102.カジノの強化
18章のあらすじ
登場人物:佐々木啓介(30歳、男性)、リベラ(船のAI、女性)、ノア(30歳、カジノ専門家/副代表、女性)、メイリン(29歳、なんでも屋、女性)、アテナ(建築師、32歳、女性)、クレア(31歳、元カジノオーナー、女性)
ハイローラー開拓のため、リゾート惑星ベリタスのカジノ『ラグーナ・パレス』へ。リベラが100億クレジットを投じ、佐々木の強運で連勝。オーナーのクレアは佐々木を「インペリアル・ルーム」へ招き、最終的にカジノの全運営資産を賭けた勝負に敗れる。佐々木はカジノと優秀なクレアを手に入れる。クレアは佐々木が100年前の事故をひとりコールドスリープで生き延びた存在だと知り、その強運に心動かされる。
翌朝、
身支度を整え、佐々木はクレアを連れ、皆の待つスイートルームへ戻ってきた。
リビングには、すでにリベラ、ノア、メイリン、アテナが朝食中だった。
リベラは2人を一瞥し、いつものように静かに尋ねた。
「クレアさんおはようございます。佐々木様、昨晩はさみしさはまぎれましたか?」
佐々木はクレアを一瞥し、恥ずかしそうに答えた。
「おかげさまで…」
クレアは、そのやり取りにわずかに微笑みながら、一同に向かって頭を下げた。
「皆さま、はじめまして。昨日までこのカジノ『ラグーナ・パレス』のオーナーをしておりましたクレアと申します。今日からは皆さまと共に佐々木様をもり立てて行きたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします」
佐々木も、クレアがアヴァロンの新しい協力者になったことを説明した。
メイリンは初対面のクレアを見て、目を丸くした。
「やっぱりスゴイよね、佐々木って。ノアちゃんとか、ふつう落ちなさそうな美人をチョロく落としちゃうよね。ソコまでいい男かね?」
クレアは、小さく「チョロ…」と言い、少し表情を曇らせた。
ノアはすぐにメイリンに怒りをぶつけた。
「メイリン!何でソコで、私を引き合いに出すかな!それに自分だってチョロく落ちてるクセに」
違いないとメイリンが笑うと、皆も釣られて笑いだしてしまった。
アテナも笑いながら、クレアに挨拶した。
「よろしくね、クレアさん」
クレアは冷静にアテナへ問い返した。
「よろしくお願いいたします。アテナさんは佐々木さんとは長いのですか?」
アテナは微妙な顔になった。
「そうだね。そこそこ長いつもりなんだけどね。私は年齢制限に引っかかってハーレムメンバーには入れてもらっていないんだ」
「アテナさん。人聞きが悪いですから、そんな言い方しないで下さい!」
じゃぁ、手を出せばいいじゃんというメイリンのツッコミを、佐々木は聞こえないフリをして避けた。
朝食の間、リベラは自分たちの計画を、クレアへ話し始めた。
「クレアさん。ここからは、佐々木様の目的と、私たちがあなたに期待していることを共有させていただきます。佐々木様が望まれているのは、まず何よりも『安全で快適な生活』です」
リベラの説明に、佐々木は深く頷いた。
「佐々木様は、資源を大量に持っていますが、単に持っているだけで管理上あまり良い状態とは言えません。そこで、我々は資源をしっかり管理でき、生活スペースも十分確保するための宇宙要塞を建造することにしました」
「よ、要塞ですか…」
想像の斜め上をいく話にクレアはついていくのがやっとだった。
リベラは、アヴァロンのホログラムを表示した。
「要塞の建築方法を検討している際、20年前に陥落した要塞『アヴァロン』の設計士と知り合い、彼の協力のもと、新生アヴァロンの建築を始めました。しかし、ただの要塞では目立ちすぎます、そのため、資源の隠れ蓑として、アヴァロンを『ハイローラー向けのカジノ』にすることを思いつきました。そのために、ギル商会からカジノの副代表であるノアさんが参加してくれました」
ここからリベラに代わり、ノアが説明を引き継いだ。
「アヴァロンの完成が残り1ヶ月に迫り、私たちは、カジノの最初のお客様を探すためにこの旅に出たの。リベラが言ったように、私たちの目的は資源の隠蔽だから、お客様は慎重に選びたいと考えているの。ハイローラーのネットワークへの接触方法を検討中、リゾート惑星に寄り、あなたと知り合ったって訳なの」
リベラはクレアの目を見つめて依頼を伝えた。
「私たちは、アヴァロンに呼び込むお客様の紹介をあなたにお願いしたいです。そのために、まずはアヴァロンのカジノがどんなものか、あなた自身の目で確認してはどうでしょう。一緒にアヴァロンに来て頂けませんか?」
クレアは深く頷いた。
「とても興味深いお話ですね。ここの管理はレイラにお任せておけば大丈夫です。私もその要塞へご一緒させていただきます」




