1話 10年ぶりの…
人間には誰でも1つくらいは忘れ去りたい過去があるだろう、若気の至りで、とか。そんな過去のことを人々は黒歴史と呼ぶ。そしてこの俺板前裕にも忘れ去りたい黒歴史があった…。
× × ×
「板前く~ん」
「なんですか、部長」
まあ、どうせ仕事増やされるだけだろうけど
「この書類お願いしていい?」
やっぱり…
「わかりました。そこに置いといてください」
「いやー、すまないねぇ~。僕も忙しくてさ~」
部下に仕事やらせて自分はただずっとゴルフの練習してるだけだろ
「じゃ、お願いね~」
「はい。…はぁー」
いつかあいつまじでぶん殴ってやろう
「おーい裕、飯行こう、ってお前また書類増えてんじゃん!」
「淳か、見ての通り今日も残業確定だよ」
こいつは中川淳、中学からの同級生で俺の忘れ去りたい過去を知ってるやつでもある
「ドンマイ、まあとりあえず飯行こうぜ」
「ああ、そうだな」
俺達は食堂へ向かった
「にしても、お前だいぶまともになったよな」
「なんだよ急に」
俺はラーメン、淳はカツ丼を食ってる時に淳がいきなり言い出した
「だって学生の頃の裕だったら部長みたいなやつからお願いされても絶対断ってただろ」
「学生の頃話はしないでくれっていつも言ってるだろ」
でも確かに昔の俺ならあんな部長の頼みなんて絶対に聞かなかっただろう。
というか学生の頃はあまり周りに興味がなかったしな、なぜなら…
「そう言うなよ、俺は結構好きだったぜ?中二病のお前」
「ぐっ」
そう、俺は中二病を患っていた。しかも重度の。
「自分で本にいろいろ書いてたりしてて見てて面白かったしな」
「そのせいで学生時代の友人と呼べるのはお前しかいないがな!」
中二病ってのは周りのやつから基本的には白い目で見られるからな。学生の頃の俺は全く気にしてなかったが…
「その唯一の友人からの誘いだ、今度の休みに海行こうぜ、海!」
「なんだよ急に」
「いやー、俺もそろそろ彼女が欲しいと思ってな」
「そーかよ」
淳は人と仲良くなる天才だ。そのおかげで俺はボッチを回避できていた訳だが
「まあ、用も特にないし行…」
♪♪♪
電話が鳴った
「すまん、電話だ」
電話をするために俺は一旦食堂を出た
「もしもし?」
(もしもし裕?)
母さんか
(今日あんたの部屋の掃除してたんだけどあんたが学生の頃の本とかいろいろ出てきたんだけどどれを捨てていいかわかんないから自分で確認してくれない?)
「…わかった。今度の休みに実家行くわ」
(よろしく~)
淳に学生の頃の話はするなって言ってたらまさか本物を見に行くはめになるとは…
「なんだったんだ?」
戻ってきた俺に淳が聞いてきた
「母さんが部屋のものでどれを捨てていいかわからんから確認しに来てくれって。だからすまん今度の休みは行けなくなった」
「まじかよ~、せっかく会社の人たち誘ってお前の友人作ろうと思ってたのによ~」
そんな事考えてくれてたのか
「すまんな、今度何か奢るわ」
「約束だぜ、っとそろそろ休憩時間も終わりだな。じゃあまたな裕」
「ああ、またな淳」
そう言って俺達は別れた
× × ×
休みの日俺は実家に戻って母さんに言われてたモノを確認していた
「教科書とかはもういらないな」
捨てるものと捨てないものにわけている中で一冊だけ異彩を放っている本がある
「こいつどうするかな…」
そう、俺が作ってた本だ。昔にいかにも魔導書みたいな見た目が気に入って小遣いはたいて買ったんだったな、確か中には自分で考えたキャラを書いてたんだっけ
「とりあえずどんなの書いたか気になるし見てみるか」
自分の傷をえぐることになりそうだが…
本を開いてみると最初のページには「モミジ」と書かれて銀髪の女の子が描かれていた。そして一緒にキャラの説明が書かれていた
「へぇー刀になる能力があって俺の愛刀だった。か」
ううっ、胃が痛い
たぶん学生の頃1番気に入っていたのだろう、説明文がぎっしり埋まっている。…まあ確かにうまく描けていると思う、今見てもちょっとかわいいキャラだと思ってしまった。
「次は…ってあれ?」
次のページをめくると絵は描かれていたが名前や説明が一切書かれていなかった
次もその次も
「なんでだ?確か全部にちゃんと全部のキャラに名前と説明文はつけてたと思ったが」
そして最後のページまでめくると本が光って
「なっなん、うわっ!」
目の前が真っ白になり視界が戻ったとおもったら…
自分の部屋にいたはずの俺は見知らぬ広い草原に立っていた。
この作品はフィクションであり、主人公と作者は一切関係ありません。
…ほんとですよ?




