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破滅エンドの回避なんてめんどくさいっ!〜悪役令嬢の私は異世界を満喫しつつ五年の余生で国を滅ぼそうと思います!〜  作者: 冬哉


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23.貧民狩り、そして作戦開始

「ガーランド。おまえはいつもオレの期待を上回るな!」


 必死に逃げ隠れする貧民たちが、ガーランドの部下である荒くれ者たちによって次々と命を奪われていく。


 そんな地獄絵図を目の当たりにして、無邪気な子供のように目を輝かせるアード。そんな狂気じみたアードの姿に、ゼル、ユーク、セレナの三人は恐怖すら覚えたようだ。


 一体どんな教育をしたらああなるのかしら? 実はあの退屈な道徳の授業も、教育上必要なものだったのかもしれないわね。


「お褒めに預かり光栄でございます。いかがですアード殿下? どの平民が最後まで生き残るか賭けてみるというのは」


「それは面白そうだな。……ならばオレは、あの茶色い髪の男に賭けるぞ。ガーランド、おまえは誰に賭ける?」


「そうですねぇ……わたくしはあの狼の獣人の少年に賭けましょう。獣人は身体能力が高いですからねぇ、長く逃げられるでしょう」


 殺戮が執り行われているすぐ隣で談笑するアードとガーランド。そんな状況に、とうとうセレナの精神は限界を迎えた。


「わたし、もう耐えられないよ! どうしてみんな、理不尽に酷い目に遭っている人たちを助けてあげないの!」


「どこへ行くんだセレナ!」


 ゼルの制止を振り切って、セレナは貧民街を抜けて大通りに出ようとしていた。


 この展開はありがたいわ! もうそろそろノアが動き出す時間。このタイミングでアードとガーランドから離れられるのなら、ノアが現れた時、下手な芝居を打たなくてもすむからね。


「私がセレナを追いかけますから、お二人はアード殿下の護衛をお願いします」


「わかった。ルヴィアさん……セレナを頼む」


「はい」


 私はセレナを追って大通りへと戻る。するとセレナは、ラドスの町から出ようと正門に向かっていた。それを確認して私は、セレナに探査魔法用の発信源を付与し、セレナが町の外へ出るのを見届ける。


 これで自由に動けるわね。


 私は透明化の魔法を行使して姿を消すと、建物の屋根に飛び移り、アードたちが貧民を襲っていた場所の近くまで戻った。


「よし! ガーランド、賭けはオレの勝ちだな」


「いやはや、アード殿下には敵いませんな」


 選んだ貧民がいつまで殺されずに逃げられるかを競っていたアードとガーランド。彼らは貧民たちが次々と命を落としていく前で、依然その賭けを楽しんでいたようだ。そんな二人を前に、ゼルとユークは置物のように佇んでいた。


「ヒヒッ……そうか」


 貧民を殺害してまわっていた荒くれ者の一人がガーランドに耳打ちすると、ガーランドは下卑た笑い声を上げた。


「どうしたガーランド? 貧民の数が減ってきているようだが……」


「移動しましょうアード殿下。どうやら貧民どものほとんどを地下闘技場のある辺りに追い込んだそうです」


「そうか。ならば行くぞ。オレはこの程度じゃまだまだ満足できんからな。もっとオレを楽しませてくれ」


 私が地下闘技場の方へと向かうアードたちを家屋の屋根の上から見下ろしていると、地下闘技場に隠したアンデットたちの気配が強くなるのを感じ取った。


 そろそろね。


 ガンッ! ガンッ! ガタッ……。


「なんだこの音は?!」


「金属が何かに叩きつけられるような音……この辺りにある金属製のものといえば、地下闘技場へと繋がる扉くらいのはずなのですが……」


 違和感を感じたガーランドが、アードたちの歩みを制止させて、荒くれ者たちに地下闘技場の入り口を確認しに行かせた。その時、


「ウウゥゥゥゥうぅぅ……」


 渇いた喉から絞り出されたうめき声とともに、大量のゾンビが、地下闘技場から洪水のように溢れ出した。その光景を見て、ガーランドは顔を青ざめた。


「これは一体……闘技場で何が……」


「なんだこれはあぁぁあ!」


「お下がりください殿下! 今すぐ避難を……」


「おまえはオレを守れ! 誰でもいい……ガーランドの屋敷からオレの馬車をもってこい! オレは今すぐ王都に帰る。オレは平民どもとは違う特別な人間だ! こんなところで死んでいいはずがない!」


 無様に尻餅をついて喚き散らすアード。ゼルは取り乱すアードを抱えてゾンビたちから距離を取ろうと走り出した。


「ユーク!」


(先に屋敷に戻って馬車を取ってきてくれ)


「わかった……」


 ユークの名を呼び、アイコンタクトを取ったゼル。するとユークはすぐさま彼の意図を理解して屋敷に向かった。対してガーランド辺境伯も荒くれ者たちに指示を出し、屋敷へと戻る。


「始まったわね」


 私はガーランドとゼルたちの位置を確認してから、ビー玉ほどの大きさのファイアボールを足元に落とす。


 羽のようにゆっくりと落下する濃縮された火の玉。それが地面に触れた途端、ラドスの町中に炎が迸る。私は街中だけでなく外壁にも炎が行き渡ったことを確認して呟く。


「これで大抵の人はこの町から逃げられない。あとはもう、この町の人たちをどうするかはあなた次第よ」


 地下闘技場の入り口がある民家を見やると、ちょうどそこから長いブロンドヘアを靡かせたノアが姿を現した。


「舞台は整えたわ。ノア、あなたの狂気と憎悪、存分に見せてみなさい! あなたには、私とともに破滅の道を歩む資質があると信じているのだから」

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