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どんな時でもお金には困りません!  作者: 遠野月
放浪編 第十四章 囁きが染む
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診療所、忙しく


ライラが開いた診療所は、三日もしないうちに患者で満ちた。

患者を受け入れる余裕がある、という噂が早々に広まったためだ。


忙しくなった。

最初に忙しくなったのは、もちろん診療所の所員だった。

次に、ガンカと事務職員たちが忙殺されはじめた。

休む間もなく働いているとはこういうことだなと、ライラは思った。


ライラは疲れきった働き手を支えるため、治療用の魔法道具を駆使した。

それだけでなく、仮眠所の設備も充実させていった。



「食事まで用意してくれるのは助かります」



診療所の所員たちが、ホッとした表情でライラに感謝した。

忙しくなった彼らには、家事をする暇などないからだ。

ライラは微笑んで、ちらりと後ろを見た。

後ろには、働き手を補助するための職員たちがいた。

ライラが手招きすると、職員たちが一斉に動きだし、所員たちへ料理を運んでいった。


「働き手の生活補助をする職員を増やしませんか」

ガンカに提案したのは、ライラだった。

ガンカは最初、余分なことだと反対していたが、結果的には効率が良くなった。

今では、反対していたガンカも生活補助をする職員に甘えている。



「そういえば明日、リイシェン様がいらっしゃるとのことです」


「リイシェン様が」


「診療所の様子を知りたいのでしょう」


「まあ……そうでしょうね」



ライラは面倒そうな表情を隠さず、ため息を吐いた。

正直なところ、この時期の訪問は避けてほしかった。

すべてが順調というわけではないからだ。

余計なものを見られてボロが出れば、ソウカンになにを言われるか分かったものではない。



「リイシェン様にかぎって、ランファ様の足を引っ張るようなことはしないでしょう」



ガンカが励ますように言った。

それはそうかもと、ライラは頷いた。

リイシェンはどちらかというと、ソウカンよりもライラに寄った考えの持ち主なのだ。

ライラの診療所を悪く伝えるようなリイシェンは想像ができない。



「見せられるものだけ、見せましょうか」


「それが良いでしょう。……そうですね、では、大釜の様子でも見せてはどうですか」


「大釜から……? ……ああ、なるほど」



ライラは苦笑いした。

ガンカも意地悪そうな顔をして笑った。

まるでペノみたいだなと、ライラは思うのだった。

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