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宇宙船は俺の楽園~百年の眠りから目覚めた、孤独な億万長者~  作者: まいぷろ
第16章:

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82/86

82.ハーレムへの帰還

15章のあらすじ

登場人物:佐々木啓介(30歳、男性)、リベラ(船のAI、女性)、メイリン(なんでも屋、29歳、女性)ゼロ(ゼウスのアンドロイド、女性)、ゼウス(技術者、ゴースト)

アヴァロンのエンジン開発のため、佐々木一行は辺境のコロニー「ヴァリアス」へ天才技術者ゼウスを探しに向かい、彼の高性能アンドロイド、ゼロと合流。ゼウスが倫理規定違反の「ゴースト・スキャン」の被験者としてデブリ帯の宇宙ステーションにいることを突き止め、スポンサーに偽装して潜入する。拘束され窮地に陥るが、間一髪の緊急通信で解放される。その裏には、ゼロのマスターであるゼウスが意識をデジタル化されハードウェアに囚われていたが、自力で管理者権限を獲得し、外部から一行を救出していたという驚愕の真相があった。ゼウスは佐々木たちのプロジェクトへの協力を承諾する。

ルインキーパーは、静かにアークのドックへと滑り込んだ。


「ふう……やっとアークに戻れたね」

佐々木の問いかけにリベラは、静かに頷いた。


「ゼウスさん、ゼロさん。ようこそ、私たちの宇宙船へ。まずはみんなに紹介させて下さい」


食堂へ足を踏み入れると、ちょうど、設計士のアードと孫娘のリーナが座っていた。

「あっ、佐々木さん、おかえりなさい!」


アードが立ち上がり、佐々木たちの姿を見て不安そうな顔になった。

「佐々木。リリィは一緒じゃないのか?」


リベラが佐々木に変わり状況を説明した。

「リリィさんはカーマルドで、オリーヴさんの移動の準備を手伝ってもらっています。どうやら、私たちの方が先に戻れたようですね」


アードは胸を撫で下ろした。

「そうか、オリーヴとの交渉は成功したか。それは心強い。アイツの技術があれば、リリィの負担も減るだろう」


しかし、リベラの言葉が気になったようでアードはさらに質問した。

「しかし、先に戻ってきたというのは、お前たちはどこか別の所に寄ってきたのか?」


「はい。オリーヴさんからゼウスさんのことを聞きまして。ヴァリアスコロニーへ寄ってきました」

リベラは自分たちの動きを簡潔に答えた。


「そうか。別行動だったか。だが、ゼウスがここにいないということは、交渉は失敗したのか?」


アードの問いに対し、カーゴコンテナの、スピーカーが鳴った。

『いや、ワタシはココにいるぞ。アード』


アードは驚き、カーゴの方を見た?

「ゼウスか?どこだ」


アードは、カーゴの後ろに立つアンドロイドを見つけた。

「ん?もしかして、ゼウスか?」


「いえ、ワタシはゼウス様のアンドロイドのゼロと言います。マスターは意識がデジタル化してこのハードウェアの中に格納されています」


「なんだと!ゼウス、どうしてそんな姿になったんだ?」


ゼウスの詳しい話はゼロが代わりに説明した。

「なるほどな。お前もなかなか大変な生活をしていたんだな」

すべてを理解したアードはゼウスをねぎらった。


『まったくだ』


リベラがおもむろに提案してきた。

「ゼウスさん、その姿では生活が難しいのではないでしょうか

私たちのようなアンドロイドボディを用意しようかと思うのですが、ご要望はありますか?」


カーゴコンテナのスピーカーから、勢いのある声が響いた。

『ボディを用意してくれるのか。この状態を早く脱したいとずっと考えていたからな。実は3Dボディのデータをずっと練っていたんだ』

そう言うとゼウスはリベラにデータを送信した。


リベラはすぐにデータを確認した。

「コレなら、すぐに制作に取り掛かれそうです。8時間ほどお待ち下さい」


リベラの通信を受け取り、研究室エリアからセレネが食堂へやってきた。


「佐々木さん。よかった、けっこう戻るのに時間がかかったので心配してたんですよ」


セレネは佐々木の元へ駆け寄り、無事を喜んだ。


リベラはセレネに語りかけた。

「セレネさん。新しいメンバーを紹介しましょうか?」


リベラの質問にセレネが答えた。

「あー、うん。まぁ、その辺りの話は、また明日!佐々木さんをちょっと借りていきますね」


佐々木を引いて食堂から出ていったセレネをみてメイリンが言った。

「ハーレムの(あるじ)はなんとも忙しいねぇ…」

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