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みんなでちからをあわせて

メタノイアは人間の生命を撚り合わせて作られた。


その事実に驚愕するが、納得もできる。

人の命は魔力と同じものとする説がある。魔力が多ければ老化が減速する現象を応用したものだ。魔力と老化の関係について、生命力という概念を用いて説明した論文のことである。

魔力と生命力は同義であり、魔力の多さと生命力の豊かさは比例する。つまり魔力が多いほど生命力にみなぎっており、生命力にみなぎっているから老化が鈍るということだ。


その説にのっとり、魔力と生命力が同じものならば命は魔力に変換できる。

成程。破壊神メタノイアの規格外の魔力の出どころはそういうことか。そうやって"いのち"を食らい、変換し、溜め込んだ結果か。


「……酷い話だ」


神殺しをなせるほどの破壊力を実装するために、いったいどれだけの人間が消費されたのか。見えた真実の断片では万を越えて桁が上がる寸前までという文字列が頭の中に直接叩きつけられた。それが正しければ、それはもう膨大な数が消えたのだろう。

万を越えて桁が上がる寸前まで。文字にすれば短いが、それが意味するものは長いなんてものじゃない。なんて途方もない絶望なのだろう。

そしてそれを作り上げた人間の狂気が恐ろしい。


「……っと、それはひとまず置いておこう。それよりも、魔力譲渡は平気だったか?」


いけない。本題はこちらだ。思考を切り替えてナツメがカンナに問う。

ルッカの自負をもって言うが、かなりの量の魔力を譲渡した。きちんと取り扱えただろうか。


魔力と武具というものはしばし水流と水車に例えられる。水流(魔力)を流し込むことで水車(武具)が回転し、機構(魔法)が作動する。

流し込む水の量が足りなければ水車は回らず、しかし洪水のような濁流を流し込めば水車は壊れてしまう。結果、武具の暴走を引き起こすし、下手をすれば武具は自壊する。


そうはならなかっただろうか。普段と変わらず発動できただろうか。発動の際に違和感がなかっただろうか。

心配するナツメにカンナは首を振る。一気に多量の魔力を譲渡されればそうなっていたかもしれないが、ナツメは慎重に量を絞りながら少しずつ受け渡してくれた。おかげで何とか受け取りきることができた。


「大丈夫でしたよ。ありがとうございます」

「そうか、よかった」


なら、魔力譲渡についてはもう問題がないというわけだ。

譲渡した魔力は数日休めば自然と回復するものだ。現在値が減っただけで最大値が減ったわけではない。回復すればまた同じように譲渡し、ベルダーコーデックスを発動できるだろう。


「よし。実験もできた。そろそろ君は授業の時間だろう、行っておいで」

「また転移ですか?」

「もちろん。――"放浪者による騎行"!」


ばしゅん。転移魔法特有の発動音がし、カンナの姿が消える。適当な校舎の近くに転移させたのだ。

これでこの場には自分ひとり。静寂が支配する空間で、ふぅ、と息を吐く。

今得た情報を改めて整理しよう。


自分の目標は愛しい魔女を殺すこと。そのために破壊神メタノイアに匹敵する破壊力が必要。では破壊神メタノイアはいったいどのようにして規格外の力を得たのか。それは何万もの人間の命を紡いだから。生命力は魔力と同じものという理論に基づき、命を魔力に変換して力を溜めた。

つまり他人の命を足せば強くなれる。ひとりの力では限界があるというのなら複数人の力を束ねればいい。


「皆で力を合わせて協力すればどんな困難も打ち砕ける……。はは、綺麗事の裏を返せばそういうことか」


あぁわかった、何をすればいいのか理解した。


ならあとは突き進むだけじゃないか。


















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