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宇宙船は俺の楽園~百年の眠りから目覚めた、孤独な億万長者~  作者: まいぷろ
第21章:究極の一隻を目指して

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120.栄枯盛衰

ネクサス・システムズの崩壊は、止まることを知らなかった。


世論の猛反発を受け、違法性が指摘される組織との関与を認めた重役たちは即座に解雇された。


しかし、これこそが真の崩壊の引き金となった。


解雇された重役が、自分たちを「トカゲの尻尾」として切り捨てようとするネクサス・システムズへの報復として、週刊誌に第2弾の暴露を開始した。


それは、過去数十年にわたり、脈々と築き上げてきた癒着の歴史と、どのようにして企業が不当な支配を強めていたかが詳しく書かれていた。

その中で、汚れ仕事を引き受けていた人物として、『バルガス』の名が執拗に登場していた。


ホテルのテレビでは、今回の関連ニュースが流れ続けていた。


リベラがニュースを見る佐々木とメイリンに言った。

「バルガスが言っていた、インフラの力。今回のように、指示通りに動いた現場スタッフや、長年尽くしてきた重役たちが次々と切り捨てられる姿を見せつけられれば、その繋がりは一気に瓦解します。自分の身の安全すら保障されず、単なる『使い捨ての部品』として利用されていると知れば、人は生き残るために組織を裏切るものが出るのも当然です」


「自分たちを大切に扱わないヤツのために、リスクを負う馬鹿はいない、か」

メイリンはニュースから目をそらさずつぶやいた。


その時、リベラが通信を受信した。

「佐々木様。ギルさんとドレッドノートさんが到着しました」


「「えっなんで?」」


驚く佐々木とメイリンにリベラはサラッと答えた。

「私がお呼びしましたから」



宇宙港へ降り立ったギルとドレッドノートは、部下を引き連れそれぞれ別方向へ歩き出した。


ドレッドノートの目的は、バルガスの力が弱まったこの街で新たな『裏の顔』となる事だった。


リベラが予見した通り、バルガスとその組織の主要メンバーたちは、抵抗する術を失ったまま警察によって次々と拘束されていった。


到着から数日の間に、ドレッドノートはリベラから入手した情報を元に、バルガスの残存勢力や、放棄された秘密拠点を次々と襲撃した。


混乱の中で行き場を失った構成員たちに対し、彼は圧倒的な武力で「従うか、消えるか」の非情な選択を突きつけ、残存勢力を自身の傘下へ組み込んでいった。


一方、ギルの目的は、惑星セレノグラフィアでの権力確保だった。


彼は到着してすぐに、ネクサス・システムズの低迷した株を買い占めることに尽力した。

その購入資金には、佐々木の資源が惜しみなく充てられた。


数日のうちに、ギルは市場のパニックを利用し、ネクサス・システムズの大株主へと成り上がった。



ネクサス・システムズの不正が暴かれ、支配構造が劇的に塗り替えられていく裏で、ガルドたちヘキサ・ヤードの面々は、船の修理に没頭していた。


自らの過失を認めネクサス・システムズは、必要な交換部品と大型倉庫利用を無償で提供することを申し出た。


ガルドたちは倉庫に寝泊まりし、船の修復に心血を注いだ。


バルガス逮捕のニュースが街を駆け巡ったその日、佐々木とリベラはガルドのいる倉庫を訪ねた。


「ガルドさん。ニュースは見ましたか?」

佐々木の問いかけに、スパナを握ったガルドが顔を上げ、短く頷いた。


「ああ。あのバルガスがこうもあっさり引きずり出されるとはな。正直、実感が湧かねえよ」


リベラが整然とした口調で、今後の状況を説明する。

「バルガスの組織は解体されました。みなさんのこの星での生活は、これまでに比べて格段に安全なものになるでしょう。ガルドさん、あなたたちが望むなら、このままこの星に残ることも十分に可能です」


それを聞いたガルドは、一瞬だけ作業の手を止めた。


そして背後にいるメンバーたちの顔を見回してから、不敵な笑みを浮かべて佐々木に向き直った。


「ありがたい話だがな。俺たちの答えは決まってる。今回のことで、あんたたちには一生返せねえほどの恩ができた。まずは、あんたたちに付いて行って、望みの船を作る事が、俺たちにとっちゃ筋が通る」


ガルドの言葉に、周囲の作業員たちからも力強い肯定の声が上がった。


彼らの目には、迫害に怯えていた頃の影はなく、自分たちの手で未来を掴み取ろうとする確かな光が宿っていた。


数日後、佐々木たちはドレッドノートとギルに後事を託し、アヴァロンへの帰路についた。

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