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僕、銀幕デビューが決まりました

今年最後の更新となります。


皆様良いお年を。

「社長、新しい仕事ってどんな仕事なのですか?」


「それが、聞かされてないんだよ。次の仕事絡みで会わせたい人が居るとしか言われていないんだ」


 僕は今、長門さんと武蔵社長と一緒に金剛社長の会社に向かっています。新しい仕事を頼みたいということなのですが、契約に僕も同伴してほしいとのことです。


「新しいコマーシャルを録るのかと思ったんですけど………」


「どうも違うみたいだね。話の内容次第では断るし、身構えなくてもいいよ」


 以前はあの会社からの仕事を逃すまいと必死だった社長が、断る事も厭わないとは。もし断った場合、会社の経営は大丈夫なのでしょうか?


「カオルちゃんのお陰で、うちのタレント皆に仕事が増えたからかなり余裕が出来たんだ。カオルちゃんが出てくれた番組の関係者に恩も売れたしね」


 仕事の量はかなり少ないのですが、事務所に貢献は出来ていたようです。入った依頼を断るのに苦労していたようなので迷惑をかけていたと思っていましたが、それはそれで利用出来ていたようです。


 ゲーム会社に到着し、応接室に案内されました。中には金剛社長の他に、二人の男性が座っていました。


「お呼びだししてしまい、申し訳ない。この方たちにカオルちゃんを紹介しろとせがまれまして………」


「初めまして。映像監督の阿賀野といいます。こちらは小説家の最上先生です」


「やあやあ、物書きの最上です。カオルちゃん、映像て見るより可愛いなぁ。これは嵌り役でしょう!」


 前にコマーシャルに出たゲーム、デュアルワールドは、小説を元にしたゲームです。その原作の作者さんが、この最上先生なのです。

 その繋がりだとは分かりましたが、新しい仕事の為に紹介すると聞いています。小説の宣伝に起用して貰えるのでしょうか?


「これは内密にお願いしたいのですが、デュアルワールドを実写化する予定です。その主役をカオルちゃんにお願いしたい」


 僕が演技する?しかも、いきなり主役ですか?


「待って下さい。うちのカオルはデビューしたばかりで、演技などさせた事もありません。端役からならまだしも、いきなり主役とは荷が重すぎます!」


「確かに、演技は未知数でしょう。しかし、今回の配役はイメージ重視でいく事が決定しています。最上先生がカオルちゃんしかいないと言われまして」


「殆どの事務所の子役や若手を見たけど、誰もピンと来なかったんだよね。だから、カオルちゃんに断られたらこの企画はお蔵入りになる」


 ちょっ、断ったら企画自体が無くなるなんて言われて断れる訳がありません。武蔵社長も困惑を顕にしてすがるような表情で僕を見ます。


「そこまで言われて、お断りはできません。精一杯やらせて頂きます」


 長門さんや武蔵社長に確認せずに受けてしまったけど、間違えてないですよね?


「それは良かった。条件としましては、最大限の好待遇を………」


「阿賀野さん、新人にこれは破格では?」


 契約料等の細かい交渉は、武蔵社長の仕事です。僕や長門さんが口を出せる物ではありません。


 デュアルワールドはよくあるVRMMOもののお話で、リアルチートな主人公が超レア種族の美幼女を引き当て始めの町でまったりと活動するというもの。

 これ、普通なら実写じゃなくてアニメ化するような内容ですね。実写だと町のセットとかフィールドのセットを作る必要があるので、かなり大がかりな企画でしょう。

 それを断られたらお釈迦にするって、引き受けた時に阿賀野監督が安堵の表情を見せたのは無理ない事です。


「それでは宜しくお願いします。スムーズに契約していただき、感謝します」


「いえいえ、こんな破格な契約を断る理由がありませんよ。こちらこそ宜しくお願いします」


 阿賀野監督と武蔵社長が立ちあがり、固い握手を交わしました。これで僕がデュアルワールドに主役で出る事が確定しました。


 ………あっ、僕の性別を明かしてませんでしたが、これって問題にならないのかな?

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