夏祭り 短編小説
夏祭りの風景と、幼馴染との懐かしい記憶をテーマにした短編です。
現代の高校生が抱える疲れと、夏祭りの特別な時間のコントラストを描きました。
夏祭り
夏祭り。幼馴染の男子が、りんご飴をおいしそうに食べてる姿に
わたしは、子供の頃のあの懐かしい感じを思い出した。
受験・部活・人間関係に疲れていたわたしには眩しい。そんなふうに彼の姿が映った。
でも、幼馴染とはいえもう10年くらいは口をきいていない。
ねぇ。そのりんご飴おいしそうだね。 おごってよ。
は???
いいでしょ。りんご飴わたしも食べたいんだもん。
え・・・何いってんだ・・・?
奢ってっていったの。 はやく。
え・・・
あいよ!お嬢ちゃん!おいしいから!! カレシ!お代は200円ね!
は?? ちょ・・・おい
カレシ!そこは躊躇せずに払うもんだぜ!! あい ありがとさん!!
いみわかんね。どういうことだよ。
ん。ちょっと んぐんぐ 美味しそうだなって思ってさ
いや美味しいけど、、、なんなんだよいきなり。
いいじゃん。 ハルトと幼馴染なんだからさ。
そういうことじゃないだろ。10年以上口聞いてねーのになんなんだよ。
うん。だから美味しそうだなって思って。
はぁ・・・そうですか。はいはい。
はぁ~美味しいいい~~~
ユリカ・・・口大きく開けて美味しそうですね。
はい!とっても美味しいです! ありがと。
もう少し綺麗に食べろな。口の周り大変なことになってんぞ。
あ。
口の周り拭いてもらっちゃった。
はは・・・まさか ハルトにドキドキするなんて。。。
完
りんご飴という小さなきっかけから始まる、ささやかな恋心の物語です。
日常に疲れた時こそ、小さな甘さが特別に感じられるのかもしれません。