106.内通者がいる
翌朝。
佐々木の宿泊先のホテルに、以前知り合いになった商人ゾルグの優秀な秘書が訪ねてきた。
「佐々木さん、不穏な噂を耳にしまして。昨日、資源惑星からカースへ向かっていた佐々木さんの資源運搬船が、海賊に襲撃されたというのは事実でしょうか?」
秘書は不安げな表情で佐々木に問いかけた。
佐々木が口を開こうとした瞬間、リベラがそれを遮るように一歩前に出た。
「その情報は、少し正確さを欠いていますね。ちなみに、どちらから入手されたのですか?」
⋯
リベラは無機質な瞳を細め、意味深に呟いた。
「なるほど。では、その方は一体どこからその情報を入手されたのでしょうね?」
一瞬の静寂の後、リベラは淡々と告げた。
「⋯ご心配なく。資源運搬船は4時間後に資源惑星を出発して、ここカースへ到着する予定です」
秘書はリベラの話を聞き、安堵した様子で帰っていった。
リベラは秘書が立ち去るのを確認し、佐々木の許可を得て、メイリンに依頼した。
「メイリンさん。あの秘書の周囲を洗ってください。おそらく、内通者が近くにいる可能性が高いです」
「面白くなってきたね。ちょっと行ってくるよ」
メイリンは佐々木から調査費用を受け取り、部屋を出ていった。
⋯
4時間後。
リベラの宣言通り資源惑星を出発した運搬船は、再び海賊の待ち伏せに遭遇した。
逃走を図る運搬船を、海賊船は猛スピードで追尾した。
しかし、今日は海賊船の後から、さらに海賊船を追尾する複数の小型宇宙船がいた。
その小型宇宙船は、海賊船に接触した瞬間に大爆発を起こした。
「なんだ、何が起こっている?」
かろうじて致命傷を免れた一隻の海賊船は、アジトへと逃げ帰った。
海賊のアジトに通信が入る。
モニターに映し出されたのは、不機嫌そうな顔をしたゾルグだった。
「今日こそ運搬船は拿捕できたんだろうな?」
海賊は震える声で答えた。
「何を言っているんだ?待ち伏せに合って、仲間がやられたぞ!偽の情報を掴ませやがって!」
海賊が怒鳴り散らしたその時、アジト内にけたたましいアラームが鳴り響いた。
モニターに映ったのは、アジトを包囲するように押し寄せる、例の小型宇宙船の大群だった。
⋯
ゾルグが海賊のアジトに送った通信は、急に途絶えた。
通信が切れた画面を見つめ、ゾルグは忌々しげに舌打ちをした。
「……チッ、使えん連中だ。まあいい、そのうちまた連絡がつくだろう」
ゾルグが椅子に深く腰掛け、気を抜いたその瞬間。
部屋のドアが激しく蹴り破られ、数人の武装集団がなだれ込んできた。
「なんだ?貴様らは!ここを誰の部屋だと思っている!」
立ち上がり、怒りをぶつけるゾルグ。
しかし、押し入った集団の先頭に立つ人物を見て、ゾルグは言葉を失った。
そこに立っていたのは、ゾルグの優秀な秘書だった。




