115.閉鎖の真相
夜になり、佐々木とリベラはメイリンに呼び出された店へ向かった。
店に入り、個室に通されると、すでに一杯飲んでいるメイリンがいた。
「あ、来た来た。ささきー。おそいよー」
どうだった、と佐々木が席に着きながら聞くと、メイリンは答えた。
「いろいろわかったよ。まあ焦らないで」
メイリンは店員を呼んで、店のオススメとビール注文を済ませた。
佐々木と乾杯し、メイリンはビールを一気に飲み干し、もう一杯を注文したあと、話し始めた。
「ヘキサ・ヤードのことだけど、あそこはこの星を牛耳る大手3社によって閉鎖に追い込まれていたよ」
メイリンが挙げたのは、ボレアス・ダイナミクス、ネクサス・システムズ、そしてゼニス重工の三社だった。
ヘキサ・ヤードが作る宇宙船は質が良かった為、大手三社が原材料の供給を邪魔した。
結果、生産計画が頓挫し、廃業に追い込まれたというわかりやすい構図だった。
「20人ほどのスタッフは大手3社に吸収されたそうだよ。今は、社長とその娘の2人で再起を図ろうと頑張っているみたいだね」
どうだい、とメイリンが聞くと、佐々木は言った。
「ひどい話だね」
「いえ、好都合ですね」
反対の意見を、隣で聞いていたリベラが言った。
佐々木はその発言にギョッとしてリベラを見たが、メイリンも「だよな」とリベラに同意した。
ふたたびメイリンを見た佐々木にどういう意味か説明しだした。
「だってさ、ここにいてもロクな仕事ができないんだから、佐々木が引き抜くのは簡単ってことじゃん。さらに娘が佐々木のハーレム入りしたらみんなハッピーになる訳だし」
呆れる佐々木をよそに、リベラは話を続けた。
「その2人の所在はわかったのでしょうか?」
「それも押さえたよ」
そう話し終えると、メイリンは急に佐々木にしなだれかかった。
「あーあ。二人っきりの夜も今日までかー。今日はとことん付き合ってもらわないと割に合わないからね」
⋯
食事の後、佐々木たちはホテルの部屋に戻ってきた。
メイリンは服を脱ぎながらバスルームへ向かい、やがてザバンと湯船に浸かる音が聞こえてきた。
「ささきー、はやくー」
浴室からメイリンに呼ばれ、佐々木もバスルーム中へ入った。
二人は広いジャグジーの中で向かい合って座った。
ふと思い出した佐々木が、昼間の出来事を切り出した。
「そういえば今日、宇宙船を購入したよ」
「えっ? どんなの?」
メイリンが身を乗り出して聞いてくる。
「店に入って一番に目についた船だよ」
佐々木がそう答えると、メイリンは笑い出した。
「いいじゃん。いよいよ大金持ちっぽいじゃん、ソレって」
「明日、契約書とかいろいろホテルまで持ってきてくれるってさ」
こともなげに説明する佐々木に、メイリンはニタニタと笑いながら近寄っていった。




