60.カマール星での激闘報告
佐々木がリベラの体を抱きしめ、再会を喜び合っていると、セレネやリリィも安堵の表情を浮かべた。
リベラは抱き締められながらも、佐々木を諭した。
「佐々木様、まずは食事にしましょう。皆さんもお待ちです」
皆で席を立ち、食堂の壁に備え付けられた高級自動調理器の前に並んだ。
それぞれがタッチパネルから食べたいメニューを選び、ボタンを押すと、瞬く間に温かい食事がトレイに載って出てきた。
佐々木も好みの食事を受け取るとテーブルに戻り、皆で食事を始めた。
リベラは、食事を必要としないため、カマール星での出来事を話し始めた。
リベラの話を肴として、皆は食事を進めた。
「まず、現地でメイリンさんに出会えたことが、交渉の突破口になりました。ドレッドノートに佐々木様を引き合わせてくださったのです」
メイリンは合成ステーキを口に運びながら、謙遜した。
「大したことじゃないさ。なんでも屋はこれくらい出来ないと、あそこじゃ仕事にならないからね」
話が進むにつれ、皆の表情は真剣になっていった。
「ドレッドノートに会って判明しました。セレネさんを狙っていた依頼主は、メテオラ社のゲイン部長だったのです」
その話を聞き、セレネの顔色が変わった。
そして、リベラとメイリンが仕掛けた潜入作戦の話に移った。
ゲインの弱みを握るため、リベラとメイリンが彼が行きつけの高級店に潜入したこと。
その後、リベラがゲインに捕り、佐々木とメイリンがゲインの家に押し込んだこと。
そこで、頭部を破壊されたリベラを見つけたことを話した。
リベラの破壊の理由は衝撃的だったようで、皆、完全に手が止まった。
「メイリンさんが、ゲインを真正面から殴り飛ばしたんです。でその後、家を爆破しました」
再起動中だったリベラを補足するように、佐々木が説明を継いだ。
「爆破って…」
リリィが目を丸くする。
メイリンは肩をすくめた。
「リベラの案だが、上級国民の犯罪を公にするのにはいい方法だと思ったんだがな」
事件をもみ消そうとしたメテオラ社に対し、リベラの動画拡散と、メイリンのマスコミへの働きかけによりゲインの猟奇的犯罪の証拠が公になり、世論を巻き込んでメテオラ社を追及した結果。
これ以上の醜聞が拡散されるのを避け、組織への依頼がキャンセルされた。
皆は、全貌を知って絶句した。
佐々木たちが予想以上に過酷な、危険な任務を遂行してきたことを知ったのだ。
「そんなに大変だったなんて…」
セレネは佐々木の手を握りしめた。
アードが感心したように頷く。
「しかし、なんでも屋か。とんでもない度胸とスキルだな」
「コア回収が間に合ったのも、メイリンさんの判断力が優れていたからね」
リーナも改めてメイリンの有能さを評価した。
佐々木はセレネの手をそっと撫で、優しく微笑みかけた。
「もう心配はないよ、セレネ。君を脅かす影は消えた」
その時、リベラの目が点滅し、外部からの通信を受信したことを示した。
「佐々木様。ギルさんから、長距離通信が届きました。ドレッドノートから問題解決の件を聞いたそうです。近々、カジノの件について本格的に相談に来ることを伝えてきました」
「ギルさんがカジノを仕切ってくれるなら安心だな」
アードが昔を思い出し、そんな事を語った。
「えっ、佐々木。さっきのアヴァロンってカジノにするのかよ?」
ギャンブルが好きそうなメイリンが前のめりになった。
「はい。このアークに保管している資源を隠すのに、一般とセレブを階層構造で分けるカジノが都合が良さそうなので。さらにアテナさんにカジノに併設するアミューズメント施設も検討してもらってます」
佐々木は胸を張って総説明した。
「ここは私の仕事の中でもけっこうすごいものになるわよ」
アテナは自信満々にそう答えた。
「せっかくなので皆さんの進捗状況について報告をお願い致します」
リベラがそう言うと、話はアヴァロンの状況説明に変わった。




