97.強運の賭け
夜。
最高級のスイートルームで着替えを済ませた佐々木たちのもとに、レイラが訪れた。
「佐々木様、カジノのVIPエリアへご案内いたします」
佐々木はダークスーツ、ノアとメイリンはそれぞれ胸元が大胆に開いた華やかなイブニングドレスに身を包んでいた。
佐々木は左右から2人に挟まれ、恥ずかしそうに腕を組んで移動した。
リベラは黒のスーツ姿で3人の一歩後ろに続いた。
レイラに連れられ通されたのは、一般フロアから隔離された専用のVIPルームだった。
部屋に入るとバカラテーブルが6つ並び、すでに2つのテーブルではVIPたちが静かにゲームに興じていた。
佐々木たちも空いていたテーブルの一つに通された。
リベラは佐々木たちにそれぞれ3000万クレジットのチップを渡した。
「佐々木様。とりあえずこちらでお楽しみ下さい」
「おっしゃ!」
メイリンはチップを掴んで目を輝かせた。
ノアは緊張した面持ちでテーブルを見つめていた。
佐々木はもともとギャンブルに興味がなく、ゲームの駆け引きを楽しむ気はなかった。
「じゃあ、これで」
佐々木はテーブルリミット金額、渡された3000万クレジットすべてをベットした。
「「「えっ?」」」
その賭け方を見た人たちは佐々木の行動に息を飲んだ。
周囲のVIP客も、隣のテーブルの美女たちの騒ぎが気になった。
ディーラーがカードを開くと、佐々木の勝利。
一投でチップは倍の6000万クレジットになった。
「やったー!佐々木、すごい!」
メイリンが興奮して佐々木に抱きつく。
恥ずかしそうにしながら、佐々木は再び3000万クレジットをベットした。
結果は再び勝利し、チップ総額は9000万クレジットに膨れ上がった。
佐々木たちのテーブルの異様な盛り上がりに、隣のテーブルで賭けていた60代の男性が立ち上がり、佐々木たちのテーブルへ近づいてきた。
「すみません。私もぜひ、この流れに乗らせていただいてもよろしいでしょうか?」
「どうぞ、どうぞ」
と佐々木は答え、男性が佐々木の隣に座った。
佐々木は男性に構わず、その後も連続で3000万クレジットをベットし続け、すべて勝利を収めた。
連勝回数は合計6回に達し、テーブルのチップは最終的に2億1000万クレジットに跳ね上がった。
佐々木は、ディーラーとレイラが冷や汗を流しているのを感じ取った。
このまま続ければカジノ側のメンツが潰れてしまうと判断した。
「今日はもう十分楽しませてもらいました。これで席を外します」
佐々木はそう言って、椅子から立ち上がった。
佐々木の行動にレイラとディーラーは、安堵の表情を浮かべた。
佐々木はリベラにノアとメイリンの事を任せ、レイラにラウンジへ連れて行ってもらうことにした。
佐々木がVIPラウンジでレイラにコーヒーと軽食をお願いし、待っていると、先ほどテーブルで一緒だった60代の男性がやってきた。
男は自分の名を名乗り礼を述べた。
「さっきは本当にありがとう。君のおかげで、ここに来てからの負けが帳消しになったよ」
「ギャンブルがお好きなんですか?」
佐々木の質問に男は苦笑した。
「こればっかりはやめられなくてね。今までに総額100億クレジットぐらい勝ってるかな」
佐々木がすごいと言うと。
「でも、110億クレジットぐらい負けているけどね」
と、男のお決まりのジョークを聞かせてくれた。
男は翌日も佐々木の幸運に乗っかりたいといい。
佐々木もタイミングが合うようでしたらとそれを了承した。
男は佐々木に感謝を述べて、再びカジノへ戻っていった。
佐々木がしばらくしてVIPルームへ戻ると、テーブルは静まり返っていた。
そこにはチップをすべて失ったメイリンと、なんとかプラマイゼロに留めたノアが疲れた顔をして座っていた。




