号が光に包まれたかと思った次の瞬間、ゾンビは糸が切れた人形みたいに膝からくずおれたのだ。
2
ゾンビMZ1号は倒れたまま動かない。
これ、ゾンビが元の死体に戻ったのか? オレがそう思った時、
「困りますなぁ。穢らわしいモノを持ち込まれては」
工房の中から、赤ら顔の男──ウエストが現れた。
「今のは?」
オレが思わずつぶやくと、
「防御結界ですよ。不浄の存在を寄せ付けぬためのね。我が社は安心と清潔がモットーですからな」
ウエストが赤ら顔をゆがめて笑った。
「あんたがここの頭か?」
「左様でございます」
ペイジの問いに、ウエストが礼をして答える。
慇懃無礼っていうんだっけ? 礼儀正しいようで小馬鹿にしてる感じがプンプン伝わって来る。
「ここに、誘拐された人間が閉じ込められているって情報があった。中を見させてくんな」
「どこの誰がそのようなデマを! 大方、私を妬む者でしょうが」
ウエストは、ペイジに大げさに嘆いて見せると、
「どうぞ、存分にお検めを」
と、入り口から退いて道をあけた。
「ただし! ネクロマンサーはご遠慮願いたい」
クロエさんを見て、ウエストは唇を歪めた。嘲りの笑みだ。
「何故ですか?」
「企業秘密がありますからな。何より、ネクロマンサーのような穢れた存在を入れると評判にキズがつきます」
それがウエストの答えだった。
一々ムカつくヤツだ。
「ここで待ってるわ」
クロエさんが小さく手を振って言う。
「それじゃ」
ペイジとオレはウエスト葬儀社の工房の中を調べてまわった。
たくさんの棺桶や、葬儀で使う道具、死体を焼く炉、黒塗りの霊柩馬車。それにオレには何に使うのかわからない道具や機械がいくつもあった。
人を隠せそうな場所を片っ端から調べる。
だけど、ブライズ氏はもちろんゾンビの1体すらなかった。
「何か問題はございましたかな?」
出て来たオレとペイジにウエストたちがニヤニヤ笑って言った。
「邪魔したな」
ペイジが背を向けた。
「クッソ! ここだと思ったのに!」
オレは大声で叫び、地面を蹴った。
「行くぜ」
「またフリダシからかぁ」
ペイジが促し、クロエさんが大げさにため息をついた。
そんなオレたちを、
「お役目、ご苦労に存じます」
ウエストとガラン運輸のマッチョたちが嘲りの笑みを浮かべ、オレたちを見送った。
主人公たちの敗北…と、思うでしょ?
これが違うんですね(ニヤリ)
詳細は次回! 乞うご期待!
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