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破滅エンドの回避なんてめんどくさいっ!〜悪役令嬢の私は異世界を満喫しつつ五年の余生で国を滅ぼそうと思います!〜  作者: 早野冬哉


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40.訓練と今後の計画

「おうシルヴィア! 今日は珍しく遅かったじゃねえか。今日は乱戦訓練だ」


 ノアとサンドイッチを食べ尽くした後、私は予定通り私兵たちの訓練場に来ていた。と言っても、サンドイッチの七割方はノアが平らげてしまったのだが……。


「遅れてごめんなさい。すぐに参加するわ」


 質素なワンピースに着替えてきた私は、腰から下げている剣を引き抜き、中庭に降りる。


「シルヴィアお嬢様だ」


「お嬢様が来ちまったぞ!」


「団結して一気に叩かないと瞬殺されるぞ、かかれっ!」


 その瞬間、それまで斬り合っていた私兵たちが四方八方から一斉に私に牙を剥く。


 乱戦訓練は、武器を手放すか峰打ちされたら脱落だったわね。


 乱れなく一斉に振るわれる三十を超える剣。その全ての剣筋を見切り、私は最小限の動きで回避。そして弾く。


 カキカキンッ……カカカキンッ!


 そうして私は三十ほど残っていた私兵たちの、約半数の剣を弾き上げた。


「おまえらなぁ……」


 部下たちの見事なまでの諦めの速さと、そのやられっぷりにゲインは金色の目を閉じて赤髪を掻きむしる。そして、


「俺もいくぜ!」


 彼もまた、豪快に剣を引き抜いて私に突撃してくる。刹那、私の剣とゲインの剣が交錯し幾度も金属同士の衝突音が鳴り響く。


「お嬢様、俺たちもいるぞ!」


 私がゲインから距離を取った瞬間、残り十五人ほどの私兵たちが三つのグループに分かれて波状攻撃を仕掛けてくる。


 私はその全てを紙一重でかわし、瞬きにも満たないグループ交代の瞬間を狙って地面を蹴った。


「ぐあぁっ……!」


 前衛グループを薙ぎ払い、今下がったばかりで態勢が整っていないグループとの距離を殺す。


 よし、貰った!


 目にも止まらぬ五連撃で後衛グループの全員を脱落させる。すると次の瞬間、剣を弾かれた私兵たちの間からゲインが稲妻のごとき速さと鋭さの突きを放つ。


 ピッ……。


 刃が掠めた頬から血が滲む。半歩左にずれてもかわしきれなかったゲインの突き。だが私は、ゲインが剣を引き戻す前に剣を弾いた。


「マジかよ?!」


 ゲインが驚いて口を開け終わる頃には、残りの私兵たちの武器も全て弾き終わっていた。


「ありがとうございました」


 芝生や土の上に寝転がったり、腰に手を当て天を仰いでいたり。そんな彼らに対戦してくれたお礼を言うと、あちこちから声が上がった。


「お嬢様強すぎ……」


「なんでたった数ヶ月でそこまで強くなれるんだよ……」


 そんな声を聞きながら、私はもう一度頭を下げて訓練場を去った。


***


 メイガストやオルカスと夕食を摂り終え、私はノアと一緒に自室へと戻った。その後すぐに私はベットに転がり、ぼんやりと赤い天幕を見上げた。


 ようやく、いろいろと準備が整ってきたわね。冒険者や公爵令嬢として異世界を満喫する基盤も出来上がったし、滅国のための戦略もまだ足りないけれど少しは増えた。


「ねえノア。あなた、もう実践に対応できるくらい強くなったわよね?」


「そうなのですか? あたしなど、シルヴィアお嬢様の足元にも及びませんが……」


「三日前、ちゃんと暗殺者を瞬殺したじゃない。慢心はしない方がいいけれど、あなたはもう少し自信を持ちなさい」


「はい。お褒めに預かり光栄です」


 お辞儀をするノアを見て、私は上体を起こす。


「それで本題なのだけど……ノアには王都にあるアルガルド公爵家と、王都近郊にあるアルガルド公爵領の様子を探ってきて欲しいのよ」


「つまりは不敬にもシルヴィアお嬢様の命を狙った者どもを領地ごと滅ぼすための情報収集、ということですね?」


 いつにも増して語気の強いノアに内心驚きつつ、私は神妙に頷いた。


「そうよ。一歩間違えていたらオルカスやメイドたち、最悪お父様も殺されていたかもしれない。だから二度とこんなことが起きないように、私がアルガルド公爵家をこのエステワ王国から処分するのよ」


「素晴らしいお考えですお嬢様! そうか……領地の方は滅国の予行演習に使うのですね?」


「ええそうよ。けれど今はまだ戦力を探している段階だから、試してみたい戦力が見つかるまではアルガルド公爵家にも仕掛けないわ。だから焦らず慎重に情報収集してきなさい」


「わかりました。行って参ります」


 そうしてノアは、夜闇に紛れてレイネル公爵家から姿を消した。


「これで残っているのは戦力探しだけね……」


 そこでふと、忘れかけていた三人の冒険者のことが頭に浮かんだ。


「そう言えば『王の鉤爪』はもうとっくに目的地の城塞都市シエラについている頃よね。冒険者の依頼をこなしていれば、またノアの時みたいにいい人材が見つかるかもしれないし、一度顔を出すのもありかもね」


 通常、転移魔法では一度行ったことがある場所にしか転移できない。けれど私は彼らが王都を立つ前、セレナには転移魔法の行き先を設定するマーカー? みたいな役割を果たす転移石を渡した。


 だから今すぐにでも私はシエラに行くことができる。


「確かゼルさんが、最難関ダンジョンの『夢想の神殿』はシエラの近くにあるって言ってたわね。そこも攻略したいし、明日にはシエラに行こう」


 滅国の準備もちゃんと進んでいるし、私、結構異世界を満喫できてるわね!


 私はこれからの日々に起こる出来事を夢想して、心地よい眠りに沈んでいった。

*********

 この話で「破滅エンドの回避なんて面倒くさいっ!」は完結になります。ここまでシルヴィアの物語についてきてくださり、ありがとうございました!


 ちなみに本日はおまけとして「城塞都市シエラへと向かうセレナたちの旅路」を二十時半頃に投稿します!


*********


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