表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/57

#2-11.血まみれのテーブル

【まじらぼ 前回までは】

残る容疑者コールのアパートを捜索するソータ、ペイジ、クロエさん。ルミノールに反応してテーブル全体光った。ここで大量の流血が?──



     1



 テーブルのほぼ全体がルミノール液で光っている!

 つまりこのテーブルは血まみれだったということで……。


「まさかコールって…シリアルキラーなのか!?」


 ペイジもぞっとした顔で半分以上が発光しているテーブルを見ている。


「違うわよ」


 クロエさんは笑うと、テーブルに近づいた。


「この部屋には、血のにおいも肉の腐敗臭もしないもの」

「わかるの?」

「ネクロマンサーよ、アタシは。血と屍臭には敏感なの」


 さし込む赤い夕日の中、微笑むクロエさん。

 ゾっとしながらも、その笑顔にオレは一瞬見とれてしまった。


 クロエさんはテーブルに顔を寄せ、においを嗅いだ。


「ダイコン…かな? これ、テーブルの上にスープをぶちまけたのよ」

「スープだぁ? そのルミなんとかって血に反応して光るんじゃなかったのかよ?」

「……あっ!」


 思い出した。


「ルミノール液って血液以外にも、たとえば植物の酵素にも反応するんだった。たしかダイコン。あとニンジンもだっけか」


 何年か前に視た旧い刑事ドラマでそんなエピソードがあった。

 凶器だと思った包丁が、実はダイコンの酵素でルミノール反応が出たっていうのだったか。


「なんだよ。おどかしやがって」


 ペイジがホッとため息をついた。

 オレも、おっかない妄想が外れてホッとした。


 なんでも凶悪犯罪に結びつけるのは刑事ドラマの見過ぎだな。


「これからルミノールを使う時はダイコンに気をつけないとね」

「改良できないか、戻ったらサミちゃんに相談してみよう」


 クロエさんとオレが笑い合った。その時だった。


 オレたちの後ろで、ドアが開く音がした。


「「え?」」


 振り向いたオレ、そしてドアを開けた男、二人同時に声が出た。


 ドアを開けたのは40歳くらいの男だった。

 ヨレヨレの服を半分はだけただらしない格好をしている。ぼさぼさの髪は黒色。こっちの世界ではわりと珍しい髪の色だ。


「お前、コールだな」

「うわわわ!」


 ペイジが怒鳴った途端、男──コールは悲鳴のような声を上げ、逃げ出した。



     2



「待ちやがれ! コールっ!」


 叫んでペイジはコールの後を追って駆け出した。


「何してるの! 追うのよ!」


 クロエさんに背中を叩かれる。


「お、おう」


 我に返ったオレは、クロエさんの後を追ってコールの部屋を飛び出した。


 4階から3階へと階段を駆け下りる。3階から2階へ──


「うわっ!」


 先行するペイジの叫び声が上がった。


 2階でドアを開けて出て来た住民とぶつかったらしい。


「悪い! ケガはねぇな? すまない!」


 相手にケガがないことを確認して先を急ぐペイジ。


 オレとクロエさんが2階から1階に続く階段の半ばに来た時、建物の外で左右をキョロキョロしているペイジの背中が見えた。


 コールを見失ったんだ。

 右か左、どっちに行くかで迷っている……。


「えぇい!」


 ペイジが迷ったのは一瞬だった。叫んで右へと走り出す。


 外に出たオレもペイジの背中を追いかけ──


「待った!」


 ようとしたオレのえり首をクロエさんがつかんだ。

 ぐえっ! となったオレに、


「同じほうに行ってどうするの! こっちよ!」


 と、ペイジと反対方向に駆け出すクロエさん。


「そうだね!」


 クロエさんの後を追い、団地みたいな四角い建物の向こう側に回り込む。コールの姿は──見えない。


 でもクロエさんは走り続ける。

 夕陽の赤い光の中、クロエさんの銀の髪が、踊るように揺れる。きらめくその髪は本物の銀のようにキレイだ。


 いや、今は見とれている場合じゃない!


 オレは足を速め、そしてクロエさんの横に並んだ。


 左右に同じデザインの建物が並ぶ中、オレとクロエさんは駆けて行く。


 建物と建物の間に来た。

 コールがいないか左右を確認するが、姿は見えない。オレたちは先へと進む。


 コールはなぜ逃げた? ヤツが犯人なのか?


 そんなことを思いながらも、オレはワクワクしていた。

 刑事ドラマで憧れた刑事になった気分だ。


「いた!」


 団地を通り抜けたところで、コールの後ろ姿を見つけた。


 ペイジを呼んだほうがいいか? ああ、でもスマホとかはないし!


 その時、オレのすぐ隣でかん高い音が鳴った。

 クロエさんだった。二本の指をくわえて指笛を吹いたのだ。


 ピッ! ピィイイーっ! と、最初は短く、次は長く吹く。すると遠くからピィイイーッ! ピッ! と長短を逆さにした笛の音が上がった。


 時代劇で、岡っ引きが合図に吹く笛みたい…って、もしかして……。


「今のってペイジ?」

「護民兵が仲間を呼ぶ時の合図よ」


 クロエさんは笑うと、もう一度、ピッ! ピィイイーっ! と指笛を鳴らした。


「よく知ってましたね」


 そしてそれを指笛で行うなんて。やはり魔法使いって頭がいいんだな。


「護民兵には何度も追いかけられたからね。自然に覚えたの」


 追いかけられる側だったんですか。クロエさん……。



恐怖!シリアルキラーの部屋…と思いきやの肩すかし。

ダイコンでルミノールが反応は割と有名らしいですが、ドラマとかではあまり見かけませんね。

プロがこんなことで手間取っては進行が遅くなるからでしょうか?


ここまでお読みいただきありがとうございます。

よろしければブクマ、評価、リアクション、感想、レビューなどをお願いします。

質問やツッコミも大歓迎ですよ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ