answer【動】【答える】であいうえお小説
answer【動】【答える】であいうえお小説
another【形】【別の】:別の答えがあったのだろうか。聞かれた質問に答える答えはあらかじめ用意していた秋奈だったが、相手の表情や態度を見て、あらかじめ用意されていた返事が頭から飛んでしまった。秋奈が答えないでいると、耳元に近づいてきた。
「じゃあ――」
秋奈にしか聞こえない声で囁かれた言葉に絶句する。秋奈が動けないでいると、その言葉を囁いた男の子が、秋奈にさらに近づいてくる。
ちなみに、その男の子の名前は、囁かれた言葉に衝撃を受けて、頭から飛んだ。
それはともかくとして
now【副】【今】:今のこの状況はヤバい。本当は逃げたい、逃げ出したい。でも、どうやって逃げたらいいのか、思い浮かばない。そして、相手に押され気味の秋奈にはどうしようもできない。
(どうしよう……)
「逃げないんだ……」
そういって、秋奈との距離をゼロにしようと、より近づいてくる。
秋奈にはどうしようもできない。状況に唯一の友達――友愛の言葉を思い出す。
“秋奈の意思、思い、本音をちゃんと大事にして!”
本音を言えばこんな状況絶対に嫌だし、ちゃんと最初の時に、断っている。だけど、最初声をかけられたときは、周りに人がいて、ちゃんと秋奈の想いを伝えられず、曖昧な返事になってしまった。
(ちゃんと、言えばよかった……。周りなんて気にしないで……。でも――)
頭の中でグルグルと様々な思いが駆け巡り、そして、これ以上後ろに逃げられず、秋奈は壁に寄りかかりながら、ゆっくりと、しゃがみ込む。すると、相手も、一緒にしゃがみ込み、廊下についている秋奈の手に指先をからめる様に触れてくる。
(もっと、ちゃんと友達作っておけばよかった……)
秋奈は
solitude【名】【ひとりでいること】:ひとりでいることが多いために、誰も助けてくれない。そういっても、今は周りに誰もいないからそうだとしても関係ない。だけど、そう思いたくなる。
(誰か……)
相手との距離がもう少しでゼロになろうとしたとき、声が聞こえた。
「そこで、なにやってるんだ!」
この声はこの学校の保健医の声。その声を聞き、相手が秋奈から離れ、逃げる様に走り出した。
(助かった……)
保健医と目が合い、秋奈は安心し目を閉じた。
(遅いよ――)
秋奈はそこで意識を手放した。
気がつくと、保健室の天井が視界に入って来た。
「気が付いた?」
秋奈が黙っていると保健医は「周りには誰もいない」と付け加えてきた。
「うん……。遅いよ……、恵典……」
恵典と呼ばれた保健医は、秋奈を抱きしめた。
(落ち着く……)
「ごめん……」
恵典を責めても仕方がないのは分かってる。でも、そう言いたくなった。でも、恵典にだって、仕事がある。でも、仕事の最中にあの場面を見つけ、きっと、頭の中で最良の
way【名】【方法】:方法を考え、それを選んで、行動してくれた。だから、それはいい。あの場合、秋奈と恵典にとって、それが最善だったから。本来はもっと、早くに助けられたはずだ。ここが学校でなければ。でも、ここが学校となると、話が変わってくる。
engagement【名】【婚約】:婚約している2人にとっては。それを知られるわけにはいかない。知っているのは学校長だけ。だから、恵典は指輪をする事が出来るが、秋奈はそれが出来ない。
「恵典は悪くない。だって、学校に行きたいって言いだしたのは私だから」
「だけど……」
お互いに、これくらいの
risk【名】【危険性、リスク】:リスクは承知してた。だから、仕方がない。秋奈は、恵典から離れ「家に帰ろう」と、言い出す。この話はもう終わりという様に。でも、それに納得できない恵典は秋奈をジッと見つめている。
「じゃあ、今日は一緒に帰ろう。いつもは帰れないから」
その言葉を聞いて、恵典がしぶしぶという様にでも、少しだけ嬉しそうに「わかった」と返事をする。その姿を見て、秋奈は少しだけ笑みを浮かべ、友愛の別の言葉を思い出していた。
“どんなことがあっても、全ては上手くいってるのよ。だから、出来事に意味なんてないのよ”
(確かに、その通りかもしれない)
その言葉を聞いた当初は、信じられなかったけれど、今はほんの少しだけ、理解できた気がした。
読んで頂きありがとうございました。