バカ主とバカメイド
とある屋敷。
そこには両親に恵まれ何不自由なく育っている顔の良いお坊ちゃまと坊ちゃまに使える美しく可愛いメイドがおりました。
ティータイム。ベランダで外の景色を眺めながめつつ、小鳥のさえずりを耳にアフターヌーンティーが用意された机で優雅にお茶を飲む坊ちゃま。
そっと口づけたティーカップを置き、口を開く。
「今日もお茶がクソ不味いな」
「一週間連続で同じことを言っておりますがバカなんですか、ご主人様」
「メイド。お前のセリフも一週間おんなじだし、今週で三回目だけど僕のお菓子を食べるな」
「ご主人様。ティータイムは皆で楽しんだ方が美味しいかと」
「黙れ。僕は一人で優雅に過ごしたいんだ」
アフタヌーンティーとは別に、個人で備蓄しているポテチを食べかすをこぼしながらメイドは食べる。
既に何度もこぼさぬよう注意しているが改善の余地が無いので諦めている。
「そうですか。ではご主人様、一つ質問しますが何故飲めない紅茶を飲みながらいきなりティータイムなんてものを始めたのですか?」
「カッコいいから」
「バカなんですかご主人様」
甘いのが苦手なのに紅茶を飲み始めた理由がカッコつけるためとは……。
しかも全然似合ってない、私の使える主はバカなのかもしれない。
「バカはお前だろ、スカートめくれてるぞ」
「セクハラですか?訴えますよ」
「脅しのつもりか、露出狂」
ご主人様が引かないので目線を落とすと、腰ベルトにスカートが挟まりめくれている。ベルトを緩めスカートを戻し調整する。
先日購入した新品のベルトですがサイズが少し大きかったのできつく締めたのがダメでしたか。と言うことは今朝からこの状態と言う訳ですか。
「気付いていながら教えてくれないとは、変態でございますねご主人様」
「変態はお前だろ、そういう趣味かと思っていたぞ」
「あるわけないでしょう、わたくしは完璧最強美少女メイドでございますので変態的な趣味は持ち合わせておりません」
「完璧なら食べかすをこぼさないでくれ」
「無理でございます」
なんなんだこのメイドは……。自分で完璧とか言っちゃてるよ、変態の間違いだろ。
前から思っていたがこのメイド、バカかもしれない。
「それでご主人様。次の予定ですが一時間後に社交界にてダンスがございます」
ここから社交界までは車で一時間かかる、準備も含めればもう少し……あれ?。
ティーカップを手に取りお茶を飲む。
「……ふぅ、バカメイド間に合うか?」
「バカご主人様がティータイムをやめれば、全力で間に合います」
「そうか」
お茶を飲み干し急いで準備をする。
あのバカメイド、予定を調整するのが仕事だろ。やばいのならもっと早く言え。
バカご主人様、ティータイムをするのならもっと余裕のある時にしてください。
車庫に向かうとサイドカーの付いたバイクに乗った準備万端のメイドがヘルメットを渡す。
「バカご主人様。早く隣に乗ってください」
「次からは早く言え、バカメイド」
サイドカーに乗り、バイクが発進する。
社交界には無事に間に合いダンスも完璧に終わったが、何故かメイドがモテた。