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僕、演じました

少し短め

「カオルちゃん、他にも出来る事があるんじゃないの?」


「踊りではないですけど、パントマイムを少々」


 これも掲示板の友人に勧められました。ただ、その理由が「パントマイムをやればJ○J○立ちが綺麗に出来る」という呆れた内容なので言えません。


「やって見せてもらう事はできないかしら?」


「別に構いませんよ。ただ、素人芸なので期待はしないでくださいね」


 本格的に学んだ訳ではありませんし、人に見せるのは初めてなので上手くできているかわかりません。なので、がっかりされないように釘を刺しておきます。


 数歩歩き、膝をさすってしゃがみこみます。止まった前の空間に手を出して、膝の高さで手のひらを横に回しました。

 見えないベンチを確認した僕は、何度か叩いて丈夫な事を確認しました。


 僕は立ち上がると、見えないベンチに腰を下ろします。両手も後ろについて、上半身を心もち後ろに反らしました。

 一呼吸おいて、ベンチが消えたように後ろに倒れこみます。驚いた表情で立ちあがり、一礼して終わりです。


「凄いわ、カオルちゃん!本当に見えないベンチがあるかと思ったわ!」


「その年であれだけの技を使えるなんて………叩いた時や座った時の高さは一致していたし、座った時に足は微動だにしなかったわ。あなた、何者なのよ?」


 長門さんは素直に称賛し、リシリューさんからは称賛しつつも勘繰られてしまいました。僕はただの元引きこもりの新人タレントですよ。


「カオルちゃん、パントマイマーで食べていけるんじゃないの?」


「見様見真似なので、プロとしてやっていけるかは疑問ですね。大体、そうなったら困るのは長門さんと社長じゃないですか?」


 ネットの動画を見て練習しただけの僕が、プロになんかなれる筈がありません。それに、パントマイムのプロってどこで活動してどうやってお金を稼ぐかわかりません。


「ねえ、私と組んで世界を回らない?あなたなら世界一のダンサーになれるわ!」


「えっと、お断りします」


 武蔵芸能との契約もありますし、リシリューさんは僕を女の子だと思っているでしょう。でも、僕は男の子ですから。

 ………あれ、そういえば僕みたいな人には海外の方が理解があると何かで見たような。


「カオルちゃん、何を悩んでいるの!カオルちゃんが海外に行ったら、ご家族が悲しむわよ!」


 はっ、そうでした。両親や穂香を置いて海外に行くなんて論外です。


「リシリューさん、そういう理由ですので、お誘いにのることはできません」


「それは残念………カオルちゃんならば宝塚の頂点に立てると思ったのに」


「「世界って宝塚かい!」」


 長門さんと声を揃えて突っ込んでしまいました。リシリューさんは宝塚の大ファンで、自分が果たせなかった宝塚入団の夢を継いでくれる弟子が欲しかったそうです。


 それは、僕がその気になっても果たせない夢ですね。僕は見た目はこうですが列記とした男の子ですから。


「とりあえず、今日のレッスンは終了ですかね?」


「そうね。歌も踊りもこなせるとなると、カオルちゃんへのお仕事は増えそうだわ」


 やれる事は多くても、特化した人には劣るのでそんなに需要はないと思うのですが。テレビ局の話題逸らしが終わった後、仕事が来ますかねえ……



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