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<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ある程度のあれこれが満たされていれば、けっこうなんとかなる

作者: 日永毬

初投稿で、元々は小説というよりも、設定置き場みたいなものだったのですが、書きたいことを詰め込んでみました。

悪役令嬢とか、乙女ゲームとか、設定としてはありますが、ほとんど出て来ませんwww。どんな内容でもオッケーよ!!という寛大な方向けのお話です。

よろしくお願いいたします。

ざわめきと、不自然な静寂という不思議な空気感がそこにはあった。

まず視界に入ってきたのは、男性の黒い革靴。そこそこ履いてるものなんだろう、少し艶を失った足の甲の部分と内側の艶の違いが何故か目についた。



娘を習い事に送りとどけ、ふっと今朝の子どもと会話した内容と、卵と牛乳が無かったことを思い出した。

「お母さん~、また牛乳ないのー!!」朝起きて、顔も洗わずに、冷蔵庫を開け私に不満そうに言うのは高1の娘である。夏休みだからと自分で起きてこないが、オンラインでの夏期講習があるために起こしたところ、登校しないんだし、普通の服で良いんだからもっと寝られたのに‥と不服そうである。

「冷蔵庫に入ってなかったら、無いよ。飲んだら無くなるでしょうが!」

牛乳を飲むのは、高校生の娘が大半で、小5と小1の息子2人と4月から幼稚園に通い始めた娘は、もっぱら麦茶である。

「買っといてよー!」まだ言ってる。

「買っといてって言うなら、ほとんどあなたが飲んでるんだから、残りの量は、一番把握出来てるでしょう?少なくなってきたら、声かけなさいよ!」

お手伝いさんとか家政婦さんみたいに、お給料貰ってるなら管理もする気になるけど、何で無条件でやって貰えると思ってるのか?高校生にもなるんだから、このような会話を何回もしており、そろそろ気づいても良いだろうに。いや、逐一、指摘して注意を色々なことに払うように教えなかった私が悪いんだろうか?自分で気づかないと、どんなに言われたところで気づかないと思っているのは私だから、まあ原因の多くではあるのだろう。

確かに、親には未成年者の養育や教育を受けさせる義務はあるが、自分で自分のことをする!というルールの我が家においては、『自分のこと』を自分で考えるのも1つの決まりのようなものである。子どもであろうと、大人であろうと、今この時を生きているのは自分であり、何か嬉しいこと辛いこと大変なことなど、共有は出来ても、変われないことのほうが多い。最たるものは、親の立場から見ている子どもの受験だろうか‥。自分が試験を受けるよりも緊張と不安が強かった。子どもが一番になったり、絵や習字の展覧会で表彰されたり、嬉しいが、どこかでこの子の将来にとってのプラス評価になったと思っている私は純粋には喜べていないのだろうか?そして、誕生日を変えるのは、意識としては出来るだろうが、出生日自体は変化しないし、現代の日本で出生届を出さない人は少ないだろう。いや、私は幸運にも、そういう人を知らないだけで、実際にはいるのだということは、テレビで見たことはある。ただ、どうしても、身近にいたわけではないので、現実感がなく、海外の貧困や紛争と同じのようにどこか遠いところでの話だと思っている私がいる。

失礼な話なのは、分かっている。事実、いつまでたっても、紛争が起こっている国は減るどころか、違う国の名前が増えてきている。ある人から見たら正義であっても、違う立場では、ただの暴力でしかない場面も多々あるものだ。それに、利害関係や感情が乗ると、時と場合によって様々に変化する。

力があることはすごいことではあるが、それだけが全てではないことは周知の事実だろう。どんなに力持ちやアスリートであったとしても、病気にかかってしまって亡くなるというニュースもあるし、普通の人でもいつどんな病気になるのかは全ては分かっていない。少しずつ、早期発見だったり、健康診断による体調管理・改善だったりをし始めているか、今のところ人類は不老不死ではないし、本当の意味での万能薬は持ち合わせていない。ウイルスも細菌も微生物も、数えきれないほど存在し、古くから人間は病と戦ってきてこれからも続いていくことだろう。いや、戦ってきたということこそが人間が発展した要因でもあると言えるのではないだろうか。


朝の子どもとの会話から、ずいぶんと話が飛んでしまった。なぜ、こんな思考になったのだろうか?まあ、理由は色々とあるが、何よりも大きなものは、今の目の前で見えている男性の革靴に関係している。


普段なら、救急を、連想出来る現場には、あんまり関わりたくないと考えてしまうことが多く、周囲の様子を確認して、大丈夫そうなら、気配を薄くして通りすぎようと考えてしまう。仕事でもないのに、他人の病気を自分で判断したりしたくないのは、処置や看護に動く自信が無いためだ。元々、病棟のナースではなく、オペ室のナースの経験が長く、何か緊急時には常に医師がいるか、確認出来るという環境で働いてきたため、指示されたこと決まっていることには、迅速に動くことが出来る。しかし、自分自信の判断が必要な病棟ナースの方々や、外来ナース、ましてや在宅ナースは尊敬の対象である。いや、あくまでも、私がそうだったというだけであり、他のオペ室のナースは、皆さんとてもスペシャリストで、プロフェッショナルな方々なのである。くれぐれも、誤解の無きよう。

だか、その日は何故か、その視線を集めている場所が気になった。明らかに、レジ打ちをしていたと思われる店員の方が、床に寝ており、足だけをレジ横のかごの上に乗せている。その隣には、買い物客と思われる若い女性が、床に膝をついて、倒れている店員の肩を軽く叩きながら、何かを問いかけているように見えた。私の買い物かごの中には、冷凍食品やアイスなど融けて困るものもなく、肉や魚などの生鮮食品も入っておらず、まあ少し放置しても問題ない卵と牛乳だけ。普段なら、近づかないその場へ行ってみるかと、足を向けた。

「あの~、何かお手伝いしますか?」そう話しかけると、倒れている店員さんの隣にいた若い女性が、こちらを振り返り、

「こちらの方が、先ほど倒れてしまって、今救急車を呼んでもらってるとこなんです。」と答えてくれた。よく見ると、その女性は、何かをメモしているらしく、チラッと見えた文字は、P:75、吐き気無しと書いてある。

看護師なのだろう。任せて、帰ろうかと思ったが、顔見知りの店員さんであったため、気になったので、口を出した。

「倒れた時に、頭は打ってる可能性はありますか?今、倒れてから時間にして何分ぐらい経ってます?ちょっと洋服とか身体を締め付けてるものを緩めましょうか?バイタルは、何にも無いので脈と呼吸ぐらいしか測れないですけど、瞳孔の状態、熱感の有無、浮腫の有無、肌色や乾燥具合などは観察できてます?」と若い女性だけに聞こえるよう、小さめの声で話しかけた。

彼女は、はっとしたように私を見ると、やはり小さめの声で返事をしてきた。「いえ、私も倒れた!という周りの方の声で駆けつけたので、その状況を実際には見ていません。ただ、私がここに来たときには、この方横向きになっておられ、ズルズルと回りのものに縋るようにして倒れたと聞きました。申し訳ないのですが…、私が出来ることはほとんど無くて、とりあえず意識はあるので、話しかけてたところなんです。」彼女の言葉を聞きながら、店員さんに目をやると、ややふくよかな体型をされた男性であり、いつもなら柔和な笑顔を浮かべている顔は、今は血の気がなく半目になっている。ただ、話しかけると、目を開け、応答はあるという。

「ちょっと、ネクタイとボタンを外しますよ。身体に触りますね。」と声をかけながら、店員さんの肩に触れると、男性は目を開け「はい」と返事をした。「靴を脱いで、ベルトも少しゆるめたいんですけど、こちらでやっても良いですか?」との問いにも、短く「はい」との答え。手早く、ネクタイの結び目をゆるめて、ワイシャツのボタンを一つ外し、ベルトをゆるめてズボンのホックも外しておいた。靴を片足ずつ脱がせる時に、両足の浮腫が無いことを圧迫して確認し、レジ横から取ったレジ袋に靴を入れて置いておく。救急にかかるときに、救急車から診察台へそのまま移ると、靴は脱がされることが多い。ビニール袋に本人の名前を書いておきたいとの普段の習慣がチラッと頭をよぎった。

「倒れたときに頭を打ったりとかしてないですか?仰向けで辛くないですか?目を閉じてたほうが楽ですかね?」と私が聞くと、倒れている男性ではなく、レジ向こうにいた他の店員の方が、「私、倒れるとこ見てたんですけど、頭とかは打ってないと思います。ズルズルと崩れていった感じで、手を床についてから身体が床に…って。打った音もしてなかったし。」と答えてくれた。

「分かりました。ありがとうございます。横向きのほうが楽なら、横向きで良いですよ。目を開けてるのが辛かったら、閉じてて構いませんし。」

と、最初はレジ向こうの店員さんへ話し、後の言葉は倒れている男性へ向けて話した。男性は、のろのろと身体を横にしようとされたので、まずかごに乗せていた足を下ろし、頭の下に、気休めではあるが、出掛けにいれてきた洗濯したてのタオルを置き、

「気分が悪くなったり、何か伝えたいことがあったら、これを握ってくださいね」と、幼稚園の娘が車の中に落としていた音のなる小さな人形を手に握らせた。指人形くらいの大きさだが、ぎゅっと握ると『キュウ』と鳴り、子どもは喜ぶやつである。こんなところで、使われようとは人形も思っても見なかったであろう。タオルを入れる時に触ったか、冷や汗をかいていることもなく、呼吸も安定しており、手首での脈拍も規則正しく、速さも問題なさそうである。そこまでしてから、横にいた女性に、倒れたおおよその時間と、先ほどの倒れたときの状況、観察できたバイタルサイン、もし出来るのなら他の店員のかたへの最終飲食の時間の確認、までメモに残して置けば救急隊員に伝えるのもスムーズに行くことを伝えて、ふと辺りを見回したときに、ガラス張りの向こう駐車場に救急車が入ってきたのが見えた。

外で、救急隊員が来るのを待っていたのだろう男性店員の「こちらです!今、お客さんで看護師の方がみていてくださって…」という声が聞こえたので、倒れている男性に、「今、救急隊員の方が来たので、私は退きますね。大丈夫ですからね。」と声をかけると、男性は薄く目を開けて軽く頷き、人形から手を離した。

そこからは、救急隊員が男性の状態を確認し、担架で移動していくまで、邪魔にならないよう下がっていた。皆が男性が担架に乗せられ救急車で搬送されていくのを安堵の表情で見ているのを、横目で見ながら、私はなるべく気配を薄くすることを意識して、誰にも気付かれないようにその場を後にした。いや、レジ向こうの店員の方には、声をかけられそうになったのだか、軽く会釈をして無言で歩いたのである。他にも、色々と確認したほうが良いことはあった、彼の持病の有無や、飲み薬の有無などだが、救急隊員が確認するだろうし、病院でも聞かれることだろう。外来でも多々あることだが、受診すると患者さんは何度も同じようなことを説明しないといけないことが多く、さっき受け付けで書いた問診票は意味があるのか?と思ってしまう。病院側からすれば、確実に病状を把握して、医師に情報を伝える必要があるのは分かるが、紙ではなく、モバイルでの書き込みが電子カルテに記載されるようになっている医院もある昨今、大きいところほど、もう少し効率的にならないのかと思ってしまうものだ。そんなことをつらつらと考えながら、スーパーの自動ドアを出た瞬間、卵と牛乳を忘れてきたことに気付き、引き返そうかと思った刹那…、

「どうしました?お嬢様。忘れ物ですか?」

という耳に優しい丁寧な声がした。こんなおばちゃんを相手に、なぜに、お嬢様??と笑いそうになったところで、はっと気付くと、目の前には執事!という言葉でしか説明のつかない格好をした初老の男性。その隣には、メイドさんという格好をした若い女性の姿があった。

「えっ?なんで?」という言葉を口に出した途端、頭の中にどわーっと情報が入ってきて、ちょっと動きが止まった。

私の名前は、クローディア・ベルナンドリル。

ベルナンドリル侯爵の長女であり、明日15歳の誕生日を迎える。我が国サリエルン王国学園の1年次に在籍し、高位貴族としての教育や淑女教育、魔法などを学んでいる。王国の第二王子殿下が3年次におられ、今年1年のうちに婚約者の選定がされることになっている。という、どこかで聞いたことがある内容が一瞬のうちに頭の中で駆け巡った。鏡を見たわけでもないのに、自分の顔が別人であることが分かり、目に入るブラウンのロングヘアはくるっくるに巻かれている。ややふくよかだった昭和生まれのおばちゃんと、明日に15歳を迎える少女が、ほぼ同じ体型というのは解せないが…、体型以外は別人である!というのは分かった。

「バルタール、部屋に今日の講義で使う予定だった刺繍の道具を置いてきてしまったわ」と、なぜかスラスラと言葉が出て、執事と目を合わせた。

「かしこまりました。アンナ、取りに…」「はい。行ってまいります。」とは、メイドのアンナの答えである。アンナは、私の2つ上であり、スレンダーな金髪美女である。私のなかで普段からキレイなお姉さんという意識があったため、私よりもよっぽどお嬢様と呼ばれてそうな造形であるが、この貴族社会においては、何よりも生まれと肩書きがとても大きい。日本の昭和生まれのおばちゃんからすれば、普通の顔に化粧とくるっくるのドリルヘアを決めたお嬢様よりも、薄化粧とメイド服で完璧美女のアンナのほうが勝ち組に見えてしまう。そんなアンナが、刺繍の道具を持ってきてくれたため、予定通りに出発しようとして、振り返ったところに居たのは、2頭の栗毛の馬である。この世界、移動手段は、馬車か徒歩であり、貴族は徒歩での登校なんてまずあり得ない!というのが常識である。地球温暖化の進んだ令和の日本から来た身では、CO2の排出量とか車と馬車だと格段の差だろうな~としょうもないことを考えてしまった。

馬車に乗り入れこむと、よく異世界ものにありがちな固い木の座席で、サスペンションなんてものは皆無のガタガタ揺れる乗り心地を過去の自分の体験から思いだし、憂鬱になったが仕方ない。学園までの道のりで、途中の石畳の道端に、うずくまっている人を見かけた瞬間、「停めて!」と言いながら、御者側の壁をノックし、馬車が完全に停まる前に自ら扉を開き、道へ降りるとうずくまっている人の側へと駆け寄った。後ろから聞こえた御者の「お嬢様?!!どちらへ?!」という声に答えることはなく、うずくまっている人影に声をかける。「どうされました?ご気分でも悪いのですか?」

ぱっと見たところ、平民のような格好ではあるが、小綺麗で汚れやほつれも無く、裕福な商家のものか?と推測できた。

「急にクラっとしまして…」と言った声は、ダンディなおじさまのもので、こちらに向けられた顔は、正統派の紳士である。うちの執事のバルタールよりは若いだろうけれど、父である侯爵よりも年上なのではないかと伺わせる男っぷりである。はっきり言って、だいぶ好みのタイプど真ん中であったため、彼の顔をまじまじと見つめてしまったが、ダンディおじさまはクラっとしたという言葉通り下を向いて、立てた片膝に顔を埋めてしまっている。

「ご気分が悪いのでしたら、歩いて帰るのは大変でしょう。もしご迷惑でなければ、お宅までお送りしますよ。」と伝えると、やや驚いた顔をしたダンディおじさまは、「こんな見ず知らすの男に過分なお言葉を…、少し休めば…」と断られそうになったため、「問題ありませんわ。特に用事も無いですし、困ったときはお互い様と言いますでしょう?さっ、うちの馬車へどうぞ。」と強引に話を進める。申し訳なさそうにしながらも、ダンディおじさまは私の言葉を断ることはなく、「ではお言葉に甘えて…」と言ってくれる。路肩に停まっていた馬車に案内すると、御者の「お嬢様?!そちらのお方は…!!(何でこの方が、こんなところに…??)いえ、学園へ行く途中ではありませんか!!」と非難の声を無視し、「体調が悪い方を、放っておくことなんて出来ないわ!こんなにダンディなおじさまなのよ!!こんなダンディな方に万が一何かあったら、王国の!いえ人類の損失じゃないの!!」と自分でも、学園を休むには無理矢理だな~と感じる理由を並べ立てる。「ええ~?お嬢様、その方をご存知で仰ってるんですか?(万が一も何も普通に立って歩いておられるけど…)」

御者の言葉に、「ダンディなおじさまよ!人類の宝!」と言い切り、「さっ、出して!」と伝え、馬車の中に向かい合って座ることになったのである。

「ご親切に、ありがとうございます。ジルベール・サリ…いえ、ジルベールと申します。」とおじさまは名乗ってくれた。「いえいえ、先ほども言いましたが、特に用事も無いですし、問題無いですから。私は、クローディア・ベルナンドリルと申します。」と言いながら、ついさっきまでは違う名前で別の世界で別の人間だったなんて、予想もしないだろうね~と苦笑しそうになり、慌てて顔を取り繕う。それは、貴族の張り付けた笑顔というよりは、患者さんに向ける医療者の顔に近かったことは、意識の外であった。そして、その顔を向けられたジルベールの表情がやや緩み、すぐに元の顔に戻ったこともクローディアには気付かなかった。ましてや「こんなところにいた!こっちの世界には滅多にいないポッチャリ女子!!」という、サリエルン王国では聞いたことの無い単語を話すダンディなおじさまの小さな独り言には全く気付いていなかった。

馬車は、しばらく走った後、静かに停まった。御者が、開けてくれた扉から、ジルベールが先に降り、その後にクローディアに手を差しのべられ

て、馬車から降りる。そのときになって初めて、クローディアもジルベールも行き先の指示を何もしていなかったことに気付き、周りを見回すと、王宮の目の前であった。「ん??王宮……?」困惑するクローディアを、よそにエスコートする形になったままのジルベールは、嬉しそうに揺るぎ無い足取りで王宮へと入っていく。

「ジルベール…様??なぜ王宮に??」

「なに、ここに私は住んでいるようなものなのでな!」と答えてくれた。

「ええ?!王宮に??あなた様は一体…?」とクローディアの困惑はますます深まるばかり。それもこれも、ジルベールの出自が理由である。今の国王とは実の異母兄弟であるが、先王陛下の第二側妃である母の身分が低く、お世継ぎ争いに巻き込まれることを嫌って、幼少時より継承権の放棄を母子共々宣言していた。それでも、余計な波風を立てようとすり寄ってくる貴族が減らなかったために、母は心労から儚くなってしまった。母を見送った後に、秘密裏に現在の王の影武者として生きていくこととし、表舞台からは退き、辺境に領地をもらって引きこもった何年か後に、流行り病で急逝したというシナリオを作り、国王や宰相などの数人のみが知ることとし、国民にはシナリオの内容が伝えられたためである。もう20年以上も前のことであり、魔法に長けていた王弟ジルベールは、影武者をしながら生きてきたが、即位20年の記念の折に触れ、現在の王である兄より、安定した時世が続いており、今後は影武者ではなく、城から離れて暮らすなり、城内で顔を変えることで、ジルベールとして生きていくようにとの兄の願いであった。そんなジルベール、実は転生者であり、前世では乙女ゲームのイラストを担当したアニメーターであった。

サリエルン王国の学園を舞台にした『花の王国トキメキ王国ラプソディー』という昭和を感じさせる乙女ゲームは、攻略対象に第二王子を筆頭に、魔法師団の隊長や、騎士団の隊長の義理の弟で特攻隊隊長、財務長官の息子など、年齢もタイプも様々なキャラクターがおり、何よりもファンに受けたのは、自分で好みのキャラを、外見パーツや設定から選択した攻略対象を作ることが出来たことである。ファンの喜びとは対照的に、製作陣からしたら、普通のキャラのデザインに加えて、パーツごとに分かれていながら、合わせたら様々なタイプのしかもイケメン顔になるという細かい調整をしなければならず、めんどくさいことこの上無い!!というところであったそうな。ゲームが市場に出て、自分の手を離れたのを見計らったように、ジルベールの前世の男は徹夜開けの帰宅途中に、交通事故で亡くなったのである。居眠り運転の車の玉突き衝突事故に巻き込まれ、頭と胸を強く打ち付けたことによる出血多量であったが、跳ねられた時に先に頭を打ったために、ほぼ意識は無く、痛みを感じる間も苦しいと感じることもなかったことは不幸中の幸いと本人は思っている。

ゲームのヒロインは、これまたプレーヤーが何パターンかの中から自分の好きに選ぶことが出来、平民の少女だったり、影のある高位貴族の令嬢だったり、隣国の王女など多岐にわたり、そのキャラに合わせた設定があったのである。そして、よくありがちな悪役令嬢として、わがままで高慢な侯爵令嬢のポッチャリ女子クローディア・ベルナンドリルという、なかなかに癖の強いキャラが、生まれた。クローディアがポッチャリなのは、ジルベールの前世の人がポッチャリ女子が好きだったから!ただそれだけである。入念に手間をかけて、キャラデザしたクローディアが、彼の前に現れたのだ。理想が目の前に居るのだから、もうすぐにでも、兄である陛下に紹介して婚姻の許可をもぎ取ろうとまっすぐに王の執務室へと直行していた。

そして、訳が分からないけれど、クローディアの中の人にとっても、ダンディなおじさまであるジルベールは好みどストライクだったため、あれよあれよという間に、一回り以上の年の差もすっ飛ばして婚姻し、2人仲良く暮らすことになるのである。お互いに婚姻前に前世のことを打ち明けることは無かったが、元々が、日本の庶民の2人。価値観も、そこそこ似かよっており、仲睦まじく暮らしていた。そして、2人で馬車の座席の固さを話していたときに、サスペンションやクッションといった言葉を出し、お互いに気付くことになる。そして、馬車の事故で2人一緒に、崖から落下している最中に、衝撃を受けることを覚悟していたところ、あのスーパーの自動ドアの前に2人で座り込んだ状態になっていたのである。中身ジルベールの彼が私の夫であり、徹夜開けの交通事故で亡くなって半年後、4人の子持ちでシングルマザーになっていた私のはずが、彼が交通事故で亡くなった事実は、どこを探しても誰一人として知らなかった。





ただ、悪役令嬢不在の乙女ゲームの『花のトキラブ』の舞台である王国学園では……、どんなことが起きていたのか、当事者が誰も居ないので全く分からないのである。まあ、それはまた別の話なので、またいつか。

元オペ室のナースだった昭和生まれのおばちゃんは、体調不良の方に関わって異世界転移し、交通事故で亡くした夫を連れ帰って、幸せに暮らしたというお話。


小説というよりも、設定の置き場のような話ですが、最後まで読んで頂いた方がいましたら、とてもありがたいです。文章を書くことに慣れていないため、書きたいことと、キャラクターに、言わせたいことがごちゃごちゃしており、読みにくい内容になっています。

少しずつ、書いて慣れていきたいと思います。

ありがとうございました。

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