103.アヴァロンへの帰還
「これがアヴァロン⋯」
クレアは思わず驚愕の声を上げた。
宇宙空間に浮かぶ直径80キロメートルの球状の巨大な要塞は、ほぼ完成しているように見えた。
しかし、よく見ると、外縁部のそこかしこで溶接の火花が見え、まだ細部の作業が続いていることがわかる。
佐々木たちを乗せたルインキーパーは、アヴァロンの25番ドッキングベイに停泊した。
待機していたリフトに乗り込むと、リフトは高速で要塞内部を移動した。
リフトが停止した場所は、以前の食堂のような広々とした空間で、メンバーの生活エリアの近くだった。
扉が開くと、そこにはセレネ、リリィ、リーナ、アード、ゼウス、オリーヴが佐々木たちを待っていた。
佐々木は笑顔で挨拶した。
「ただいま」
佐々木は、新しく加わったクレアを紹介した。
その日は、みな作業を中断し、久しぶりの佐々木たちの帰還を祝い、賑やかなパーティーが催された。
クレアは、リリィとリーナを佐々木のハーレムメンバーだと認識したが、その幼さに絶句した。
聞くと、リリィが18歳で、リーナは23歳であるらしかった。
「あ、あの、私たちは、そういうのとは違いますから」
リリィが恥ずかしそうに自分たちがただのアヴァロンの構築メンバーであることを説明した。
リベラがそれを引き継ぎ、補足した。
「佐々木様は、無理強いはキライですので、イヤがる彼女たちに何かを強いることはありません」
クレアは少し安堵しつつも、2人の若さに複雑な表情を浮かべた。
その後、アード、オリーヴ、ゼウスの紹介を受けた。
アードがアヴァロンの設計、オリーヴがレーザー砲、ゼウスがエンジン周りの担当であると説明を受けた。
クレアは20年も前に陥落した要塞のメンバーという紹介を受けたため、80歳のアードや、75歳のオリーヴについてはすんなりと納得できた。
しかし、30代に見えるゼウスのことが気になった。
ゼウスは笑って自身の身の上を説明してくれた。
「私も、実際の年齢は80歳だ。最近全身義体化したのでこんな姿をしているがね」
クレアは、人と見間違う継ぎ目のない義体に衝撃をうけた。
ゼウスには、まぁいろいろあるからと詳しいところは誤魔化されたが。
次にクレアがセレネに話しかけようとした所。
「うーん。挨拶はまた明日にしましょう」
そう言って、セレネは佐々木を連れて部屋を出ていった。
メイリンはノアとクレアの肩をポンと叩いた。
「まあ、佐々木に会うのも久しぶりだから、今夜はセレネさんに譲ってあげよう」
メイリンの言葉で、クレアは最後のハーレムメンバーが誰か理解した。
「セレネさんは、このアヴァロンのエネルギー炉の管理を一手に引き受けているんです」
リベラの説明から、セレネがこの巨大な要塞の心臓部を管理している事に驚いた。
「セレネさんも、佐々木様とは偶然知り合いになりました。あっという間に恋に落ち、佐々木様を今でも愛しておられます」
リベラは2人の出会いがいかに偶然が重なったのか、佐々木の強運を伝えた。
「ちなみに私も佐々木に助けてもらったクチだよ。ここに来て幸せな生活を送ってる」
メイリンも自分の身の上をかんたんに説明した。
「さあさあ、お酒を大量に買ってきたんだ。みんなで楽しもうよ!」
メイリンの呼びかけに、皆が集まり、主賓のいないパーティーは続いた。




