後編
放課後。
名張は、夕夏を校門の前で待っていた。
「お待たせ」
その笑顔は後ろから照らす陽の光で輝かしい。
「あなたのいう通りになった。脅しには屈しない。警察に行くって言ったら、みんな私の前で、泣きながら土下座してひれ伏したわ」
「うん」
「私、もう大丈夫だから・・・・・・ありがとう」
「これで学校通えるな」
夕夏はくびをふった。
「転校する。もう気まずいもん。この場所」
その眼は、未来に向かって輝いている。
「あなたのおかげよ。名張」
「そんなこと・・・・・・」
夕夏が名張を一心に見つめる。
「好き」
「僕も、好き」
キスした。
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「バチーン」
すごい音が辺りにこだました。野次馬の学生たちが何事かと二人を見ている。
「何するのよ。この変態。痴漢。警察に突き出してやる」
「夕夏。僕のことがわからないのかい?」
「あんたなんか知らない。この変質者!」
夕夏につかまれた首根っこを振り払って、名張は一目散に逃げ出した。
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○月●日
本日の『禁句ワード』
『好き』
無事に回収することに成功しました。
残り何個あるかは不明。
以上
名張ノートより抜粋
以下同文