64.潜在リスクの顕在化
「佐々木、お楽しみの所、すまんが、昨日の話で少し気になったことがあるんだ」
話を切り替えるようにアードが語りだした。
「リリィや。」
これまであまり接点のなかったアードがリリィに話しかけた。
リリィは急に呼ばれたことに固まり、その他のメンバーは成行きに注目した。
「昨日お前さんがレーザー砲の進捗についてどう語ったかおぼえておるか?」
昨日の説明について、ギルが聞いた。
黙っていたリリィの代わりに、リベラが簡潔に昨日の要約を説明してくれた。
「確か、リリィさんの報告は、旧アヴァロンのレーザー砲について調査中といった内容だったかと」
「ワシはもう何年も設計をなりわいとしている。そして、ソコにいるアテナも、セレネも皆、実績のある者たちだ。だが、リリィとリーナ。お前たちはまだまだ若い。リーナは困ったことがれば、ワシの所に相談に来るが、リリィ。お前さんは相談に乗ってくれる人はこの船にいるのか?」
リリィが体を強張らせながら、反論した。
「つまり、私が一人で担うには荷が重すぎるということですか?」
「ワシは意地の話をしたい訳ではない。お前さんが担当しているのは、アヴァロンにおける大事な部分だという認識はあるな?ココを失敗すれば、ワシがいた旧アヴァロンのように外敵からの攻撃に対処ができなくなる可能性が生まれる。つまり、みなの夢がお前にかかっているとも言える。」
全員が聞いているのを意識しつつ、アードは話を続けた。
「ワシはお前さんのこともリーナ同様に孫娘のように気にしておる。それを前提に聞いてほしいんじゃが。…お前さん、ムリをしとらんか?」
リリィはガマンができず、泣き出してしまった。
「ちょっと、おじいちゃん。ひどすぎるよ!」
リーナがリリィに近寄り、アードの発言を非難した。
「リーナ。ちがうの…私のことをこんなに心配してくれている人がいるのかと思うと、一人で悩んでた自分が情けなくって…」
リベラがリリィに話しかけた。
「リリィさん。レーザー砲の件で、技術的な支援者は必要ですか?」
うなずくリリィにアードは顎をさすりながら言った。
「旧アヴァロン時代に、オリーヴというレーザー砲の権威みたいなヤツがいたんじゃが。…まだ、生きているかどうかはわからんが」
突然、リベラが話を中断して佐々木に声をかけた。
「佐々木様。ギルさんの船がアークへ到着します」
しばらくして、食堂の扉が開いた。
「よう、佐々木!カマール星での大立ち回り、聞いたぜ。よくやったな!」
ギルはドレッドノートから詳細を聞いたらしく、佐々木の行動を称賛した。
「カジノの件だが、経営と運営に詳しい優秀なヤツを連れてきた。コイツをココにいさせて欲しい。オレとの連絡役にもなる」
そう言って、ギルはノアという若い女性を紹介した。
ギルは佐々木を一瞥し、ニヤリと笑った。
「あと、お前のハーレムに参加させたいなら、自分で交渉しろ。オレはそこまでは面倒見切れん」
周囲のメンバーは笑いをこらえ、佐々木は顔を赤くした。
話が終わり、ギルが帰ろうとした所、アードが相談を持ちかけた。
「ギルさん。旧アヴァロンで、レーザー砲を設計していたオリーヴを覚えているか?」
ギルはピクリと眉を動かした。
「オリーヴか。懐かしい名前だな」
「アヴァロンの防衛の件でアイツを探したいんだが、協力してくれないか?」
「防衛か…そりゃ、一流どころの協力は必要だな。心当たりはある。少し、探してみよう。何かわかれば、連絡をいれる」
ギルはアードに約束をしてくれた。
ノアにしっかりやれよと声をかけ、ギルはアークを後にした。




