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#2-7.光と闇の対決、勃発か!?

【まじらぼ 前回までは】

ソータとのじゃ子さんは、テージャスの神殿で護民兵の少女ペイジの過去を知る。彼女が冤罪を憎んでいるのは、父親が冤罪で追放されていたからだった──




     1



「へぇ、ここが魔捜研のラボかい」


 ラボにやって来たペイジは、意外そうな顔をした。


「……王さま肝いりの組織ってわりに大したことねぇな」


 ペイジの言う通りである。

 魔捜研ラボは見るからに古い館なのである。元はある貴族が愛人のために用意したって噂だ。


「急いで立ち上げたからの。あまり予算が付かなかったのじゃ」


 のじゃ子さんはそう言うと、オレのほうを見た。


「それに、ソータはマロウドじゃ。魔力の低い者に、最先端の館は暮らしにくかろうと思ってな」

「正解です。ありがとうございます」


 のじゃ子さんの笑顔にムっとしながらオレは答えた。

 でも、レストランでのトイレのことを考えると怒るわけにいかない。


「お帰り~。遅かったわね」


 ペイジを連れてラウンジに来ると、クロエさんがソファでくつろいでいた。


「サミちゃんは?」

「上でルミノールの研究中」


 クロエさんが天井を指差して言う。

 研究室は2階にある。


「で、クロエさんはくつろいでいる、と」

「集中と休憩。研究にはメリハリが大事なのよ」


 と、言ったところでクロエさんはペイジに気づいた。


「護民兵?」

「捜査に協力してくれることになった護民兵のペイジだ。ペイジ、この人はクロエさん。ネクロマンサーで──」

「ネクロマンサーのクロエ!?」


 いきなりペイジが大声を上げた。


 ペイジの様子が変わっていた。拳を握ってふるふる震えている。


「アンタ、ネクロマンサーのクロエ?」

「そうだけど?」


 大きく目を見開いてペイジがクロエさんを見つめている。握った拳がぶるぶる震えている。


 クロエさんはネクロマンサー。

 忌まわしい存在として嫌われ、差別されている。

 そして元とはいえペイジは法と正義の神テージャスの聖女だ。


 この二人、会わせちゃマズかったのでは?


 いきなり光と闇の対決が勃発か!?



     2



「ありがとう! 去年、ハッチのおばばの葬儀じゃ世話になったな」


 ペイジはクロエさんの手を取って、礼を言った。


 感激している。震えていたのは、恩人的な人に会って感動してたのか?


「ハッチのおばば?」


 赤い目を見開いて、きょとんとするクロエさん。


「ダンカン通りの質屋やってたドワーフのばーさんだよ」

「ああ、あれね」


 思い出したクロエさんが、オレのほうを見た。


「牢にぶちこまれる前のことよ。家族が用事で留守にしていた間に亡くなったばーさんがいてね。蒸し暑い日が続いてたから、遺体がデロデロのすごいことになっていたの」


 デロデロって…想像もしたくない。

 顔をしかめたオレを見てクロエさんがニヤニヤ笑う。イイ性格してるよ、この人。


「そんな遺体だから、どこの葬儀屋も引き受けてくれなくてさ」


 ペイジが言う。


「それをこの人が、料金三割増しって破格の値段で引き受けてくれたンだよ。遺体もしっかりキレイに整えてくれてさ。会って礼をいいたかったんだ! ありがとうよ!」


 クロエさんの両手をにぎってぶんぶん振るペイジ。


「クロエさんって、意外とやさしいとこあるよね」


 そういや、クロエさんが牢にぶちこまれた理由もそうだ。もう一度おばぁちゃんに会いたいっていう子どもの願いを叶えたからだっけ。オレのことはからかってばかりだけど。


「儲かるから引き受けただけよ。料金倍にしとくんだった」


 と、そっぽを向くクロエさん。


 おおっ! これはレアだ! 照れたクロエさん。

 スマホがあったら撮影、保存しておきたいくらいだ。


「で、護民兵──ペイジだっけ。何しに来たの?」


 クロエさんが話題を変えた。


「今回の事件で協力してくれることになったんだ。それで詳しい情報交換をって」

「そういうことだ。よろしく頼むぜ」


 そう言うと、ペイジはクロエさんの隣に、どっかと腰を下ろした。


「あとはサミちゃんを呼んで──」


 オレが言いかけた時。


 ずどん! という爆発音が上がり、建物が揺れた。


「な、なんだ?」

「何事でい?」


 オレとペイジは爆発音がした方向──天井を見上げた。


「研究室か?」


 この館で爆破するようなものがあるのは2階にある研究室くらいだ。

 そして研究室ではサミちゃんがルミノール液の開発をしていたはず……。


 オレは急いで階段を駆け上がった。


 サミちゃん!


 捜査のための薬品類を開発する研究室のドアには、サミちゃんお手製の「研究中」のプレートが下げられていた。


 無事だよな?


 サミちゃんの無事を祈りながらドアを開けると──


「サミちゃん! 大丈夫?」

「あ、ソータさん。お帰りなさい」


 明るい、癒やし系の笑顔で迎えられた。


 建物が揺れるほどの爆発があったのに…さっきの爆発は幻覚か?


 いや、よく見たら、サミちゃんの青い髪がちょっとボサボサになっているし、机の上には砕けたフラスコの残骸が散らばっている。


「今、爆発があったみたいだけど?」

「すみません。ドジっちゃいました」


 えへへと笑うサミちゃん。


「心配かけてすみません。でも大丈夫! 慣れてますから」

「お、おう……」


 ルミノール液の開発でなんで爆発したんだ、とか。爆発って慣れるものなのか、とか。色々ツッコミたい気はしたのだけど、サミちゃんのほんわかした笑顔を見てたら、なんかどうでもよくなってしまった。


「捜査に協力してくれる護民兵が来ているんだ。片付けたら、ラウンジに来てね」

「はぁい」


 青い髪を手ぐしで直すサミちゃん。


 ここはファンタジーな異世界。細かいことを気にしたら負けだ。



クロエさんとペイジ、気が合うようです。

どちらも自分に正直でノリが良い性格をしているからですね。

メンツも揃ったことで、次話から物語が動き出しますよ!


ここまでお読みいただきありがとうございます。

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質問やツッコミも大歓迎ですよ!

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