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だからそれは許されない道なのだ

長い回想を終え、改めてヴィトは結論づける。『なかったこと』にはできない、と。

やろうとすれば痛いしっぺ返しを食らい、事態はもっと悪くなる。3度目はもうごめんだ。


なのでカンナの心づかいはありがたいが、その計画には協力できない。

ヴィトを苦しめるものから解放したいというのなら過去の改変ではなく殺害でもって救ってくれ。


「ソレがイチバンの救済なんだヨ」


『なかったこと』にできない死でもって永遠の終結を。


***


と、いう顛末があったのだとヴィトから聞いたナツメは、やっぱりな、と嘆息した。


あれこれ提案して口を挟んだ身ではあるが、こうなることはわかりきっていたことだ。ヴィトはカンナの計画に協力しないことは見えていた。

だって、魔女の望みはただひとつ。自身の死以外にない。それ以外の行為は蛇足なのだ。


死を与えることが唯一の優しさであり慈悲。あとの思いやりは余計ですらある。こうして仲良さげに接することもヴィトにとっては不要に分類されることだ。なぜなら、親しくしてしまったら刃を振り下ろす時に鈍ってしまうからだ。


では、魔女に死を与えるにはどうしたらいいだろう。唯一かけてあげられる優しさをかけるには。


それには魔女を殺すこと、殺せる手段が必要だ。その手段とはメタノイアに他ならない。

メタノイアに設定された抹殺対象はヴィトであるということを利用してこの世界にメタノイアを召喚するという計画は頓挫した。まぁもともと突拍子もないことだったので期待はしていなかった。

なら他の手段を考えなければ。手元のピースを組み合わせてメタノイアのロジックを作り出さなくては。


神の国に接収されてしまったという破壊神をこの世界にどうやったら召喚できるだろうか。


――否。待てよ?


召喚にこだわらなくてもいいのではないだろうか。


新しいメタノイアを作ることだってできるのではないだろうか。

2000年前の人間が作ったものを現代で作れないはずがない。原初の時代より技術だって発展しているのだし、何ならメタノイア以上の破壊力を持つものを作れるかもしれない。

どうやって突破できるのかもわからない世界の境界を越えて神の国からメタノイアを呼び出すよりもよっぽど現実的だ。


この世に再びメタノイアを作り出す。そのためにはメタノイアの製法を知ることが必要だ。

おそらくヴィトは知らないだろう。メタノイアがいた当時、ヴィトはメタノイアの起動を阻止する側で、それを製造する側ではない。

見た目の材質や形状から見当はつけられても正確な製造方法なんて知らないはずだ。


メタノイアのことを詳しく知るのはヴィトだけ。そのヴィトが知らないならあとは真実を司る氷の神くらいしか頼れる相手はいない。だが氷の神とて世界の真実の断片として把握しているくらいだろうし、第一、何らかの情報を得るために氷の神に呼びかけて応えてもらうなんて、まずその方法を考えることからだ。

結論。どっちも不可能。


ならこれで道は閉ざされたかというと否。心当たりがある。

カンナの持つベルダーコーデックスだ。真実の書と呼ばれるそれはあらゆる真実を見抜く。その能力を使えばメタノイアの製法はわかるはず。ベルダーコーデックスを発動し、真実を読み解くに必要な魔力は膨大だろうが、それは自分が魔力を貸して賄えばいい。

魔力を貸しさえすれば全部つまびらかになるとは思っていないが、何かしら掴めれば十分だ。料理のレシピのように食材から調味料に至るまで細かく知ることはできなくても、せめて煮込み料理か炒め料理かサラダかスープかくらいの目星はつけられれば。

神殺しなんてものを目指して作られたそれはきっとおぞましいものを集めて鍋に放り込んだのだろうが。


「絶望を煮詰めて何を作るんだか。やれやれ」


どんな材料を使っているかは知らないが、とんでもない味になりそうじゃないか。

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