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宇宙船は俺の楽園~百年の眠りから目覚めた、孤独な億万長者~  作者: まいぷろ
第16章:新生アヴァロンの礎

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83.プロジェクトの再始動

佐々木の部屋。

環境光が穏やかに室内を照らし、佐々木はベッドの上で目を覚ました。

彼の隣では、セレネが佐々木の胸元に頭を寄せ、安らかな寝息を立てている。


佐々木は静かにセレネの柔らかな髪を撫でた。

昨晩、佐々木が食堂から連れ出された後、2人は久しぶりの再会を分かち合った。


アヴァロンの食堂には、リベラと、アード、そしてアテネが、かんたんな食事を摂っていた。


食堂の扉が開き、佐々木が入ってきた。

その片腕には、すっかり機嫌の良くなったセレネが抱きついている。


佐々木は皆に恥ずかしそうに微笑みかけ、着席した。


リベラが、言葉を選びながら口を開いた。

「佐々木様。昨晩は、…」


リベラが言い切る前に、アテネが笑顔でカットインした。

「さみしくはなかったんじゃない?」


佐々木はセレネの方を見ながら、さらに恥ずかしそうに答えた。

「おかげさまで。いつもありがとうございます」


「皆さま。本日は改めて、新たな協力者についてお話させてください」

食事が落ち着いたところで、リベラが改めて状況を説明し始めた。


「まず、オリーヴさんについてですが、リリィさんから出発の通信が入りました。予定ではもうすぐこちらに到着します」


「続いて、ゼウスさんについてですが、現在、新しいボディへの換装中です。ゼロさんがそれに付き従い、サポートを行っています」


それから数時間後、食堂の扉が再び開いた。

入ってきたのは、オリーヴと、彼女に付き添うリリィだった。


「リリィ!」

リーナが席を立って駆け寄った。


アードはオリーヴを見て、ニヤリと笑った。

「オリーヴ!お前もアヴァロンに未練があったんだな」


「アード。久しぶりだね。そういうアンタも私と同じなんだろ。今度こそ誰も攻め込めないアヴァロンが作れそうだね」


歓迎ムードの中、オリーヴは周囲を見回した。

「ところで、ゼウスはどうなったんだい?」


リベラはオリーヴの質問に穏やかに答えた。

「はい、オリーヴさん。このプロジェクトへの参加を、無事、了承していただきました」


「ただ、ゼウスさんは...」

リベラが言葉を選び続きを話そうとした所、食堂の扉が再び開いた。


そこには、背が高く、引き締まった体躯を持つ男が立っていた。

男のすぐ後ろには、アンドロイドのゼロが付き従っていた。


その姿を見たアードとオリーヴは、同時に大声を上げた。


「「ゼウス!」」


「おお、オリーヴじゃないか。ひさびさだな」

そう答える男は、40代の姿をしていた。

「せっかく義体に入るなら、40年前の姿にしてみたんだがどうだ?」


「義体って、何があったんだい?」

ゼウスは手短に自分に起こった出来事をオリーヴに説明した。


「ってことは、その体には脳みそを含めて一切の生体組織はないってことかい?…なんというか、なかなか業の深い技術だねぇ」


そんな話を年配組で話し込んでいると、食堂にノアが入ってきた。


リベラはノアに語りかけた。

「ノアさん。新しいメンバーを紹介しますね」


ノアはリベラに今はいいと返事をして、セレネに近づいた。

「セレネさん。じゃぁ次は私が佐々木さんをお借りしますね」


佐々木を引いて食堂から出ていったノアをみてアテネが言った。

「ハーレムの(あるじ)に休みはなさそうだね」


「では、ゼウスさん、オリーヴさん。このアークと新生アヴァロンについて先に説明させて下さい」

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