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まじらぼ 異世界こぇえ…(((;゜Д゜))) 魔法で科学捜査して冤罪を晴らす研究所 異世界のCSI  作者: GIN
File01 異世界で、科学捜査官ならぬ魔法捜査官になった件
13/57

#1-13.誕生、魔法捜査研究所

【まじらぼ 前回までは】

自分自身、サミちゃんの冤罪を科学捜査の手法で晴らしたソータ。それを聞いたのじゃ子さんは、ソータに、科学捜査をこの国でやってみないか? と誘うのだった──



     1



「この国──いやこの世界は、犯罪捜査の技術や手法がまるでなっておらん。それ故、罪を逃れて笑う者、冤罪に泣く者が数多くいる。お主がこの世界に転移したのは、これを正すためではないかと思うのじゃ」

「はあ」

「わしの考え通りなら、お主の捜査手法がこの国に根付いた時、元の世界に還ることができるじゃろう」

「ほんとに?」

「あくまで仮説じゃがな」

「むぅ……」


 仮説か。


 でも、今のところ、これが元の世界に還る唯一の方法なんだよな。


 それに、何かしら仕事を見つけないと生きて行けない。知らない世界で職探しするよりいいだろう。


「……やります!」


 オレは心を決めた。


 このファンタジーな異世界で科学捜査官になるんだ。

 いや魔法文明の世界だから魔法捜査官だな。科捜研ならぬ魔捜研だ。


「うむ、よう言った。詳しいことは晩メシでも食いながら話そうか」


 先に立って歩き出すのじゃ子さん。


「……そうだ!」


 のじゃ子さんの後を追いかけようとして、オレはあることを思いついた。


「一つ、お願いがあるんですが」



     ×   ×   ×



 ──二日後。


 町外れにある監獄。


 中から出て来たその人は、手をかざしてまぶしそうに空を眺めた。


「おつとめ、ご苦労様です。クロエさん」

「あれ? あんたは……」


 声をかけると、クロエさんはきょとんしてオレを見た。


「借りを返しに来ましたよ。クロエさん」

「特赦だなんておかしいと思ったけど…まさかあんたが?」

「オレではなく、この方です」


 オレはそばにいるのじゃ子さんを指し示した。


「ソータが世話になったの。わしはこやつの後見、ノーマ・ナージャ・コンリーロじゃ」

「大賢者コンリーロさま!?」


 クロエさんが仰天した。


 この人が驚くくらいのじゃ子さんはスゴい人だった。


 なんせ「ちょっと会ってくる」と言って、アポもなしに王さまに会いに行き、魔法捜査研究所の設立を認めてもらい、ついでにクロエさんの特赦状も手に入れたんだ。

 この間、一時間ほどである。

 偉いっていうかドエライ人だ。


「クロエさんの知識と死霊魔法が役立つ仕事があるんですが。いっしょにやりませんか?」


 クロエさんは目をぱちくりすると、


「面白そうね」


 と、いたずらっ子のような顔で笑った。



     ×   ×   ×



 ──大衆食堂『日の出』。


 オレたちが訪ねた時、サミちゃんは二階にある自分の部屋で、故郷に帰る荷造りをしていた。


 食堂の女将さんが、オレたちが来たことを知らせると、


「はい、すぐ行きます」


 と、元気な声がした。そして「きゃああ!」とかわいい悲鳴と、どだだだーっ! と、階段から転げおちる音が続いた。


「さ、サミちゃん?」


 今、ものすごい音がしたぞ? 大丈夫かな…と奥をのぞき込むと、


「ソータさん、先生!」


 サミちゃんはかすり傷一つなかった。青いきれいな髪がちょっと乱れているだけだ。


「その節はお世話になりました」


 サミちゃんの元気な笑顔。


 立ち直りが早いなあ。彼女の笑顔に、オレは救われた気がした。


「君の力を貸してほしいんだ。サミちゃん」

「はい! なんなりと!」


 二つ返事、即行OKした後で、


「それで、何をすればいいんですか?」


 サミちゃんはかわいく首を傾げた。


 これが、のじゃ子さんにした「お願い」だった。


 クロエさんとサミちゃんを魔捜研の研究員に迎える。

 二人の技術が、科学捜査を魔法で再現するのにぴったりだとひらめいたんだ。


 この世界で数少ない顔見知りだというのも大きいけどね。



     2



 そんなわけで、クレイエラ王国に、科学捜査を魔法で行う組織、魔法捜査研究所が誕生した。


 所長は大賢者のじゃ子さん。


 主任研究員はオレ。ソータこと南城乃 惣太。


 死因、凶器の特定をする監察医は死霊術師のクロエさん。


 証拠の採取と分析は錬金術師のサミちゃん。


 四人だけのちっぽけな組織である。


 ちょっとさびしい裏通りにある古びた屋敷。

 そこがオレたちのラボだった。


 ある貴族のものだったというその屋敷は、地上3階、地下1階。テニスコートくらいの広さの庭もついていて、なかなか大きい。


 1階は事務や会議なんかの共有スペース。

 2階は分析や研究室。地下室はかなり広くて、検屍や大がかりな分析に使うことになっている。

 そして3階はオレたち研究員の部屋だ。

 つまりこの屋敷はラボでありオレたちの家でもあるのだった。


「なんかヒマねぇ」


 1階の会議室兼ラウンジ。そのソファに寝転がり、クロエさんがつぶやいた。


 のじゃ子さんは大賢者としての公務があるとかで、初日以外は留守にしていた。ラボにいるのはオレ、クロエさん、サミちゃんの三人だった。


「ヒマなのは事件がない証拠ですよ」


 お茶とクッキーをテーブルに置きながらサミちゃんが言う。


 魔法捜査研究所、略して魔捜研が開かれて1週間ほど。

 王国全土に布告のビラがまかれたけど、世間の反応はイマイチ。オレたちが呼ばれるような事件はあまりなかった。


 この1週間で出動したのは2回だけ。


 最初の事件は事故死。2件目なんて裁判で使う証拠のための指紋検出だった。どっちも1時間とたたず終わった。


「ヒマなら手伝ってくださいよ。クロエさん」


 サミちゃんからティーカップを受け取り、オレは言った。


「サミちゃんのクッキーおいしい~」


 オレを無視してクロエさんはクッキーをぱくついた。


 クロエさんはヒマだと言ってたけどオレは大忙しだった。


 山のような事務仕事があるのだ。

 書類、書類、書類……とにかく書類である。


 立ち上げたばかりの組織だからなのか、それともこの国の役人が細かいのか。経理作業はじめ、関係機関に提出する報告書や申請書などがやたらと多い。


 ラボに来た初日、のじゃ子さんに


「わしは所長じゃが、それは名目上のこと。実質的な運営はソータに任せる」


 と、丸投げされた。


「のじゃ子さん、書類仕事がイヤだからラボに来ないんじゃないか?」


 そんなことをつぶやいた時だ。


 パタパタと羽音がして、メールバードが飛び込んで来た。


 ぽんっ! と破裂音が鳴り、青と白の半透明な小鳥は手紙に戻り、テーブルの上に落ちた。


 手紙を読んだクロエさんは目を輝かせた。


「殺人事件よ! 下町の酒場で、店主が殺されたって」


 手紙は騎士団からの速達だった。


「やったねソータ。お待ちかねの殺人事件よ」

「マジで殺人なんですか? あと人聞きの悪いこと言わないでください」


 知らない人が聞いたら、オレが殺人や死体が大好きな人間だと誤解するじゃないか。


「後頭部をかち割られてるそうだからマジの殺人よ」

「魔捜研が手がける最初の殺人事件ですね」


 ワクワク顔のクロエさんと緊張気味のサミちゃん。


 オレも緊張半分、期待半分といった感じだ。


 殺人事件の現場なんてこわいけど、大きな事件を解決したいという気持ちもある。

 その意味では「お待ちかね」というのもはずれてはいないな。


 オレはサミちゃんの淹れてくれたハーブティを一気に飲み干し、


「よし、魔捜研出動!」


 と、気合いを入れて宣言した。




(File01 異世界で、科学捜査官ならぬ魔法捜査官になった件 おわり)



まじらぼ 第1話でした。

今回はキャラ紹介と魔捜研ができた経緯についてという内容でした。

次の2話(章)から、本格的な捜査の物語がはじまります。

そして新キャラも登場!


ここまでお読みいただきありがとうございます。

よろしければブクマ、評価、リアクション、感想、レビューなどをお願いします。

質問やツッコミも大歓迎ですよ!


それでは、2話でお会いしましょう(・ω・)ノシ

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