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僕、歌いました

「カオルちゃん、今日は歌唱力の確認をします」


「長門さん、それは予定通りだから構わないんだけど……」


 ここは某大手のカラオケチェーン店の中です。芸能活動をするにあたって、歌唱力の確認をしておく必要があるとのことで長門さんとカラオケボックスに来ています。

 それは別に構わないのですが、何故に室内にお父さんとお母さん。学校に行っていなければいけない筈の穂香まで居るのでしょう?


「ご家族が居ても支障無いでしょ?皆で楽しまないと」


「長門さん、これ仕事ですからね!」


 遊びに来たわけではなく、仕事の一環なのです。経費も事務所から出すように社長に食い下がり、認めさせていたのを知っています。


「薫、世の中には会社や学校よりも大事な事が存在するんだよ」


「そうよお姉ちゃん、学校や教育委員会なんてお姉ちゃんとのカラオケの障害にはならないわ!」


 突っ込むだけ無駄だとは判っていても、やらねばならない時が男にはあるのです。でも、僕もそろそろスルースキルを修得しようか悩んでます。


「確認が終わったら遊ぶのもいいけど、それまでは仕事だから大人しくしていてね」


「「「「はーい!」」」」


 声の揃った、良いお返事です。だけど、長門さんまで返事をしたのは何故でしょう?


「ではカオルちゃん、好きな歌を入れて歌って下さい」


「歌うの初めてだから、期待しないでくださいよ」


 引きこもっていたので、カラオケなんて初めてです。掲示板仲間から勧められた曲を聞いていたので、知ってる曲はあるのでそれを歌いましょう。


 最初はテンポの良い曲で盛り上げるべきだそうです。三つの心が一つになり、百万パワーとなる曲を歌いました。


「カオルちゃん上手いわね。本当に初めて?」


「正真正銘初めてですよ。次歌いますね」


 どうやら上手く歌えたようです。この勢いで、次もノリの良い曲を行きましょう。五台のメカが一つになって、電磁波を使った武器で戦う歌です。


「上手いけど、なにか違和感があるな。違う曲調の歌は歌えないか?」


 お父さんのリクエストに従って、今度はゆったりとした曲にします。宇宙を走る汽車に乗って、美人と旅するリア充の歌です。


「上手く歌ってるけど、何か違うような……」


「お父さん、目を瞑って聞いたらそうでもないわよ。薫ちゃん、またテンポの良い歌でお願い」


 お母さんに言われた通り、悪魔の力を身に付けた正義のヒーローの歌を歌いました。


「お母さんの言う通り、違和感が無くなったな」


「上手に低音を出しているけど、カオルちゃんの見た目は美少女ですから。視覚と聴覚で差があるからでは?カオルちゃん、女性の曲をお願い」


 長門さんの分析を確かめるため、女性の曲を選びましょう。元素を空中に固定する装置を駆使して戦う、愛と正義の戦士の歌です。


「しっくりくるな。長門さんの指摘は正しかったな」


「ですね。カオルちゃんには女性曲を歌って貰いましょう」


 えっ?今長門さんが聞捨てならない事を発言しました。女性曲を歌うって、公衆の面前で歌う事確定なの?


「長門さん、今日は僕が歌えるかの確認だけじゃなかったんですか?」


「トレーニングもせずに、これだけ歌えるって分かったから十分よ。勢いのある曲よりも、バラード系の方がいいかしら?」


 その後は、方向性を確かめるためと色々な曲を歌わされました。夢嵐にあって迷子になった宇宙人を助けて変身アイテムを貰った少女の曲や、噛みつくと相手の姿になる女の子の曲など。


「ねえカオルちゃん、歌う曲が全部アニソンで微妙に古いのは何故かしら?」


「ネットの掲示板で仲の良かった人に勧められた曲しか聞いてなかったんです。それらを歌ったんですけど」


 とりあえず確めるべき事は確めたので、全員でカラオケ合戦となりました。お店を出る頃には、空に綺麗なお星様が瞬いていました。

 内線で飲み物や食事まで頼めるので、ご飯もカラオケしながら食べてしまったのです。


「……大和さん、お金貸して下さい」


「長門さん、うちが払うので構いませんよ」


 延長を繰り返し、飲み物や食べ物を考えなく頼めば料金も高くなります。カラオケではお財布の中身と相談しながら注文しましょうね。


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