24.貧弱な装備と隣のベッド
リリィは、ようやく自分の技術が活かせる仕事を見つけ、心から安堵の息を漏らした。
佐々木からの提案は、リリィが整備士学校で学んだ内容に直結するものだった。
リリィは即座に作業を開始した。
アークの設計図と資材データ、佐々木の好みの情報をリベラから受け取り、彼女は早速、自身の知識と感性を注ぎ込んだ計画を練り始めた。
翌朝の報告を控え、そろそろ寝ようと思った頃。
リリィは自分の部屋がまだないことが判明し、リベラに個室の用意をお願いした。
「了解いたしました。しかし、お部屋の準備となると、すぐには出来上がりませんので、今夜は佐々木様の隣のベッドでお休みください。それと、入浴後こちらに着替えてお休みください」
そう言われパジャマの入った袋を渡された。
入浴後、袋を開けたリリィはふたたびなげいた。
「…やられた」
そこに入っていたのはレース素材でてきた服と呼ぶには貧弱過ぎる装備だった。
さすがにコレはない、先ほどまで着ていたワンピースの方がまだマシな気がした。
しかし、脱衣カゴを探すがどこにもない。
どうやらリベラがすでに洗濯に回したようだった。
裸でいるわけにもいかず、リリィはその貧弱な装備を着るしかなかった。
着込んだ所で、浴場の扉が開いた。
リリィは体がこわばったが、入ってきたのはリベラだった。
「サイズはいかがでしょうか。おや?お顔がすぐれませんね。何かありましたでしょうか?」
「そうですね。ちなみにコレは…」
まってましたとばかりにリベラの口調が早口になった。
「コレは佐々木様の動画登場ランキング第7位の服になります。佐々木様はどうやら女性の脚部が気になるようですね。本日もリリィさんの太ももあたりを28回チラチラと見ておられましたね」
「ヒッ」
っと短い悲鳴を上げ、脚を隠そうとするリリィ。
「こんなのを着ていたら何かされるかもしれないじゃないですか!」
リベラは不思議な顔をしてリリィをみつめた。
「そうでしょうか?それはいささか、自意識過剰ではないでしょうか」
「なっ。なんでそんな事がわかるんですか!」
リリィはこんなはずかしめを受けた上で、それが意味がないようなあつかいを受け、直情的に反応してしまった。
「佐々木様は、なんといいますか。そういった交渉ごとはかなり消極的な印象を受けます。おそらくリリィさんが積極的にお誘いでもしない限り、何かを強要するようなことはありませんね」
「なっ、なるほど…」
言われてみればと、リリィは短い間ながら、佐々木という人物を理解しだしていた。
「佐々木様はもう眠りました。さぁ、もう遅いですし、私たちも寝ましょうか。」
リベラに誘われ、貧弱装備でおそるおそる寝室に行くと、確かに佐々木はすでに眠りについていた。
しかし、寝室の光景は朝と同じであった。
「あれ?リベラさんさっき、「佐々木様の隣のベッド」って言いませんでしたっけ?」
かすかに舌打ちのような音が聞こえた気がしたが、リベラはリリィに向き直った。
「いいえ。聞き間違いではないでしょうか。私は「佐々木様のベッドの隣」と言いました」
たしかに、そう言われればそうだったかもしれない。
「いえ、さすがに朝のこともありますので同じベッドでは眠れないですね」
リリィもそれは許可できなかった。
リベラはこれ以上の強要はムリと判断し、別の提案をしてきた。
「ではこういうのはどうでしょう。このベッドは幸いかなり大きな作りです。佐々木様を少しワキに移して、私が真ん中で柵のように横になっていれば、リリィさんの安全は確保できる気がします」
確かに、リベラが隣であればガマンができる気がする。
いい加減、疲れもしていたので、リリィは妥協して同じベッドで眠ることにした。




