表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どんな時でもお金には困りません!  作者: 遠野月
放浪編 第十五章 黄金の時
218/228

闇夜の笑い声


「分かりませんか」



アルサファも立ち上がり、ライラの傍へ来た。

ランプを指差し、装飾の一部を指の腹で撫でていった。

すると、ライラの肩の上で静かにしていたペノが、小さく唸った。

その唸り声に、ブラムがいち早く反応した。



「……はは。こいつあ気付かなかったぜ」



ブラムが低い声で笑った。

振り返ると、すさまじい形相でランプを睨みつけるブラムがいた。



「な、なに?? どういうこと??」


「ライラ。こいつは……ただのランプじゃねえ」


「え、……え??」


「こいつあ魔法道具だ」


「ま……魔法道具?? これが??」



ライラはランプに目を向ける。

途端に、美しいランプが禍々しいものに見えた気がした。



「……いったい、なんの魔法なの?」


「さっきアルサファが言ったろ。目さ」


「……目?」


「そうだ。このランプはよ、この部屋を覗いてやがるんだ」


「覗く……って、まさか」


「恐らく、ランプと対になっているもうひとつの魔法道具があるはずだ。そいつでこの部屋の様子を見れるようになっているはずだぜ」


「……そ、そんな、でも、これは」


「リイシェンが土産に持ってきたランプだろ? あの女、とんだ役者だぜ。しかもあまりに魔力が小せえからよ。俺も気付かなかったぜ、クソが」



ブラムが悪態を吐き、ランプを指差した。

ブラムの言う通りなら、その仕草ひとつひとつを見られているはずだ。

対になるもうひとつの魔法道具の前で、ライラたちが気付いた姿を眺めていることだろう。


いったい、どんな顔をして眺めているのか。

驚いているだろうか。

それとも、笑っているだろうか。



「笑っているだろうねえ」



ペノが小さく笑って言った。

やはりそうだろうと、ライラは苦笑いした。



「アルサファさん。私のことを調べている相手というのは……」



ライラは苦笑いしつつ、アルサファを見た。

アルサファが、大きく頷いた。



「ファロウの大貴族、ソウカンです」



その短い言葉。

ズシリと鈍い音をたて、床に落ちた。

「黄金の時」の章は、これで終わりとなります。


「面白いかも」「つづきが気になる」「もっとやれ」と思ってくださった方は、

下にある「☆☆☆☆☆」に評価を入れたり、

ブックマーク登録していただけたら嬉しいです。

励みになりますので、どうかよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ