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#3-6.1枚の葉っぱから

【まじらぼ 前回までは】

ブライズ氏を誘拐した歩く死人団。死人団の手掛かりをつかもうと魔捜研は証拠を調べるが、アジトがわかるようなものはまだない──



     1



「もう一つあるといったが、なんじゃ?」

「あ、そうそう。コレ」


 のじゃ子さんに言われ、クロエさんが証拠袋からテーブルの上に出したのは、1枚の葉っぱだった。


「メッセンジャーのゾンビに着いてたのよ」

「サミ、わかるか?」

「えぇっと、見覚えはあるんですが……」


 サミちゃんが小首を傾げる。


「サミちゃんって植物にも詳しいの?」

「錬金術では薬草も一通り習いますから」


 そう言って、サミちゃんは、うーん…と、かわいくうなってまた首を傾げた。


「よう、調子はどうでい?」


 そこにペイジがやって来た。


「陣中見舞いだぜ」


 と、紙袋をサミちゃんに手渡す。


「わあ、ありがとうございます」

「ちょうどいい。休憩にするかの」


 のじゃ子さんが言い、サミちゃんが


「お茶淹れてきますね」


 と、キッチンへと向かう。

 入れ替わるように、ペイジがどっかとソファに座る。コイツ、自分の家みたいにくつろいでるな。


「んで? 何かわかったかい?」


 オレはペイジに今まで分かったことを説明した。

 説明し終わる頃、サミちゃんがお茶と皿に載せたクッキーを持って来た。


「とりあえず、下手人を判別できる目途は立ったわけだな」


 うなずくとペイジはクッキーをボリボリかじった。


「このクッキーは?」

「ああ、ハンナが焼いてくれたンだ。イケるぜ」

「へぇ」


 あのドワーフのばあさんってお菓子も作るんだな。

 ナッツがたくさん入ったクッキーで、チョコチップみたいなものも混じっている。


「これ、チョコじゃないか!?」


 一口食べて驚いた。味もチョコそっくりだったのだ。


「ちょこって?」

「カカオっていう豆から作る、オレの世界にあったお菓子だよ」


 まさか異世界にチョコレートがあるとは感動だ。


「これはイナゴマメじゃぞ」


 と、思ったら、のじゃ子さんが否定した。


「へ? チョコじゃないの?」

「うむ。わりと大きな木でな、サヤの中にある果肉は砂糖が普及する前、甘味料として使われていたのじゃ」

「この茶色いツブは豆じゃなく、サヤの果肉なの?」

「その通りじゃ。豆のほうは食用には向かないのでな。薬かハーブティーに使われるくらいじゃな」


 豆のほうじゃないなら、やっぱりカカオじゃないんだな。

 言われてみると、チョコとは風味が違うような? 気のせいかもだけど。


「ああっ!」


 突然サミちゃんが叫んで立ち上がった。



     2



「サミちゃん?」

「あれはきっと…!」


 叫んだサミちゃんはラウンジの隣の書庫へと駆け込んだ。


 直後、どさどさーっ!と、本がなだれ落ちる音と、「きゃあああ!」というかわいい悲鳴があがった。


「さ、サミちゃん?」


 書庫を入り口からのぞき込むと、サミちゃんが本の山に埋まっていた。

 辞典や図鑑、専門書、大きくて分厚い本が積み重なった山の中から、サミちゃんの細い脚だけが出ている。


「大丈夫…?」

「大丈夫ですっ!」


 オレが声を掛けた直後、本の山がどざざーっと崩れ、中からサミちゃんが飛び出てきた。


「なんで無事なの?」


 あれだけ大量の本の下敷きになってたいたというのに、サミちゃんは髪の毛がちょっと乱れただけで無傷だった。

 いや無事で良かったけどさ。


「それよりこれを」


 オレの前にサミちゃんが手にした図鑑を開いて見せた。


 そのページにはあの葉っぱと同じ葉のカラーイラストが載っていた。葉っぱだけでなく、木と花、それに実も。

 読むまでもなく、その実には見覚えがあった。


「これはクルミ?」

「間違いありません。あの葉っぱはクルミです。ナッツのクッキーで思い出しました。クルミの葉は、乾燥して虫除けにしたり、染料を取ったり。お茶にも出来るんです」


 虫除けに染料に…クルミの葉っぱって色んな利用法があるんだな。


「な、なんだ? でぇじょうぶかい?」


 ペイジが驚きに目を見開いている。


「ペイジ!」

「お、おう」

「最近、墓地が荒らされたり、死体が盗まれたりした事件はないか調べてくれ」

「ガッテンだ! で、ソータたちは?」


 オレはクロエさんたちを振り返り、言った。


「オレとクロエさんはクルミの木が植えられている墓地を探す。のじゃ子さんは王宮の土と犬の件を頼みます」

「任せるのじゃ」

「サミちゃんはラボで証拠品の分析を続けて。何かあったら連絡するから」

「お任せください!」


 まだ手掛かりというには心許ない。

 でも、最初の手掛かりはこんなものだ。


 ここからだ。次はもっと大きな手掛かりをつかむぞ。



イナゴマメは実在の植物です。

キャロブという名前のほうが有名かも?

代用チョコとしてアレルギーもちの人に食べられているとか。機会があったらどんな味か食べてみたいですね。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

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