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#3-17.死者が導く誘拐犯のアジト

【まじらぼ 前回までは】

ゾンビMZ1号を使い、歩く死人団のアジトを探すソータとクロエさんはペイジと合流。誘拐された服作屋ニューロックが〈都〉屈指の富豪となった異世界の産業革命、そして恨みを持つ者が多くいることを知る──



     1



「ニューロックの御家騒動って?」

「旦那方の親戚と、エアリー夫人の実家ハースト男爵の一族がやり合っている。旦那が死んだあと、ニューロックの財産をどう分けるかでな」


 ペイジが手帳をめくり答える。


「なんだそりゃ」

「〈都〉で有数の金持ちだもんね。大変だ」


 あきれるオレと、面白がっている様子のクロエさん。


「ハースト男爵家はけっこうな額の借金があったンだ。で、娘をヨメにやって一息ついたンだが、それがニューロックの親戚たちは面白くない。ヨメに来た時から相当な嫌がらせがあったらしい」

「嫁ぎ先の親戚にいびられる嫁かあ。政略結婚だし、旦那殺して財産いただこうって気になってもおかしくないわね」


 クロエさんがこわいことを言う。


「もしブライズ氏が殺されたらどうなるんだ?」


 魔捜研立ち上げの時、この国の法律をちょっと勉強したけど、相続とかは見てなかった。


「法律じゃあ、財産の半分は夫人のものになる。それが許せないってんでニューロックの親戚たちは夫人の評判を落とそうと躍起になっている」

「スキャンダル見つけて追い出そうっていうの? 醜悪ねぇ」


 と言いながら、うれしそうですよ? クロエさん。


「騎士団はどう考えているんだ?」

上層部うえは、エアリー夫人が死人団と通じていると疑っている。もし死人団を取り逃がしたら、夫人を捕まえて締め上げる気だ」

「ほとんど八つ当たりじゃないか!」


 共犯者を捕まえたことにしてメンツを守るつもりか。冤罪かもしれないのに。


「だが、今のところ、夫人が一番あやしいのは事実だ」


 不本意そうにペイジが言う。


 ニューロックの関係者の中に、死人団と内通しているものがいるのは間違いない。


 ニューロックのを恨む職人と工場主。

 シェアを独占しているニューロックを快く思わない商売敵たち。

 その手下とかがニューロックに入り込んでいる可能性はある。


 そして、莫大な財産を狙っている(かもしれない)夫人とその親族だ。

 ブライズ氏が殺されたら、得をするのはエアリー夫人とその親族だ。


 恨みか、シェアの独占か、莫大な財産か。

 どこが死人団に協力していてもおかしくない。


 朝に会ったエアリー夫人の姿をオレは思い出した。


 MZ1号でアジトを見つけることを話したら、ヒステリー気味にオレたちを追い払った。


 内通者は、やはり夫人なのだろうか? それとも──



     2



 ゾンビMZ1号を先に歩かせ、オレとクロエさん、そしてペイジが続く。


「そろそろね」


 ゾンビを操るクロエさんがつぶやいた。


 場所は墓荒らしがあった無縁墓地。


 無縁墓地は、身寄りの無い遺体や葬儀費用のない貧民たちの墓地だ。


 その名を聞いた時は、ボロボロの墓石と枯れ木や石ころだらけの不気味な場所を想像したのだが、そんなことはなかった。


 芝生と花壇が整えられていて、四角い石のプレートがたくさん地面に置いてある。これが墓石だ。

この簡素な墓石がなければ公園だと思うかもしれない。そんなきれいな場所だった。


 その中をMZ1号が、ぎくしゃくしたゾンビ特有の足取りで歩いてゆく。

 オレたちは、MZ1号の後に続き、無縁墓地を通り抜けていった。


 無縁墓地の先は、辺りに人家はなく、ちょっとした森みたいになっていた。

 森の中の道を進むこと少し、急に森が開け、鉄柵に囲まれた大きな建物が現れた。


 背の高い平屋で、横に広いその作りは、さっき見たニューロックの工場に似ている。

 大きさはニューロックの工場の半分もないけど、この建物は、屋敷ではなく工場なのだ。建物の奥のほうには高い煙突があった。


「お、あの木は」


 ペイジが指差す先、工房のすぐ横に大きな木があった。


 緑の葉と垂れ下がった小さなツブツブの集まりみたいな花が風に揺られている。


「クルミの木だね」


 その葉は、最初に脅迫状を持って来たゾンビ──このMZ1号に着いていたのと同じものだった。


 そして鉄柵の門には


 ──ウエスト葬儀社。


 と、看板が掲げられている。


「最新の魔法技術がウリの葬儀屋が、歩く死人団のアジトだったとはね」


 クロエさんが低い声でつぶやいた。


「ようし! 早速踏み込むぜ!」


 こん棒を抜くとペイジは、ずかずかと建物に向かって行く。


「さて、何が出て来るか」


 苦笑してクロエさんとオレ、そしてMZ1号が後に続く。


 ペイジが鉄柵の門をくぐったところで、建物から屈強な男たちが出て来た。


「お上の御用だ! 中を検めさせてもらうぜ!」


 男たちが何か言う前にペイジが宣言した。



ついに誘拐犯のアジトを発見?

いよいよ物語はクライマックスへと向かいます。

お楽しみに!


ここまでお読みいただきありがとうございます。

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