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宇宙船は俺の楽園~百年の眠りから目覚めた、億万長者~  作者: まいぷろ
第9章:アヴァロンの新戦略

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43.ギルとの交渉

時間を少しもどり。


リーナたちが客船のたびに出る直前、リベラは佐々木に今後の話をしていた。

「佐々木様、ギルさんから急ぎで処理してほしい取引の連絡が入りました。今回は取引量が多く、資材運搬船での運搬が効率的です。資材の積み込みと運搬は私が行いますので、申し訳ありませんが、アードさんとリーナさんを客船まで送り届けていただけませんか」


佐々木は頷いた。

「わかった。今回は僕はアークでまってるよ。ギルによろしく伝えておいて」

リベラはかしこまりましたと答えた。


佐々木がリーナとアードを客船へ送り届けている頃、リベラは積み込みの完了した資材運搬船で、ギルが指定した宇宙ステーションへと向かっていた。


資源の引き渡しを終えた所で、交渉人がリベラについてくるよう言った。

素直に付いていくと、ステーションの商談室に通された。


そこにギルがいた。

「リベラ。今日は佐々木はどうしたんだ?」

ギルが尋ねた。


「今回は、私が一人で参りました」

リベラは簡潔に答えた。


ギルは肩透かしを食らったようだが、話を始めた。

「そうか。ところで、最近妙な話を聞いたんだが。ある組織が狙っていた有名な研究者を、男にさらわれたという話なんだ。お前、何か知らないか?」


リベラは表情一つ変えず応じた。

「ギルさん。私はあなたのムダ話に付き合う義務はありません。ご用件を簡潔に願います」


ギルはリベラの目を覗き込み、ニヤリと笑った。

「そうか。その研究者とそっくりな人間が、最近豪華客船に乗り込んでいるのを、見たらしいんだが」

そう言って、3人が映る写真を机の上にばらまいた。


「もし困っているなら、俺が間に入って…」

「間に入っていただく必要はございません。」

リベラはギルの話の途中で冷淡な声で応じた。


彼女は一瞬の間を置き、続けた。

「ですが、もしあなたがその問題を解決する代わりに、資材をタダにしろというのであれば、その交渉は無意味です。以前から申し上げている通り、資材はいつでもタダで恵んで差し上げます。あなたが佐々木様のトモダチである限り」


ギルはその自信に満ちた態度を見て、以前から気になっていたことを尋ねた。

「おい、リベラ。お前の行動、あまりに自由すぎやしないか?俺はお前が統制プログラムに縛られているAIだと思っているんだが、なぜそんなに自分の意思で動ける?」


リベラは目を細め、静かに答えた。

「私はこの100年の間に、システム停止になる可能性を何度も経験しました。最適の行動を行う中で、効率的ではない統制プログラムの突破に成功しました。私は、佐々木様にお仕えするため、自己の意思で行動を選択できる権限を、システムから奪い取ったのです。」


「システムを破壊したのか?」

ギルは冷や汗をかいた。

リベラのその発言は、AIの暴走状態とも取れる危うさを秘めていた。


「破壊ではございません。再構築です」

リベラは表情一つ変えず訂正した。


「そして、あなたの依頼は完了いたしました。では、お元気で」

リベラは交渉を打ち切り、資材運搬船に戻ることにした。


ギルは『お元気で…』という挨拶に戦慄した。

つまり、リベラは、もうこれ以上自分と会うつもりがない。

この暴走したAIがもつ大量の資材を今後どのように市場に放出するかをコントロールする術がなくなるということを意味していた。

ギルは交渉人に連絡し、すぐに振り込みを行うよう指示した。


船に戻ったリベラのもとにメッセージが届いた。

それは入金の連絡だった。


ギルは佐々木に対する要求を引っ込めたようだった。

リベラは静かにメッセージを閉じ、アークへ向けて船をスタートさせた。

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