154.二度目の誓い
すべてを聞き終えたリラは、ようやく泣き止んだ。
「なるほどねぇ。そういうことだったのかい」
そう言うやいなや、リラはギルバートの顔面を拳でぶん殴った。
義体であるギルバートの体は非常に硬い。
殴った自分の腕を痛めながら、リラは怒鳴った。
「どうせ私はここにずっといたんだし、リベラとゼウスに話すなら、私にも教えてくれても良かったんじゃないの?」
「「「「あっ!」」」」
その正論に、食堂にいた全員が息を呑んだ。
ギルバートはたじろぎながら弁明した。
「い、いや。もしかしたら失敗してたかもしれねーしさ。その時にお前が落ち込むのが見たくなかったんだよ」
リラは聞く耳を持たず、食堂の脇に立てかけてあった鉄パイプを手に取ると、再びギルバートを殴りにかかった。
「うるさい! そんな危険なことを私が許すと思ってるのかよ」
「いや、おかげでうまく死亡を演出できたんだし、万々歳じゃんか」
逃げ回るギルバートとの間に、リベラが割って入った。
「リラさん、ここにはベガもいます。そのような行為は謹んでください」
リラがハッとしてベガを見ると、ベガはリラとギルバートの追っかけっこを見てキャッキャとはしゃいでいた。
「な、リベラもこう言ってるし、今回は一旦水に流そうぜ」
ギルバートが調子よく言ったが、リラの怒りは収まらなかった。
彼女は鉄パイプを元の場所に戻すと、今度は佐々木の方へ歩み寄った。
佐々木の顔に緊張が走る。
するとリラは佐々木の顔を両手で掴み、自分の顔に近づけて口づけをした。
「な、何やってんだよリラ!」
ギルバートが絶叫した。
「うるさい! お前が言ったんだろ。何かあれば佐々木のハーレムに入れって。私は今日から佐々木のハーレムの一員になる。それでいいよね、リベラ?」
「はい。ぜんぜん問題……」
リベラが言いかけたところで、ギルバートが必死の形相で佐々木の方へ駆け寄った。
「問題ありありだわ! ありゃあ俺に何かあった時の話だ!」
「いいじゃない。実際死んだんだし」
「まあ、死んだけどよ。こうやって生きて帰ってきてるわけなんだから、その話は無効だ」
「無効か有効かを決めるのは私だよ!」
結局、ギルバートと共にリラの前で必死に土下座をする佐々木の姿を見て、リラの怒りは一旦収まった。
佐々木は顔を上げ、噛み締めるように言った。
「ギル……じゃなかった。ギルバート。君が生きていてくれて、本当に嬉しいよ」
「おう。俺も無一文になっちまったが、これからはお前らと一緒にここを盛り上げていくぜ」
新しい体を手に入れたギルバートは、力強く笑って応えた。
「オレとお前が手を組めば、オレ達は最強のパートナーになると思わないか?」
どこかのアニメで聞いたようなセリフを吐く商人と、佐々木は、どこかのアニメで見た独特な組み方で腕を組んだ。




