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宇宙船は俺の楽園~百年の眠りから目覚めた、孤独な億万長者~  作者: まいぷろ
第13章:野心家の懐柔

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69.かわいいは正義

朝。


シャワーを浴び、さっぱりした佐々木が食堂に入ると、リベラとアテナがすでにそこにいた。

「おはようございます、佐々木様。昨晩はさみしさはまぎれましたか?」


一瞬動きを止める佐々木を、アテナは見逃さなかった。


「セレネじゃなさそうだね?まさか、また誰かに手を出したのかい?」

ニヤニヤと笑いながら佐々木を覗き込むアテナ。


そんな会話をしていると、昨日とは違うスーツをピシッと着込んだノアが入ってきた。


「みなさんおはようございます」

昨日までのキツイ印象が取れたノアが、笑顔を向けて挨拶をしてきた。


「佐々木さん。昨夜、ギルさんから探していた女性を見つけたとの連絡が来ていました」


その瞬間、アテナはすべてを悟った。

「過去形で話してるね。ってことは、昨夜のお楽しみの相手が確定してしまったね。こんな美人さんを短期間で落としてしまったのかい?君、意外とやり手だね」


ノアは少し恥ずかしそうに語った。

「私もハーレムに入れてもらうことにしました。よろしくおねがいします、アテネさん」


「うーん。実は私はハーレムに入れてもらってないんだよ。そろそろココへ来て1ヶ月が経つんだけどね。なんだろうねリベラ、佐々木ハーレムは年齢制限でもあるのかい?」


「どうでしょうね?佐々木様は趣向をあまり口にしないのでよくわかりません」

佐々木は聞こえないフリをして、顔を隠しながら、合成食パンを口に運んでいた。


しかし、何かを思い出したようでリベラがまた話しだした。

「そういえば、佐々木様の端末に入っていた動画には長身でスリムな女優の動画が多数ございました。私もこの素体を作る際、どちらを選ぶかかなり検討しました」


「つまり、ノアさんがどストライクでガマンできなかったと?」


「あら、そうだったんですか?それなら、そうと言ってくれれば…」

ノアは少し考え、初対面でそういった話をされていたら嫌悪感しかなかっただろうと、語尾をにごした。


しかし、佐々木の魅力を知った今、嬉しそうに話に参加した。


「ちょっと、ちょっと!ストップ。そんなの関係ないから」


佐々木は分が悪くなってきたことを感じ話を止めようとしたが、慣性の効いた暴走AIはなかなか止まらなかった。

「つまり、ノアさんが長身だとか、スリムだとか関係なく、別の何かが好みすぎてガマンができなかったと」


「僕が好きなのは、見た目じゃなくて、君の中身なんだ…ってこと?」

アテナが佐々木の声色を絶妙にマネてそんな言葉を吐くと、クールに見えたノアの顔が真っ赤になった。


「ありゃ?私もノアちゃんの魅力ちょっとわかったかも。意外と純情でかわいい所があるんだね?」

「たしかに、佐々木様が引かれるのもわかる気がしますね」

アテナとリベラもノアの魅力に気がついた。


「こりゃ、私のハーレム入りはまだまだ先になりそうだね」

アテナはそう言って笑った。

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