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宇宙船は俺の楽園~百年の眠りから目覚めた、孤独な億万長者~  作者: まいぷろ
第15章:ゴーストの参加

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76.ゼウスの参加プロジェクト

「…そうですね。私達2人でかかればできる気がします」


ゼロは頷き、リベラと共にテーブルの下で素早く端末から接続を確立した。


レストラン内のテレビ画面では、ヴァリアス・グランプリの高速スピーダーたちがデブリフィールドの最終コーナーを抜ける場面が映し出されていた。


佐々木が最後のステーキを口に入れた瞬間、レースのゴール判定が響いた。


メイリンは興奮した面持ちで自分の端末を確認した。

すぐにその顔が失望に変わる。


「くそっ、外れた!」


メイリンは舌打ちをした。佐々木は無関心な様子で、最後の肉を飲み込んだ。


「佐々木ぃー、どうなってんだよ〜」

メイリンは不満そうに言った。


テレビ画面の優勝マシンがハイライトされた。


今回のレースは大荒れとなり、レース会場の盛り上がりは凄まじかった。

それもそのはずで、優勝したのは、誰もが予想していなかったマシンだった。

つまり、一番オッズの高かったマシンだった。


メイリンの顔はさらに歪んだ。

「なんで?私が買ったのが、一番オッズが高かったのに?」


リベラは何か違和感に気がついた。

「ちなみにメイリンさん。その大穴にいくらかけました?」

「ん?50万クレジットだけど?」


リベラは冷静に事実を指摘した。

「あなたが50万クレジットもの大金を投じた瞬間、そのマシンのオッズは急激に下がりました。つまり、あなたがオッズを下げたんです。欲張り過ぎましたね」


メイリンは頭を抱え、佐々木はそれを見て薄くわらった。

「ま、まぁいいじゃない。僕と一緒ならお金なくてもこまらないでしょ?」


メイリンは顔を上げ、佐々木を睨んだ。

「そりゃそうだけどさぁ」


佐々木の隣にいたリベラが、静かにメイリンに話しかけた。

「メイリンさんには博才はなさそうですね。賭けるなら、アヴァロンだけにしておいた方がいいですね」


リベラからの忠告に、メイリンは不満げに鼻を鳴らした。

「そんなの楽しくないじゃんか。自分の金を賭けるからヒリヒリして面白いんであってさ」


リベラは、メイリンに追加で質問した。

「ちなみに、今賭けたお金の出処は?」


メイリンは一瞬口ごもった。

「…佐々木にもらった調査料」


「それで、ヒリヒリできるなら大丈夫ですよ」

リベラはそろそろ話を戻すことにした。


「佐々木様、ゼウスさんの情報を見つけました。探査船でコロニーを離れたのはある実験のためのようです」


佐々木が、リベラに真剣な顔で目を合わせた。

「ゼウスさんがが参加していたプロジェクトは、人間の意識をデータとして完全に複製する『ゴースト・スキャン』の研究です。この研究は人体に有害とされており、コロニーの倫理・安全規制により禁止されています。どうやら、この実験のために、探査船で秘密裏にコロニー外の宇宙ステーションへ向かったようです」

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