表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宇宙船は俺の楽園~百年の眠りから目覚めた、孤独な億万長者~  作者: まいぷろ
第25章:楽園に灯る小さな光

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

147/153

147.新たな息吹

解説を一通り終えたリベラが、佐々木に向き直った。

「佐々木様。どうか、この子に相応しい名前を授けていただけないでしょうか?」


佐々木は少し考え、一生懸命にオムライスを食べる男の子の姿と、その瞳に宿る確かな光を見つめた。

「⋯ベガ。ベガっていうのはどうかな?琴座の一等星だ。この船の未来を照らす光になってほしいと思って」


「ベガ⋯。素敵な名前ですね。では、ベガとして登録を更新します」

リベラが微笑むと、男の子は、自分の新しい名前を理解したのか「べがー!」と嬉しそうに声を上げた。


その様子を横で見ていたメイリンは、どこか放心したようにベガをぼーっと見つめていた。


『私が、かあちゃんか⋯。ベガを見てると、なんだか不思議な気分になるね』


しかし、彼女はすぐにいつもの不敵な笑みを取り戻し、隣にいたノアに視線を向けた。

「よしっ!じゃあノアちゃん、今日は私が佐々木を独占していいんだよね?」


ノアは一瞬、戸惑いの表情を浮かべた。


先ほどクレアとのじゃんけんには勝ったが、アヴァロンには『長期間、佐々木と離れていたメンバーが佐々木を最優先で独占できる』という絶対的なルールが存在する。


メイリンは今回の任務で、長く佐々木と離れていた。


「わかったわ。今日はあなたに譲るわ」

ノアは少し名残惜しそうにしながらも、メイリンの権利を尊重して一歩退いた。


「ありがとう。話が早くて助かるよ!」

メイリンは佐々木の膝の上にいたベガをひょいと抱き上げると、そのままノアの腕に預けた。


そして、驚く佐々木の腕を力強く掴んで立ち上がる。

「よし、行こうぜ佐々木! じゃあみんな、さっそく予行演習してくるよ!」


食堂を出ていこうとするメイリンの背中に、アード、オリーヴ、そしてゼウスの老人たちが酒杯を掲げて声を張り上げた。

「 期待してるぞメイリン!」

「頑張りなよー!」


廊下を引きずられるように連れて行かれながら、佐々木はメイリンに言った。

「メ、メイリン、そんなに急がなくても⋯⋯っ」

佐々木の部屋までの短い道のりで、メイリンは急に足を止め、振り返った。


その顔には、いつもの快活さではなく、少しだけ切なげな色が混じっている。

「なんだよ?佐々木にとって、私は『遊び』ってことかよ?」


その少し震える声と、潤んだ瞳に佐々木は胸を突かれた。


どれほど自分を愛してくれているか、その想いが痛いほど伝わってきた。


佐々木はメイリンの肩に手を置き、真っ直ぐに彼女の目を見つめた。

「いや。ちゃんと責任は取るよ。お前を一生、幸せにする」


その男らしい言葉に、メイリンは一瞬目を見開いた後、顔を真っ赤にして俯いた。


今度は彼女の方がグッと来てしまったようで、小さく、しかし確かな声で応えた。

「⋯うん。ありがとう」


2人はそのまま、重なるようにして佐々木の部屋へと消えていった。



それからしばらくして。


アヴァロン全艦に、祝福のアナウンスが響き渡った。


メイリンのご懐妊が正式に発表されたのである。


ベガという「予行演習」を経て、ついにアヴァロンに最初の新しい命の灯火が灯ろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ