99.至高のお客様対応
その日の夜も、佐々木たちはレイラに誘われ、カジノへ行くことになった。
出かける直前、リベラが佐々木に進言した。
「佐々木様。昨日あまりにも目立ちすぎましたので、今日は最初の3回だけにしましょう。そして今日はノアさん、メイリンさんに加え、アテナさんにも参加してもらいましょう」
アテナは目を丸くした。
「えっいいの?私、ギャンブル弱いけど」
「はい。私たちの目的はお金儲けではありません。むしろお金は損する方がいらぬ遺恨を残さないでしょう」
リベラはきっぱりと言った。
「皆様には今日は5000万クレジットずつお渡しします。勝ち負けは気にせず楽しんで下さい」
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佐々木がテーブルに着くと、昨日の男性が近づいてきた。
「やぁ、待ってましたよ。今日もよろしくお願いします」
佐々木は笑顔で頷き、席についた。
佐々木は、テーブルリミットの3000万クレジットをベットし、あっという間に3回連続で勝利し9000万クレジットを手にした。
はじめて佐々木の強運を目の当たりにしたアテナは異常な興奮を覚えた。
流石にカジノの空気を読み、佐々木は3回目が終わったところで立ち上がり、リベラと2人でラウンジへ移動することにした。
移動の際、リベラの後ろにレイラも付いてきた。
佐々木たちがラウンジで席に着くと、レイラは給仕に指示し、すぐにコーヒーが運ばれてきた。
佐々木は温かいコーヒーを一口飲むと、レイラはその静かな様子を見定めて、切り出した。
「佐々木様。当カジノに満足されていないのではないでしょうか?」
リベラが代弁した。
「そうですね。佐々木様の預け金は100億クレジットに登ります。これほどの資金があるにもかかわらず、リミットが3000万クレジットでは、正直、あまりヒリヒリとするようなゲームを楽しめませんね」
レイラは優雅に微笑んだ。
「なるほど。例えば、テーブルリミットのないゲームでしたら、いかがでございましょうか?」
「それは面白そうですね」
リベラがレイラの提案に興味を示した。
レイラは、少し声を落とした。
「ご要望にお応えできます。ただし、その場合は、今の『VIPルーム』から『インペリアル・ルーム』へ移動していただくことになります」
レイラは説明を続けた。
「インペリアル・ルームは、テーブルリミットのない特別なゲームとなりますので、他のVIPの方の目に触れさせる訳にはいきません。佐々木様のような特別な方にのみ紹介させていただいています」
佐々木は立ち上がりながら、楽しげに言った。
「それはおもしろいかもね」
レイラはすぐに立ち上がり、恭しく佐々木たちに深々と頭を下げた。
「では、私に付いてきてください」
レイラは佐々木とリベラを連れ、VIPルームを後にし、一般には公開されていないエレベーターへと誘導した。




