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どんな時でもお金には困りません!  作者: 遠野月
放浪編 第十章 風光の祭
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クアンロウ討伐


クアンロウ討伐当日。

森の伐採の手伝いに行っていた村人たちは、村へ帰された。

休みも必要だからという理由で、村人たちは納得してくれた。

ただ、木こりの老夫にだけは、魔物討伐のことを明かした。

住んでいる家の身近で起こることなのだ。

老夫に隠しておくことはできないと村長が配慮した。



「じいさんも避難させてくれたらいいのによ」



ブラムが面倒臭そうに言った。

ライラは頷く。

どうしてか。木こりの老夫は避難に応じてくれなかった。

住む家や森が心配なのか。

避難しない理由を老夫が明かすことはなかった。



「出来るかぎり、おじいさんの家に被害が出ないようにしましょう」


「分かってら」


「ついでに、私も怪我したくないですからね」


「気に留めといてやるよ、一応な」



ブラムが片眉を上げて笑う。

ライラは苦笑いして、馬車へ乗り込んだ。


森へ向かう間。

ライラは魔法道具の確認をした。

護身用の攻撃系魔法道具から、治療用の魔法道具。

灯りが点くだけの魔法道具もある。



「魔力切れの道具は持っていくんじゃねーぞ」


「分かってますよ」



ライラは頷き、魔法道具の魔力量を見た。

魔法道具は、いずれ魔力が尽きる。

そうなれば、再度魔力を込めることは出来ない。

ただのガラクタになるのだ。


ライラは嵩張らない魔法道具を選んで、身に着けた。

その姿を見て、ペノがにかりと笑う。



「やる気がすごいねえ!」


「でしょう? 水筒も持ってきました」


「準備が良いねえ。そっちはライラの分で、その大きな袋がブラムの?」


「そうです。念のため」


「っは。気が利くじゃねえか。ライラのくせによ」



ブラムが水の詰まった獣の水袋を手に取る。

邪魔にならないように胸の前に下げ、紐で固定した。

ブラムの背に乗るだけのライラは、小さな獣の水袋を腰に下げた。


準備の確認をしているうち、馬車の振動が強くなる。

森が近くなり、道に凸凹が増えてきたのだろう。

ライラは乗り物酔いを堪え、御者台に顔を近付けた。



「……もう少しで、目的地です」



御者の男が短く言った。

ライラは緊張しつつ頷く。

胸元の宝石を撫で、ロジーを呼びだした。



「ロジー。そろそろクアンロウを捜しに行ってくれませんか?」


「よしきた! 見つけたらご主人様に報せるよ!」



ロジーが馬車を飛びだし、空高く飛んでいく。

その姿を見送って、ライラは森に視線を戻した。

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