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宇宙船は俺の楽園~百年の眠りから目覚めた、孤独な億万長者~  作者: まいぷろ
第2章:裏切りと友情の天秤

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8.曲がった契約

第1章のあらすじ

登場人物:佐々木啓介(30歳、男性)、リベラ(船のAI、女性)

豪華客船の事故で100年間コールドスリープしていた佐々木は、船のメインAI・リベラによって蘇生される。佐々木は全てを失った孤独に絶望するが、リベラはルインキーパーと豪華客船の残骸を再構築した船「アーク」を見せ、佐々木に「キャプテンになって私に生きる意味を与えてほしい」と懇願する。佐々木はAIの献身に心を動かされ、キャプテンに就任。しかし、アークは最低限の設備しかない廃墟だったため、リベラに生活設備の構築を依頼する。佐々木の孤独な寝言を聞いたリベラは、佐々木が保存していた動画の女優をモデルにアンドロイドの身体を作り、彼を驚かせる。戸籍復活のため、二人はルインキーパーを再建し惑星へ向かう。役所で「コールドスリープで眠っていた間の記憶がない」と佐々木が話すと、嘘発見器は反応せず、リベラが「無人のルインキーパーが事故現場で佐々木を発見した」と補足して乗り切る。戸籍は復活したが、佐々木の財産はほぼゼロ。リベラはアークから持ってきた希少金属を換金しようと商業エリアへ向かう。

「こんなこともあろうかと、アークから、希少金属を持ってきました。これを換金すれば、当面の生活費には困りません」


リベラがそう言って差し出した白い金属の指輪を手に、佐々木は商業エリアへと向かった。


佐々木は正確な価値を理解していないため、その小さな指輪が本当に自分たちの未来を変える価値があるのか判断しかねていた。


道すがら、リベラは、指輪に加工した希少金属の情報を佐々木に説明した。


「この金属は、近年売買された実績がありません。おそらく産出量が少なすぎて市場に出回らないのでしょう」

初回の取引はもっとメジャーな金属が良かったのでは、と思いつつ。

佐々木の性格上、リベラには固い笑顔を返すしかできなかった。


二人は、このあたりで最も信頼できると評判の老舗の店「ギル商会」へと向かった。

店内は薄暗く、カウンターの奥には機械の体を持つ老人がが座っていた。


老人は佐々木たちを一瞥し、顔に笑顔を貼り付け対応した。

「いらっしゃい。今日はどんなご用でこちらに?」


「この指輪を買い取ってほしいのですが?」

そう言ってリベラは机の上に外した指輪を置いた。


「じゃぁ、ちょっと拝借しますね」

そう言って老人は指輪を何かの測定機の上に乗せボタンを押した。

すぐに老人の脇のモニターに指輪の成分が表示されると、一瞬顔が変わった後。

再び気のよさそうな笑顔で佐々木とリベラに向かいあった。


「これはなかなか、珍しいものですね。ところで、お二人ともこの金属の相場はご存知で?」


ギルの問いに、佐々木は正直に「いいえ」と答えた。


ギルはニヤリと口角を上げ、佐々木を見定めた。

「最近じゃ市場に出回らないからね。ウチに持ってきて正解だったよ。よそでは買い取れないものもウチなら販路があるんだ。この指輪、特別に200万クレジットで買い取らせてもらおう」


200万クレジット!?


それは、わずか数千クレジットの残高しかなかった佐々木にとって、途方もない金額だった。


リベラは佐々木の顔を見て、指輪を持ってきた自分の行為が正しかったと笑顔を返していた。


老人は、畳みかけるように言った。

「さあ、どうだい?私が提示する金額は決して悪くないはずだよ」


お金がない二人にとって、200万クレジットはあまりにも魅力的だった。

佐々木は老人の言葉に納得し、返事をしようと口を開きかけた、その時だった。


佐々木は老人の後ろの棚に、懐かしいものを見つけた。

それは、一世を風靡したアニメ『ユニバーサル・ブレイブ』、通称『ユニブレ』の主人公のライバル、ガイアのフィギュアだった。

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