123.新しいインプット
アヴァロンのドックでは、すでに豪華客船の建造が始まっていた。
巨大なフレームが形を成しつつある中、佐々木とセレネは食堂で遅めの夕食をとっていた。
「ねえ佐々木さん、新造船に載せる高エネルギー炉について、新しい知識を入れたいの。研究の参考にしたい学術施設があるから、惑星ルミナスに連れて行ってもらえない?」
セレネがタブレットを操作しながら、隣の佐々木に相談を持ちかけた。
彼女が示したルミナスは、治安の安定した学術の盛んな惑星だった。
「いいよ。せっかくだし、ほかにも希望者を募って行こうか」
佐々木が呼びかけると、手を上げたのはミラ、リリィ、リーナの3人だった。
ここ数ヶ月の滞在で、ミラは同年代のリリィやリーナと急速に仲を深めていた。
ミラにとって、年の近い2人とはあっという間に親友同士になっていた。
参加者は、佐々木、セレネ、メイリン、リベラ、そして若手3人組の計7人。
全員で「スターゲイザー」と命名したセレノグラフィアで購入した中型高速艇に乗り込み、惑星ルミナスへと移動を開始した。
目的地に到着した佐々木たちは、まず市街地のホテルの部屋を確保した。
部屋はミラ、リリィ、リーナで1部屋、残りの4人で2部屋を確保した。
佐々木は、おこづかいを渡すことにした。
自由行動を楽しむであろう若者3人には、それぞれ10万クレジット。
そして技術資料の閲覧や設備利用料が必要なセレネには、とりあえず1000万クレジットを預けた。
佐々木と行動を共にするメイリンは、必要なかったが、いつものように100万クレジットを渡しておいた。
「ありがとう。じゃあ、さっそく行ってくるね」
セレネは資金を受け取ると、目的の研究施設へと向かってしまった。
同じように若者3人もホテルを出ていった。
「とりあえず、何か食べに行こうか」
佐々木とリベラとメイリンは近くの美味しそうな店を見つけ、腰を下ろした。
料理を待ちながら、メイリンが話しだした。
「セレネちゃんってさ。佐々木がアヴァロンに帰ってくるたび、佐々木を独占したがるけど、満足するとすぐどっか行っちゃうよね」
「たしかに、いつも何かを考えてるみたいで、邪魔されたくない感が出てるかな。まあ、煮詰まるとまた戻ってくるんだけどね」
佐々木が苦笑しながら答えると、メイリンはわざとらしく彼に寄り添った。
「私はセレネちゃんと違って、いつでもくっついてたいって思ってるよ」
「私もです、佐々木様」
リベラもメイリンに同意するように、佐々木の反対側の腕を取った。
「ところでリベラ、この星で私たちが楽しめそうなところって何かあるかな? せっかくだし、パーッとやりたいな」
リベラが提案したのは、ウェイクボードやグラススキー、スキューバーダイビングといった、アヴァロンでは味わえないアクティブなレジャーだった。
内容を聞いたメイリンは目を輝かせて「やりたい!」と即答した。
「では、まずは道具を買いに行きましょう」
リベラはその場で高級ショップを予約し、前金を支払った。
予約の時間に店を訪れると、入口では美しい女性スタッフが待ち構えていた。
個室へ案内され、3人は下着姿になって簡易スキャンを済ませると、あとはディスプレイで選ぶだけという快適なシステムだった。
佐々木は比較的高級な品をぱっと見て購入を決めた。
メイリンも同様にウェアを選んでいたが、リベラが裏メニューの存在を見つけ出した。
リベラはスタッフの女性を呼び寄せた。
「ここからここまでの衣装を一式、持ってきていただけますか?」
スタッフは心得た感じでニヤリと笑うと、すぐにそれらの衣装を運び込んだ。
「では、ごゆっくり」
そう言ってスタッフが退室した後、リベラは更衣室でその中の一つに着替えて現れた。
「佐々木様。こういうのがあったのですが」
「な、何を着てるんだリベラ!」
布地面積が極端に狭いその衣装に、佐々木は顔を赤くして狼狽した。
2人のその様子にメイリンはキャッキャと喜び、自分も着てみたいとはしゃいだ。
リベラは別の衣装をメイリンに差し出しながら言った。
「こちらが、佐々木様の動画コレクションでよく出てきていた衣装になります」
「ちょっと!何言ってるの?」
自分の秘かな指向性を暴露され焦る佐々木をよそに、メイリンはその衣装を持って楽しそうに更衣室へ入っていく。
やがて「佐々木、どう?」と出てきたメイリンの姿に、佐々木は言葉を失った。
絶句する佐々木の顔を見て、メイリンがリベラにうなずいた。
「全部購入していきましょう」
リベラはさらに、密かに調べていたセレネとノアとクレアの体型を参考に山のような際どい衣装たちが買い上げられることになった。




