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宇宙船は俺の楽園~百年の眠りから目覚めた、孤独な億万長者~  作者: まいぷろ
第21章:究極の一隻を目指して

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118.インフラ対ネットワーク

バルガスの事務所の前に、佐々木、リベラ、メイリンがミラを引き連れやってきた。


受付のインターホンに対し、メイリンが事務的なトーンで声をかける。

「ガルドの娘を連れてきました」

その報告に、扉は開かれた。


最上階の執務室で、デスクに踏んぞり返ったバルガスが、ミラを見て下卑た笑みを浮かべた。

「ほう、コイツがガルドの娘か?」


バルガスの質問に3人は無言を貫いた。

その態度に、バルガスは違和感を感じて身を乗り出した。


「なんだ?なぜ返事をしない?」


メイリンが心底呆れたように、大きなため息を付いた。

「お前さぁ、相手の顔も知らずに脅しをかけてたのかよ」


リベラが佐々木の一歩前に出た。

「バルガスさん。こちらが、あなたに『勉強代』をお支払いした佐々木様です」


それを聞いたバルガスは、一瞬呆気にとられた後、下品な笑みを深めた。

「ほう、金づる本人が、わざわざカモられにここまで来たってわけか。ハッ、傑作だな!」


バルガスが立ち上がり、ドスの利いた声で凄む。

「お前ら、ココがどこだか分かってんのか?タダで帰れるなんて思うなよ!」


バルガスの合図で、背後に控えていた部下たちが一斉に銃や武器を構え、戦闘態勢を取った。


そのセリフに佐々木とミラが震える一方、リベラとメイリンは眉ひとつ動かさなかった。


リベラが、まるで塵でも見るかのように事務的なトーンで問いかける。

「私たちがあなたを恐れる理由は、どのあたりにあるのでしょうか? 」


その傲慢なセリフに、バルガスは顔を赤くして怒鳴った。

「理由だと!? 周りを見ろ! こっちは大勢で武器も持ってる。お前らを今ここで細切れにすることなんて造作もねえんだよ! 仮に運良くここを逃げ出せたとしても無駄だ。俺たちはこの街のインフラそのものなんだよ。街中の給仕も、ゴミ回収員も、タクシーの運転手も、すべて俺たちの息がかかっている。お前らがこの星のどこへ逃げようが、常に誰かがお前らを見張っているんだ。楯突く奴には眠る暇も休む暇も与えねえ。そうやって精神を消耗させ、弱りきった所をじわじわと追い詰める。あのガルドだってそうやって地に落ちたのさ。お前らも同じ目に合わせてやろうか!」


「…それ、インパクト弱くない?」


メイリンが即座に反論した。

「なんかさぁ、そのセリフって、この星に住む奴を脅す時には効果ありそうだけど」


「⋯たしかに」

佐々木も同調する。


「つまり、この星の中ではそこそこ強いという意味ですね。星の海に出るとランキングは大幅に下がると思いますが」

リベラの指摘は辛辣だった。


「許さんぞ! 俺を怒らせたことを後悔させてやる!」


バルガスが激昂したその時、リベラがすっと壁の大型モニターを指差し、皆の視線をそちらへ誘導した。


その瞬間、電源が入っていなかったモニターが起動し、緊急ニュースが流れ出した。


『ゼニス重工がハッカーに攻撃され、全生産ラインが停止しました。現時点の被害総額は5000万クレジットを超え――』


テレビからリベラの方を向くバルガス。

「コレは、お前がやったのか?」


「あなたが不当に奪った10倍の額を、あなたの飼い主であるゼニス重工も誰かから奪われたようですね。一介の番犬が、噛みつく相手を間違った代償としては、妥当な金額かもしれませんね」


続いて、バルガスの端末に連絡が入ったかと思うと、勝手に通信が始まり、リベラの声が響き渡った。

『あなた達がインフラなら、我々はネットワークです。そのテレビも、この端末もすべてを操ることができます。あなたが昨日何を食べたのか。どの女性と一夜を共にしたのか。なんでもお見通しです』


通信が切れた直後、テレビ画面が別の映像に変わった。


それは、深夜のホテルのバルガスの映像だった。

「なっ! 何だこれは! 消せ!」


バルガスは狂ったように叫ぶが、映像は消えず、音量はどんどん大きくなる。

『ねぇー、こんなにがんばってるバルちゃんエラい?』

映像の中の女性が、バルガスの頭をよしよしと撫でていた。


バルガスの後ろの男たちは必死に堪えるが、メイリンはガマンしなかった。

「ギャハハハ! バルちゃんエラいってさ! 」


「ちょっと、メイリンそんな言い方したらダメだよ。責任の重い人にはこういう一面があるらしいから」

佐々木はメイリンをたしなめたが、その顔は笑っていた。


リベラは淡々と告げた。

「バルガスさん。ガルドさんから手を引いて頂けませんか?」


「ふざけるな! そんな話、飲めるわけねえだろ!」


バルガスが吠えた瞬間、部下たちの端末が一斉に起動し、動画が流れ出した。


それは今見たばかりの映像の顔にモザイクがかけられ、ボイスチェンジで声を変えた動画だった。


「半径1キロの範囲の端末にこの映像を送りました。勘のいい人は、これが誰なのかすぐに気がつくかもしれませんね」

リベラが冷ややかに告げた。


バルガスは観念し、ガルドの解放を了承した。


佐々木はビルの外へ出た所で、リベラに質問した。

「あのテレビのハッキングって、本当にリベラがやったの?」


「いえ、さすがに私にはムリです。偶然流れてきたニュースを使いました」

統制プログラムを突破したリベラは平然とウソをつけた。


佐々木は呑気に返す。

「だよねぇ。まぁ、みんな無事でよかったね」

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