95.領主からの依頼
翌朝。
佐々木は圧迫感と息苦しさで目を覚ました。
左右には、裸のメイリンとノアが、ぴったりと佐々木に体を密着させて眠っていた。
佐々木自身もなぜか裸の状態だった。
息苦しさからもぞもぞと体を動かすと、ノアが寝ぼけながら目を覚ます。
ノアは佐々木と二人きりだと勘違いしたようで、甘えた声で佐々木にもたれかかった。
「ささきぃ、おはよぅ」
「ほぅほぅ。ノアちゃんって、そういう感じで甘えるんだ」
メイリンの声に、急激に覚醒しするノア。
裸で佐々木に抱きついているのをメイリンに見られているという異常な状態に気づき、顔を真っ赤にして飛び退いた。
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シャワーを浴び、さっぱりしたところで、3人は朝食を食べ始めた。
ノアは、リベラに詰め寄った。
「リベラ! 私たちを裸にしたのはあなた?」
「ええ、私の言いつけを守らず、外食に出て、他人の車を乗り回し、傷をつけ、領主様の家で酔っぱらっていたお2人を回収し、ホテルまで連れ帰り、暑い暑いとしきりに言っておられたので服を脱がし、裸にしたのはこの私です」
怒りを上回る感情に2人の口から同じ言葉が発せられた。
「「…ありがとうございました」」
そこで、ふと疑問が湧いた佐々木が聞いた。
「えっ、じゃぁ僕は?」
「裸の美女2人に挟まれているのに、佐々木様が服を着ているなんて無粋じゃありませんか?」
リベラの説明に、メイリンは確かにとすぐに納得した。
同じくノアも自分が裸で佐々木が服をキチッと着ているのはイヤだと思い、うなずいてしまった。
ここに、ひとつも怒りのない平和な朝食風景が完成した。
食べ終えた頃、昨日同様、ゾルグの秘書がやってきた。
「佐々木さん。領主様からのご依頼事項をお伝えに参りました」
話によると、カース星の近隣の星に豊富な資源が眠っているのだが、その星の開拓計画がうまくいっていないらしい。
どうやら、宇宙海賊たちが根城を作っており、なかなか近寄れないのだとか。
リベラは佐々木に代わって話を進めた。
「なるほど。資源採掘は、我々が最も得意とする分野です。ちなみにその星は採掘が主な目的で、居住などは考えておらず、資源を掘り尽くせば放置する認識で合っていますか?」
秘書はリベラの質問にそうですと答えた。
「了解いたしました。我が社で採掘を代行させて頂きます」
リベラは、即座に約束した。
秘書が去った後、佐々木はリベラに尋ねた。
「リベラ、これからどうするつもりなの?」
リベラは佐々木の質問にごく簡単に答えた。
「いつものように、ナノマシンで資源を回収するだけです」
「具体的にどうやるの?」
ノアは眉をひそめた。
リベラは詳しく説明を始めた。
「我々の資源回収にはナノマシンを使います。ナノマシンは資源がありそうな場所を広範囲に探索し、特定の資源を見つけると、集団でそれに取り付き、塊として集めます。資源がある程度集まったところで、運搬船を呼び、積み込んでアークへ帰還します」
「運搬船が海賊に襲われたらどうするの?」
ノアが尋ねた。
「当然、宇宙海賊に狙われるリスクがあるため、運搬船には自爆装置をつけています。自爆で宇宙海賊を葬った後、ナノマシンに爆散した付近の資源を回収させれば、我々に損失はありません」
しかし、リベラは今回の宇宙海賊の根城となっている星では、やり方を変えると言った。
「今回は、自爆装置のついた運搬船を、宇宙海賊の根城付近へ意図的に墜落させます。その爆発によって宇宙海賊を攪乱し、その間にナノマシンで資源を回収させます。ある程度集まったところで運搬船を呼び、資源を積み込み帰還させる。帰還先はもちろん、カースの宇宙港です」
「さて、ここでの私たちの仕事はいったんおしまいです。次にここへ来るのは運搬船がカース港に着く頃ですね。次の目的の場所に行きましょう」
リベラはそう言って支度をはじめた。




