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宇宙船は俺の楽園~百年の眠りから目覚めた、孤独な億万長者~  作者: まいぷろ
第20章:不条理な和解と契約

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108.不遜な歓迎

19章のあらすじ

登場人物:佐々木啓介(30歳、男性)、リベラ(船のAI、女性)、メイリン(29歳、なんでも屋、女性)、クレア(31歳、元カジノオーナー、女性)

カース星の資源採掘を妨害していたのは、海賊と結託した商人ゾルグだった。メイリンの調査で、彼の動機が領主に禁じられた「合成麻薬」の密輸ルート再建という、私欲にまみれた逆恨みだと判明。リベラの囮作戦で海賊はアジトごと壊滅し、ゾルグは領主の警備団に摘発される。困難を乗り越え、無事に資源が着艦し始めたことでカース星には安定がもたらされた。一行は領主側から有力な客の紹介状を受け取り、次なる目的地へと旅立った。

湯気の中に、高級な香料の香りが立ち込めていた。


エリュシオンの最高級スイート。

そこの広大なバスルームでは、豊かな泡に包まれた佐々木とメイリンが、大きな湯船で肩を並べてゆったりと寛いでいた。


「…ふぅ。長旅の後の風呂は最高だな!」

メイリンはリラックスした様子で佐々木の隣に座り、白く柔らかな泡を指先で弄びながら呟く。


佐々木もドキドキしながらも、旅の疲れを癒やしていた。


「それにしても、リベラが持ち込んだ金額が、金額だけに、カジノ側の態度がガラッと変わったのはちょっと面白かったよな」

メイリンはそう言って数時間前の入港を思い出していた。



それは、エリュシオンを擁するこの巨大コロニーのドックに降り立ってすぐのことだった。


一行は迎えのスタッフに導かれ、宇宙港に併設された貴賓用ラウンジへと足を踏み入れた。


静謐な空気が流れるその空間で、クレアが佐々木に向き直る。

「佐々木さん、私はこのままオーナーのところへ行ってくるわ。私があなたとの勝負に負けて、店を明け渡したことはもう知っているはずだから。先に筋を通しておかないと、後の交渉に響くわ」


クレアはそう告げると、信頼を込めた眼差しを一度だけ佐々木に向け、迎えに来た執事と共に迷いのない足取りで一人、ラウンジを後にした。


残された佐々木たちは、まず滞在のための手続きを済ませることになった。


リベラが一行を代表して前へ出ると、コンシェルジュへ重厚なジュラルミンケースを差し出した。

「当方の滞在用デポジットです。査定をお願いします」


「お預かりいたします。査定とチェックインの手続きに少々お時間をいただきます」

それから30分。佐々木たちがラウンジで待機していると、責任者と思わしき男が走って戻ってきた。

その表情には、明らかな敬意が混じっている。


「大変お待たせいたしました。現物の査定が完了いたしました。時価換算で1,000億クレジットとなりますが、こちらの金額でよろしいでしょうか」


男が提示した電子タブレットの内容を確認し、佐々木は承諾のサインを書き込んだ。


男はそれを受け取ると、さらに深く頭を下げた。

「ありがとうございます。これほどの現物を一度に供託される方は、当コロニーでも極めて稀でございます。佐々木様、お手続きが完了いたしました。これより最高級スイートルームへご案内いたします。また、当ホテルより歓迎の意を込めまして、滞在中の施設利用や食事、その他付帯サービスはすべて無料とさせていただきます。どうぞ、心ゆくまでお寛ぎください」



クレアは重厚な扉を開け、オーナーの私室へと足を踏み入れていた。


この巨大コロニーの全権を掌握する男、『ラザルス』がゆったりと椅子に身を沈めていた。


「久しぶりだな、クレア。ようやく俺の女になる覚悟ができたのか?」

ラザルスは不敵な笑みを浮かべて挨拶をした。


その視線には、クレアへの執着が色濃く混じっている。


「残念ながら、今日はラグーナ・パレスの今後について、正式なご報告にお伺いしました」


クレアは毅然とした態度で言葉を返し、本題を切り出した。

「もう、ご存知かと思いますが、この度、ラグーナ・パレスは佐々木様の管理下となりました。今後は佐々木様の持つ、カジノ・アヴァロンの配下として運営をさせて頂きます」


その言葉を聞いた瞬間、ラザルスの眼光が鋭く光った。


「だが、この俺がそんな勝手を許すとでも思っているのか? 俺が送り込んだレイラを使っているクセに、調子に乗るな」


「では、どうされますか?」

クレアが問い返すと、ラザルスは立ち上がり、彼女の至近距離まで歩み寄った。


「決まっている。お前を力ずくで奪い返し、あの佐々木とかいう小僧たちを、宇宙に放り出してやる」


「忠告しておきますが、あの方たちに手を出すのは、非常に危険です」


クレアの静かな警告を鼻で笑おうとしたその時、ラザルスの耳元で側近が何事かを耳打ちした。


「なに、1,000億だと? 預り金だけでそれほど持ってきたというのか」


端末の査定記録に目を落としたラザルスは、しばしの沈黙の後、冷酷な笑みを浮かべた。


「ふん……面白い。まずはその1,000億、ギャンブルですべて奪い尽くしてやる。身ぐるみ剥がされて絶望したお前たちが、泣いて許しを乞う姿が今から楽しみだ」

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